第238話 恋愛マスター
「第3回恋愛相談回〜!!!」
パチパチパチと拍手をしてカイが言う
何故か不定期に開催される恋愛相談回
今回もお昼休みに個室に呼び出されて開催された
メンバーはいつも通り
カイ、ミメット、ニック、そして私だ
「呼び出されて開催されるのは初めてです。」
「呼び出された心当たりがあるんじゃないですか?」
「えー…クリスマスパーティをサボったことでしょうか…」
「大正解です!!さすがマナ様!!」
クリスマスパーティをサボった夜
魔王の森に逃げ込んで
そのまま魔王のお腹で朝まで眠ってしまった
朝起きたらスリー様と騎士団が私達を包囲していて
そのまま私はお城に連行されて
ガードン王に説教をされた
単独で魔王に会いに行くなんて危険すぎると
つい衝動的に会いに行ってしまったけれど
レイから私が魔王に会いに行ったと報告を受けた王宮騎士団は大騒ぎになり
急いで魔王の森に出動することになったらしい
呑気に寝ている私を見て騎士団は起きるまで待機する羽目になったとか…
クリスマスの夜に迷惑すぎる騒動を起こしてしまったことは反省している…
「ファーストダンスの重圧に押し潰されてサボっただけだよ。」
「重圧ですか?何故です?ファーストダンスを誰と踊ってもいいじゃないですか。マナ様がファーストダンスを誰と踊っても世界は何も変わりませんよ?」
「いや…そうだけど…」
「重く考えすぎです!!もっと軽〜くでいいんですよ!フリーなんですから!!その日の気分で決めていいんですよ!自意識過剰です!!」
「じ…自意識過剰…。」
たしかにそうかもしれない
気にせず楽しめばよかっただけなのに
実は本命がいることで
欲深くなって変に意識しすぎたのかもしれない
一緒にファーストダンスをクリスマスという特別な日に好きな人と踊りたいと思ってしまったから
「ズバリ今!!お悩みですね!!恋愛の!!」
「ギクリ。」
「さぁさぁ!!恋愛マスターのカイに何でも相談してください!必ずマナ様を正しい道へと導いてあげましょう!」
「恋人よりも大事な人がいるって変でしょうか。」
「うーん…恋人なら1番に優先して欲しいと思うのは当たり前だと思うので…難しい質問ですね。」
「そうだよね…」
「変ではないと思いますよ。価値観は人それぞれですからね。マナ様の恋人は可哀想だなと思ってしまいます。」
「みんな幸せになるって無理なのかな。」
「その大事な人と恋人とマナ様がですか?少なくともマナ様の恋人には我慢させることを強いるから3人でハッピーエンドは難しいと思いますよ。」
「そうだよね…」
「というか大事な人を恋人にすればハッピーエンドじゃないですか?」
「それはそうなんだけどね…家族みたいな人だから恋するのって難しいの。」
「マナ様は誰でも恋するのは難しそうですけど。」
「失礼ね。私だって…」
恋してるわよとは言えない
言葉に詰まって俯くと
「もしかして…好きな人がいるんですか?」
「言えない。」
「言ってるようなものですけど…それは失礼しました。よかったですね。」
「何がですか?」
「恋することができて。」
「よかったのでしょうか。恋をしてからの方が苦しいことが多くなって…」
「フフフッ。いいじゃないですか。マナ様は世の為人の為に自分を犠牲にしすぎたんですよ。恋ぐらいエゴイストになって貪欲になればいいんじゃないですか?」
「そんなことして世界が滅んだらどうするんですか。」
目をぱちくりして驚いた顔をした後にカイは言う
「愛で世界が滅ぶなんてありえません。真実の愛がこの世界をハッピーエンドにしてくれますよ。」
「そう?いつだって恋が人を狂わせます。国が滅ぶのは愛憎が原因のことが多いんですよ?」
「うーん…でも真実の愛がハッピーエンドになるのはお約束ですよ。1番好きな人と結ばれてハッピーエンドを目指すべきです。」
「ハッピーエンドになれば私の大事な人が傷ついてしまう。」
「何故ですか。マナ様の幸せを願えないなんてそんな人大事にするべきじゃないですよ。」
「それは…」
「願えば叶う。」
「え?」
「これはマナ様の言葉ですよ?人が願えばそのお通りになるって。ハッピーエンドを願えばいいんです。」
「都合よくいきますかね…」
「都合よくいくように努力すればいいだけですよ。悩んで抱え込んで自分だけ損してるからそんなことになるんです。もっと自分の気持ちを大事にして周りに相談してみればいいんです。」
「そうだね。今日カイに話してよかった。」
「そうでしょう!そうでしょう!!恋愛マスターの私になんでも聞いてくださいね!!」
「上手に人を振る方法とかわかりますか?」
「宇宙一誰よりも愛してる人がいるって言えばいいんですよ!」
「プッ!アハハ!!本当に?信じるからね!」
「この恋愛マスターカイに任せれば万事解決ですから!!」