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第231話 アオハル

白雪姫の公演も終えて、次はオーケストラ部のオーケストラ演奏の出番だ

イシュタル先生から借りた衣装を着て私はステージ横で出番を待つ

ニックは私の両手を握り本番前に助言をする

「ルナが出来る精一杯を俺はやらせた。俺達の練習に悔いはない。本番は上手くいかないかもしれない。それでも俺達が練習した時間がなくなるわけじゃない。ここで恥をかくような練習をさせたつもりはない。自信を持ってルナを俺は送り出す。だから…誰よりも自信を持って弾け。ルナは人前で輝く習性があるから。誰よりも輝く音色を奏でてこい。」

「心配しないでニック。気分は上昇よ。観客全員虜にしてやるわ。」

「いつも人の顔色ばっかり伺うマナが唯一自己主張する手段がピアノだからね。自由に好きに楽しくやってこい。俺達があわせてやるから。」

「オーケストラ部のみんなを信用してる。だから自由にさせてもらう。」

「いくぞ。」

「はい。」

出番になり私達はステージへ上がる

鳴り止まない拍手に包まれて私達はステージ上でお辞儀をして準備をする


チャイコフスキー 第1番 ピアノ協奏曲


私が主役のステージになるから

私の好きな曲にして貰った

この曲の華やかさと哀愁が入り混じる感じが好き

自分のことを表現しているようで

指揮者の合図で演奏が始まる

壮大なオーケストラは学生とはいえ毎年コンクール常連校なだけあって迫力がすごい

1年半前なら…こんな場所で一緒に演奏出来るなんて想像出来なかったな

1年半のニックの鬼の特訓を経て

私はここで主役を張って演奏をする

オーケストラと合わせることが苦手な私に

みんなは全力で合わせてくれた

だから…私は自分の世界に入り込んで

みんなを信じて

自分の音楽を貫く

白魔法も見た目も関係なく

音色だけで

私は人を虜にさせる

それがとても心地いい

この音色だけは

私が努力して作り出したものだから


演奏を終えて拍手喝采が鳴り響く

そのままアンコールを行い

キラキラ星を弾いた

そしてオーケストラ部の演奏会は無事に終えることが出来た

「お疲れ様。人前で弾くことに関しては俺がルナからご教授してもらわないといけないね。」

「年に何回も演奏会している人間が何言ってんの。」「回数は関係ない。人を惹きつける演奏をすることに関してはマナはもう立派なプロだよ。マナのピアノのワンマンライブを開催すれば完売御礼間違いないよ。」

「聖女のネームバリューだけでしょ。」

「そんなことないよ。実力があればリピーターがつく。マナの演奏は何度も聴きたくなるような魅力があるからね。」

「今日はめちゃくちゃ褒めるね。」

「俺はマナのピアノが好きだからね。一緒に演奏出来て柄にもなく浮かれているみたいだ。」

「なにそれ、ちょっと可愛いね。」

「惚れた?」

「ちょっとドキドキした。」

「やったね!」

私達はハイタッチをする

オーケストラ部のみんなとも全員ハイタッチをして喜びを分かち合う

キャッキャっと戯れてる人達もいれば

涙を流して感動している人達もいて

演奏会を終えたこの瞬間が

最高にアオハルしてて

楽しいんだ


演奏会が終わり、次はレックスとフェイ君のアイドルステージの為に準備をしようと文化祭中のスカーレット学園を歩く

ふと目に入ったのは占いの館

新聞部が今年もやっているようだ

とはいえ占いをしているのは卒業生のエド様だけど

文化祭を回る余裕が今年はないけれど

少しだけ…

私は1人で占いの館に入った

「こんにちは。世界最強の聖女マナ様。今年も占いの館をご利用して頂きありがとうございます。」

「こんにちは。エド様。お久しぶりです。」

「昨年は世界平和の為に恋愛成就させようと助言をしましたが、全然一向に恋愛する気がなかったですよね。今年は魔王様が見ているので、恋愛は御法度のはずなのにクリスともレックスともニックともイチャイチャイチャイチャと公衆の面前で堂々とやってますよね。マナ様は逆張りしないと生きていけないのでしょうか。俺は心臓がハラハラして夜しか眠れないですよ。」

「ぐっすり寝てるじゃん。」

「俺はメンタル強いので。マナ様は寝不足のようですね。メンタル雑魚だから。」

「エド様の厚かましさを少し分けてもらいたいですね。」

「やりたい放題して世界崩壊させようとしている人に言われたくないですね。」

「私はいつだって世界平和の為に働いている聖女ですよ?」

「そうでしたね。上手くいってないだけで。」

「人生そんなもんですよ。」

「そんなもんで世界崩壊されては困りますよ。」

「わかってるって。私だけじゃダメだからスリー様とかが支えてくれてるんじゃん。」

「マナ様はバカですけど、周りが優秀でよかったですね。」

「一言余計ね。私はお客様なのに失礼すぎるんじゃないでしょうか。」

「失礼致しました。今日は何を占いますか?」

「えっとじゃあ恋愛で…」

「魔王様が見てます。今もずっと見ています。過度な接触は控えましょう。魔王様を怒らせないようにしましょう。」

「夢と恋愛どちらを優先するべきでしょうか。」

「世界平和を最優先にしましょう。」

「せっかく青春謳歌してたのに興醒めだよ〜。」

「マナ様は背負っているものが違います。世界平和の鍵を握っている自覚をもっと持たれた方がいいかと。」

「心配しなくても大丈夫よ。聖女様はチートキャラですから。」

「魔王を倒す?」

「魔王を愛するチートキャラです。」

「…フフッ。魔王を救えるのはマナ様だけです。そして魔王を倒せるのもマナ様だけです。苦しい選択を強いられているのはわかっていますが…応援していますよ。」

“時間です”と言われて私は占いの館を追い出された

エド様は素直になると照れてしまうようだ

意外に可愛いところもあるんだな



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