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第236話 仮面舞踏会

「今年のハロウィンイベントの衣装のことなんだけど。」

早朝、いつものように隠し部屋でイシュタル先生と密会をしている

今日はロングスカートのクラシカルなメイド服を着せられてお茶を入れるお給仕ごっこをさせられている

「当たり前のように私の衣装を準備するつもりなのね。」

「当然だろ。私が毎年プロデュースするんだよ。」

「何かを決めたり準備したりするのは苦手だから有難いけど…」

「昨年はエロ可愛さに重きをおいてティンカーベルを着てもらったんだけど。今年は違う系統で魅せたいと思っているんだよね。来年のラストイヤーは王道に似合う衣装を着せたいんだけど、今年はまだ2年目だから遊び心もあっていいかなって思ってて。マナにはあまり似合わないかもしれないんだけど…かっこいい系で攻めようと思うんだ。」

「ええ!いいじゃん!かっこいい衣装!!」

「怪盗とかどう?」

「めっちゃいい〜♡嬉しい〜♡かっこいい系の服全然着せてくれないんだもん!!」

「パンツスタイルで男装とか…」

「最高!!いい!凄く好き!!」

「白怪盗と黒怪盗どっちにしようか…」

「どっちもいいよぉ!任せる!こんなにも衣装を着るのが楽しみなの初めて〜♡」

「男装でも最高に可愛くてカッコよく見えるように仕上げてみせるから!!」

「ハロウィンパーティで男の子と間違えられて可愛い女の子からダンスのお誘いとかこないかなー?男性パートも踊れるように練習しとこー♡」


私はダンスの男性パートもこっそり練習をして今年のハロウィンの仮面舞踏会を心待ちにしていた

イシュタル先生が魂を込めて仕上げた黒怪盗の衣装は本当にかっこよかった

サラシで胸を潰して長髪の黒髪は短髪の銀色ウィッグに仕舞い込み

美少年怪盗の出来上がりだ

「自分の可能性の引き出しがこわい…イシュタル先生は天才かもしれない…」

「私も自分のプロデュース能力と衣装の完成度に驚いているよ…マナの可能性は宇宙だよ…」

「こんな美少年女の子にモテにモテちゃうよね…にゅふふ…」

「全人類虜に出来ることをこれで証明してこい!」

「はい!世の中の女子を釘付けにしてみせます!」

いざ仮面舞踏会へと移動する

ホールに着いてダンスパートナーを決めようとうろうろする

背筋をピンと伸ばして

かっこよく歩く

美少年の怪盗の姿にざわざわと騒がられる

「かっこいい〜」

「誰だろう?」

「背が小さいから1年生かな?」

と話す声が聞こえる

私は調子に乗って群衆に微笑んで手を振る

「きゃーーーーーーー♡」

「かっこいいいいいい♡」

「あ、あの…!是非私とダンスを…」

と可愛い女の子達に囲まれているところに

1人の男性が割って入ってきた

「ダメだよ。その子は女の子だからね。」

聞き慣れた声

王族の正装

仮装でもなんでもない

仮面していてもすぐに誰でもわかる

「ク…クリス様!?」

群衆の女の子達が言う

「この子は俺と踊るから。ごめんね。」

「じゃあ…この美少年の怪盗って…」

「つまんなーい。すぐにバレちゃうなんて。」

「ああ!やっぱりマナ様!!」

「クリスなんでわかったの?」

「俺がマナを見間違うわけないだろう?」

自信満々にそう言うクリス

フェイ君と私が入れ替わってもすぐに見破ることが出来るんだから

男装したぐらいでは欺けないか

1年前は厄介で鬱陶しいと思っていたのに

嬉しくて愛おしく思える日がくるなんて

恋って本当に人生観変わるものなんだな

「ごめんね。子猫ちゃん達。王子様に捕まってしまったようだ。また今度誘ってね。」

思いつくキザな台詞を並べて群衆の女の子達に別れを告げる

「今年はマナらしい仮装だね。」

「かっこいい美少年でしょう?」

「うん。とても似合ってるよ。」

「ありがとう。クリスは仮装しないんだね。」

「惚れた女をダンスに誘うんだから。自分が1番かっこいいと思える衣装じゃないとね。」

「フフッ。なるほどね。」

「踊って頂けますか?怪盗様。」

クリスは跪いて手を差し出す

私は手を取り

「もちろん。喜んで。私の王子様。」

と返した

プロの楽団が演奏するオーケストラの音色が響く

私達はダンスを踊って仮面舞踏会を楽しんだ

クリスとのダンスを楽しんだ後は男女問わずダンスに誘われたら全て踊った

白魔法で全快することが出来るから無限に踊れる

仮面をしているので正体がわからないので

私を誘いやすいようで

全生徒と踊ったんじゃないかと思うぐらいに踊りまくった

最後にやってきたのはイシュタル先生だった

締めの相手に相応しい

私をプロデュースしている変態教師だ

ダンスの途中に耳元で囁かれる

「全人類虜に出来たようだね。」

満足そうにイシュタル先生はにっこりと笑う

「貴方のハートも盗みますよ。」

と冗談混じりに言うと

「とっくの昔に奪われたさ。」

と嬉しそうな笑顔で言われた

「返却しましょうか?」

「永久保存していいよ。」

この変態教師を飼うと決めたので

私は永久にこの変態教師をハートを保管しなければならない

歪な私達の幸せは

誰にも邪魔されることもなく

秘密の部屋で永遠に続くのだから



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