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第235話 清い交際

案外フェイ君とルークの相性はいいんじゃないかと期待して紹介はしたものの

紹介した初日に付き合うなんて予想出来るはずもなく

幸せなカップル誕生に喜ばないといけない愛のキューピット役にも関わらず

ものすごく後悔をしていた

ルークはともかくフェイ君は何故付き合うなんて言ったのか…

絶対断ると思ったのに

私が紹介して誕生したカップルに水を差すのは

意味不明すぎるので

私はフェイ君とルークがこれから先も幸せになることを祈るばかりだ


「マナ先輩。オーケストラ部が終わったらお話があります。」

そう言って私を呼び出したのは美術部員のジャン君だ

ジャン君はフェイ君の親友だ

美術部が終わり、オーケストラ部の音楽室まで来て呼び出しをしている

このタイミングで急に私を呼び出すなんて心当たりは1つしかない

「もう少しで終わるので…少しだけ音楽室の外で待ってくれますか?」

「そのつもりです。逃げられては困りますから。」

話口調でもう既に怒りを感じる

逃げるなんてしないのに…

「どうしたの?マナに敵意を持っている人間は珍しいね。」

とニックに心配そうに尋ねられる

「いや…今回は私が全面的に悪いので…」

「えぇ…後輩怒らせるようなことしたの?珍しい。」

「穏便にすまそうとして失敗して爆弾を爆発させたといいますか…」

「マナが悪いなら心配しなくてもいいかな。しっかり怒られてきて反省するといいよ。」

「うん…」

オーケストラ部の活動が終わり私はジャン君と一緒に2人きりで話が出来る空き教室へと移動した

「なにしてくれてるんですか。マナ先輩。」

「相性いいかなーとは思ったんだけど…まさかそのまま恋人になるなんてさすがに予想外だったな…」

「自分で紹介しといて他人事のように話さないでくださいよ。」

「申し訳ございません…」

「昨日…マナ先輩に友人を紹介してもらえるんだと嬉しそうにフェイは話をしていて…フェイは友人と呼べる人間は俺しかいませんから。友達が増えるかもしれないとそれはそれは純真無垢に喜んでいたんですよ?」

「わ…私はちゃんと友人として紹介しましたよ?」

「じゃあなんで恋人になったんですか!!しかもなんであんな危なげなおっさんを!!」

「ルークは20歳だからおっさんじゃないわよ!」

「16歳の幼気な可愛い男の子を誑かす危ないおっさんだよ!!」

「もう会ったの?」

「昨日の美術部の部活終わりにフェイを迎えに来てましたよ。あのおっさん。これから少しだけ2人でデートがしたいと言って…」

「へぇ…ラブラブだね。」

私がそう言うとものすごい顔で睨まれてしまった

「それで今日聞いたんですよ。あのおっさんと何してたのか。」

「うん。」

「中庭でキスしたっ言ったんですよ!フェイ!!」

私は思わず頭を抱える

嘘でしょ…

付き合った初日にもうキスしてんの…?

「手出すの早すぎですよ!!なんでそんな悪い男紹介したんですか?信じられません!!」

「それは…私から叱っとくよ…」

「“僕が可愛すぎて我慢できないからキスしちゃったんだって”なんて照れながら惚気て俺に話すんですよ!?悪い男に騙されているだけなんじゃないかと不安で不安で…」

「騙すとかはないわよ。ルークはフェイ君一筋だから…」

「本当に?」

「…たぶん。」

「信用出来ない男を紹介するなんてマナ先輩最低です!!フェイが可哀想です!!」

「世の中に絶対はないってことだけだよ!ルークはフェイ君を大事にするよ!!」

「ふーん…私利私欲にまみれているけど、一途に愛せるタイプではあるんですね。」

「う…うん…。」

他の美人が現れたらすぐに乗り換えるクズ男だけど

フェイ君より美人な人間なんて存在しないから

フェイ君に一途のはず

「フェイは仮にも王族なのにあんな平民の身分と付き合うなんて…平等主義のマナ先輩らしいですけど周りからの反発は免れないですよ。歳の差もありますし…茨の道ですよ?わかっていますか?」

「そのあたりはあまり考えてなかったかも…」

「え。」

「ご…ごめんなさい。」

「マナ先輩って頭悪いんですね。」

「…。」

「はぁ…フェイは愛に飢えているからあんなに深く愛情表現されたことはなくて…浮かれたんでしょうね。フェイは誰かに愛されたくて美貌に執着していると言っても過言ではないですから。」

「フェイ君は絶対ルークの告白断ると思ったのに…」

「どうしてそう思ったのですか?フェイは愛してくれる人なら結構誰でも好きになりますよ。フェイがクリス様のこと好きなのだってクリス様がフェイを従兄弟として大事に扱っていたからですし…フェイを愛してくれる人は限られていたんです。だから愛してくれる人は貴重なんです。」

「そっか…」

「アイドルステージ後は何人かの女子からは告白されたようでしたが、断ってました。フェイは同性愛者ですから。でもあんなにかっこいい姿を魅せたんだからイケメンのいい男を捕まえられると思っていたのに…それなのに!!何故か付き合ったやつは胡散臭いおっさん!!」

「あはは…」

「笑い事じゃないです!!フェイの人気はフィーバー中の今だからこそいい男を掴まえられると思っていたのに!!それを!何故か!マナ先輩が!!変な男を紹介して!!そのまま付き合うなんて!!」

「も…申し訳ございませんでした…」

「しかも全然紳士じゃない!欲にまみれたおっさん!!」

「卒業するまではキスまでにしろって言っておくから!」

「絶対だぞ!!」

「卒業するまでにキス以上のことをしたら死刑にするから!」

「え…さすがに罪重すぎません?」

「私の大事なフェイ君を大事に出来ないなら死刑!死刑です!!」

「過激派すぎて思わずこちらが引いてしまいましたよ。」

「今日も2人は密会してるの?」

「はい。今日も部活後ルークが迎えに来ましたから。」

「じゃあ私が釘刺してくるわ。」

「お願いしますよ。じゃあ俺は帰りますね。」

そう言ってジャン君は帰っていった

私は2人が密会しているであろう中庭へと向かう


「愛してるよ。フェイ。」

そう言ってフェイ君の肩を抱きながらベンチに座るルークを見つけた

フェイ君の瞳もうっとりしている

まさに恋は盲目というものだ

「あの〜…デート中申し訳ございません。少しお話しさせて頂いてもよろしいですか?」

「本当に空気が読めなくてお邪魔虫だね。世界で2番目に美人なマナ様。」

「2人きりで会える時間は限られているのに邪魔しないでくださいよ。世界で2番目に美人なマナ先輩。」

昨日出会ったばかりのはずなのに

フェイ君はすっかりルークに毒されている

あんなにマナ先輩マナ先輩と慕ってくれて可愛かったのに…

「キス以上は禁止です。」

「は?」

「えぇ!?」

「卒業するまではキス以上はしないと約束してください。破ったら問答無用で死刑判決です。」

「死刑!?重すぎるだろ!それに愛する恋人同士なら問題ないはずだ!」

「そうですよ!2年半も我慢するなんて!!」

「フェイ君は王族であり未成年です。」

「う…」

「そんなの関係ないもん!!」

「関係あります。絶対にダメです。卒業までは清い交際をすると約束できないなら今すぐに別れてください。」

「そんな…こんな可憐なフェイを前に俺は我慢できるか…」

「僕が美しすぎるから…!!」

「守れないなら死刑にします。私は本気です。フェイ君のことが本当に好きで大事なら我慢できるはずです。」

「…わかったよ。」

「えぇ!?そんなぁ!!僕やだよぉ!!」

「我儘言わない!!フェイ君もくれぐれもルークを誘惑したりしないように。」

「今時そんなの守ってる人なんていないもん!」

「よそはよそ!うちはうちです!!」

「ケチ!」

「学生は清い交際するのは当たり前です。」

「マナ先輩だってクリス様に押し倒されてキスしてたくせに。」

「なっ…あれはクリスが勝手に!!」

「そんなに無防備だとすぐにクリス様に押し倒されて襲われますよ。」

「そんなことにはなりません!!」

「もしも卒業までにマナ先輩がえっちしたら僕もえっちしてもいいですよね?」

「そんなことありえないから!」

「もしもそうなったら。」

「もしもそうなったら…いいわよ。」

「クリス様ならすぐにやってくれそうだからよかった。」

「やるわけないでしょう!?」

「まぁいいよ。言質はとったから僕は陰ながらクリス様を応援してるよ。」

「フェイ君なんか性格変わった?」

「恋をすると無敵になるんですよ。」





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