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第239話 また会える日まで

今日はオーケストラ部の定期演奏会

3年の先輩方の引退の日だ

「俺はきっと楽器を吹くのは最後の日になる。」

そう話すのは今日引退の3年生、ビル先輩だ

「俺は卒業したら王宮魔導士として働くことになっているからな。楽器を触るような時間はもうないだろう。」

「今日引退する3年生はほとんどそうだぜ?」

「俺達は貴族だからな。」

「敷かれたレールの人生を歩むことが多いんだ。」

「仕事も結婚も親に用意されてさ。」

「そんな中、親に反発して夢だった王宮魔導士になれたんだから。」

「夢を叶えて卒業出来るんだから。」

「本当に本当に喜ばしいことなんだ。」

「だから…大好きなトランペットは学生時代の青春だ。」

「やりたいことを好きなことを夢中になって出来る時間が貴重であったと今になって思う。」

「この定期演奏会で俺のトランペット人生に幕が降りると思うと。」

「寂しくなるけれど。」

「ここで俺の全ての集大成を見せれると思えば。」

「最高に楽しみだなと思っているよ。」

「最高の演奏会で終わらせてくれ。」


「そんな寂しいこと言わないでくださいよぉ。」

と私が言う

「俺は大人になるんだよ。」

「別にトランペットは吹きたい時に吹けばいいじゃないですか。」

「1人で吹いても楽しくねぇからさ。」

「じゃあ年に1回オーケストラ部のOGで同窓会しましょうよ。」

「え…」

「年に1回集まって吹くんです。いいアイディアだと思いませんか?」

「連絡を取るのも大変なのに全員集めるのは難しいだろう?」

「じゃあ今決めましょう。同窓会の日にちを6月30日にしましょう。みんなその日は仕事を休んで集まる日にします。」

「どうして6月30日なんだ?」

「私の誕生日だからです。適当に言いました。日程なんていつでもいいんですよ。今決めれば。」

「…フフッ。いいアイディアだな。じゃあ年に1回マナの誕生日に集まって同窓会しよう。俺達は1回離れ離れになるけれど…ずっと仲間なんだ。再会出来る日までそれぞれの道を歩いてくれ。」

「本当に6月30日にするなら私はバースデーイベントをするから夜みんなで遊びに来てくださいね。」

「ルナのバースデーイベントなんてチケット取れるわけないだろう。」

「関係者VIP席に呼びますよ!!大事な先輩方なんですから!!」

「じゃあ下手くそがどれだけ上手くなってるか確認しに行ってやるよ。」

「絶対ですよ!全員分の席確保しますからね!!」

舞台の幕が上がり

このメンバーでの最後の演奏会が始まる

吹奏楽曲が3曲

オーケストラ曲が2曲

そして…ピアノ協奏曲が1曲だ

先輩方の門出だから私が主役になるようなプログラムは断ったのだが

先輩方にオーケストラ部としての活動でマナとのピアノ協奏曲は外したくないと言ってくれたので

トリにピアノ協奏曲を弾かせて貰えることになった


アルメニアン・ダンスパート1

フラターニティー

宝島

アフマニノフ

ベートーヴェン 交響曲第7番 第1楽章

キラキラ星変奏曲


吹奏楽曲は打楽器をやらせてもらって

最後のキラキラ星変奏曲のピアノは好き勝手にやらせてもらった

最後の最後まで先輩方の演奏に甘えながら定期演奏会は終えた

「好き勝手弾きやがって…」

とビル先輩に言われた

「えへへ…最後なので思いっきり甘えさせてもらいました!」

「最後の最後まで振舞わされたよ。」

と言いながら私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた

「ありがとう。一生忘れられない最高の思い出になったよ。」

「私もです…」

「ルナはまだまだ下手くそなピアニストだけどさ…それでも目を瞑って聴いたらルナが弾いているとわかるピアノなんだよ。ルナには観客を惹きつける魅力がある。演奏家として1番の才能だよ。」

「ありがとうございます…。」

「ピアニストとして成功できるように応援している。ニックが一緒ならきっと大丈夫なんだろうけど…」

「心配しないでください。私ちゃんと練習して堂々と一人前のピアニストとしてデビューしますから。」

「俺も…平民生まれならプロの演奏家を目指していただろうな…」

「やめないでくださいね。トランペット。6月30日私待ってますから。同窓会が終わった後に会いに来てくださいよ。」

「あぁ…約束する。必ずトランペットを持って会いに行くと。」

「やだ…ずっと我慢してたのに…泣かせないでくださいよぉ」

「泣き虫なところは相変わらずだな。」

「これでも少しは強くなりましたから。」

「知ってるよ。ずっと一緒に練習した仲間だからな。ニックの鬼スパルタを耐えたルナは強くなったし、上手くなったよ。」

「私達はまだまだ成長しますから。」

「楽しみだよ。オーケストラ部で過ごした時間は最高の3年間だった。本当にありがとう。」

「いつでも遊びに来てください。ビル先輩。」

こうして3年生は引退し、オーケストラ部は私達2年生が最年長になった




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