第234話 紹介
大忙しの文化祭が終わり、日々の日常へと戻る
私はルークにいい人を紹介するという約束を守る為に
フェイ君を選んだ
フェイ君は男だけれど誰よりも美人で可愛い
外見至上主義のルークの相手には文句なしの相手だろう
実際に文化祭のアイドルステージでフェイ君に会わせてみたけれど
とても好印象でフェイ君を紹介してもらえると知って頭の中はサンバ状態だそうだ
浮かれて踊り狂っている
ルークは美人で可愛い子であれば、相手をとても大事にするし
犯罪の片棒を担おうとするぐらい惚れ込むから
フェイ君なら合うんじゃないかなと思った
ルークは外見が老いたり、綺麗じゃなくなったら手のひらを返して全く興味がなくなるクズ男なんだけど
フェイ君なら問題ない
フェイ君が年老いても若い子に負けないぐらい美人になるだろう
ルークはフェイ君なら生涯大事に愛せる可能性があるってことだ
だから私はフェイ君を紹介するんだけど…
フェイ君からすればあまりにもメリットのない
ルークは20歳のただの普通の人だ
いや…普通ならよかったけれど外見至上主義の変な人だ
「あのさフェイ君…今から私のお友達を紹介するんだけど…少しでも嫌なこととかされたらすぐに捨てちゃっていいからね。」
昼休み、私とフェイ君は文化祭の仕事も一段落して生徒会も少し余裕があるので、中庭でルークを紹介する為に待っている
「何故そんなにも不安そうに紹介するんですか…。紹介するなら胸張って堂々とこの人はいい人ですよ!と言うものなんじゃないんですか?不安そうに紹介されるとこちらも不安になりますよ。」
「ごめん…いい人はいい人なんだけど…変な人だから…」
「なんでそんな人を僕に紹介するんですか?」
「約束だから…」
「どんな約束をしたんですか?」
「めちゃくちゃ可愛くて美人な人を紹介するって。」
「えぇ…そんな…僕は男の子だしがっかりされるんじゃ…」
「それは絶対にない。アイドルステージを見て悶えるぐらいに夢中になってたから。」
「余計不安ですよ。アイドルステージなんてフィルターかかっていい風に見えてるだけですから。
「今も敵無しのビジュアルしてるけど。」
「マナ先輩には勝てません。」
「私は殿堂入りしてるレジェンドビジュアルだから気にしないで。」
私とレックスが毎朝作っているお弁当を2人で食べなら待っていると
「こんにちは。初めてまして。ルークと申します。」
とても落ち着いた大人の男性がそこにはいた
いつものハイテンションで興奮気味に変なことを口走るような様子はない
フェイ君に気に入られようとゴリゴリに猫被りをして紳士な男性を演じている
「初めまして。僕はフェイです。よろしくお願いします。」
フェイ君は可愛らしくお辞儀をして答える
「う…ぐっ…!!」
ルークは心臓を抑えてよろける
フェイ君のあまりの可愛さに翻弄されている
「ど…どうしましたか!?大丈夫ですか?」
「だ…大丈夫…。気にしないで…」
「無理しないでくださいね。」
「天使…」
「え?」
「いや!なんでもない!元気いっぱいだよ!」
「それならいいですけど…」
「フェイ君。ルークは変な人だけど悪い人じゃないから仲良くしてあげたら嬉しい。」
と私が言う
「はい。僕のような人間に友人が増えるようにマナ先輩が紹介してくれたのですから。ルークさんと仲良くできるように頑張ります。」
私を信頼してルークと仲良くするように努力するとフェイ君は言ってくれた
健気すぎて胸が痛くなる
私はルークに紹介できる人がフェイ君しかいなかったから仕方なく紹介したとは言えない
「ねぇ…フェイ君泣かせるようなことしたら本気でブッ殺すから。」
私はドスの効いた声でルークに言う
「私がこんな可愛い女神のような人を泣かせるわけないじゃないですか!生涯大事に愛でますよ!!」
興奮していつものルークになってしまっている
ルークの発言にフェイ君はキョトンとした顔をした後に
「アハハハ!!女神ってもしかして僕のこと?変なこと言うんだね!」
と笑顔で言う
可愛い
「あ…あの…!言葉のあやといいますか…女神のように美しくて優しいという意味で…違うんです…」
「あれ?僕は女神のように美しくて優しくないの?」
「め…女神よりも美しくて優しいという意味です!!フェイ君よりも美しい存在なんてこの世に存在しない!!」
「マナ先輩は?」
「マナ様も美しいですが!心まで美しいのはフェイ君だけです!!」
まるで私の心が穢れているかのような口ぶりをルークはする
なんて失礼なやつなんだ
「ふーん?総合的には僕の方が美しいってこと?」
「はい!!フェイ君がこの世で1番美しいです!!」
「えへへ…ありがとう。」
はにかんだ笑顔でフェイ君は言う
私達2人はその笑顔にノックアウトされる
か…可愛すぎる…!!
「いっ…一生大事にすると誓います!!俺と付き合ってください!!」
勢いあまってルークは告白をしていた
「ちょっと!!フェイ君はまだ16歳なのよ!!交際なんて認めません!!」
「大事にする!!大事にするから!!お願いフェイ君!この世で1番フェイ君を愛すると誓います!!愛しているんだ!!お願いします!」
「…そんなに言うならいいよ。」
とフェイ君が言う
「え…本当に…?やったーーーーー!!生きててよかった!!生きててよかった!!!俺の人生薔薇色だぁあああ!!」
「ちょっとフェイ君!!早まらないでいいのよ!?私が紹介したけどかなり変な人だから!!もう少し考えてからでいいんじゃないかな…」
「ルークさん…僕…男だけど…気持ち悪くない?」
とフェイ君が言う
「気持ち悪い?そんなこと誰が言ったんだい!?美人で可愛いなら性別なんて関係ないさ!!女神にだって性別はないだろう?フェイ君に性別はないんだ!!」
「フフッ。誰よりもたくさん愛してくれるって約束してくれる?」
「俺がこの世で1番フェイ君を愛すると誓います!!」
「だって。マナ先輩。僕の彼氏を紹介してくれてありがとう。」
「そんなつもりじゃなかったのに…」