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第230話 白雪姫

文化祭が始まり、私達のクラスは白雪姫の劇をやる

初公演がいよいよ始まる

観客は満員御礼だ

私は主役の白雪姫を演じる

舞台袖で出番を待っていると

「気合い入りすぎじゃない?」

とローズ様が話しかけてきた

「もうすぐ本番なんだから気合い入れてやるのは当たり前ですよ?」

「いや…マナはいつもヘアメイクなんかしないのに今日は朝からバッチリしてきたじゃない。」

イシュタル先生が私のアイドルを完成させる為にヘアメイクも全てやってくれたのだ

髪は編み込みされており

メイクもプロ並みに上手く仕上げくれた

今日は舞台に上がるのでそのままの状態で登校したのだが

「今日は人前に出るから気合い入れて頑張ってみたの。たまにはいいでしょう?」

「それマナが自分でやったの?」

「そうよ。」

「じゃあ私の髪も編みこみしてくれる?」

「うそです。私のファンがやりました。」

「誰?」

「内緒です♡」

私は内緒のポーズをしてあざとく言う

「髪なんて劇ではウィッグをつけるから関係ないのにさ。」

「この後オーケストラ部でピアノ弾く時にお披露目するのよ。」

「ヘアメイクをバッチリしているからなのか知らないけれどオーラがすごいわよ。ずっと。視界に入るだけで眩しいわよ。存在が。私達脇役の存在なんて観客は視界に入らないでしょうね。」

「ローズ様は女王様役じゃないですか。脇役じゃなくて立派な悪役ですよ。」

「なんで私が女王様役なんか…」

「美人だからですよ。」

「マナが1番可愛くて美人だから白雪姫で、私は2番目に美人だから悪役女王様役ってことね。」

「あーあ。私が女王様役やりたかったぁ。」

「嫌味か?煽りか?殺されたいのか?」

「白雪姫なんて全然ハマり役じゃないもん。」

「どこがよ。大ハマり役でしょうが。天真爛漫で何も考えてなくて流されやすくて騙されやすい。」

「そんなことないもん!私は意外と闇属性が強いんですよ?天真爛漫なんかじゃないわ。」

「うそつけよ。天真爛漫なんてマナそのものよ。マナがいう闇属性なんてちっぽけなもの。他の人間なんてもっとドス黒く汚い感情で渦巻いているんだから。マナほど天真爛漫で明るくいるのはレアなのよ。」

「たしかに私は嫉妬とか恨みとかそういう感情は抱くことはほぼないかもな。どうしてだろう。」

「当たり前でしょ。圧倒的に美人で可愛いんだから。愛されヒロインなんだから。誰かに愛して欲しくて振り向いてもらえないなんて経験ないでしょう?誰も彼もがマナに夢中なんだから。」

「好きな人は全員振り向かせる自信はありますね。」

「フッ。マナに言い寄られて堕ちない人はいないわよ。最強のヒロイン様。白雪姫の劇で見せつけてくださいよ。マナのヒロインぶりをね。」

「オーラ全開でやっていいの?本当に他の役全員喰っちゃうわよ。」

「どうぞ。マナ様の独壇場にしてください。」

私はそう言われてながら背中をローズ様に押されて舞台へと姿を現す

ただ歩くだけでも

観客全員を虜にさせる

私は白雪姫

世界で1番可愛くて美人な女の子

持ち前の明るさで人を魅力して

動物も仲間にして

小人さんと仲良くなって

女王様に騙されて林檎を食べて倒れる

いつか王子様が助けてくれると信じていた白雪姫の元に王子様が登場する

王子様役はクリスだ

クリスが舞台に登場しただけで観客は大盛り上がりだ

なんといってもクリスは本物の王子様だ

衣装も自前の王子様服を着ている

正装の王子様のクリスの姿に観客のクリスファンはメロメロだ

「あぁ…なんてことだ…白雪姫…目を覚ましてくれ…」

クリスはそう言って私にキスをするフリをするのだが

クリスは本当に私にキスをした

観客全員からきゃーーーーーーーーーーーと悲鳴が上がる

私は起き上がりクリスのほっぺたをつねる

「本当にキスするな。バカ。」

と私が言うとクリスは全く反省していないニヤケ顔で私をそのままお姫様抱っこして抱き抱える

「奇跡だ!!白雪姫!!お城に帰って結婚しよう!!」

とても嬉しそうに満面の笑みでクリスが言う

「…はい。王子様。私も愛しています。助けてくれてありがとう。」

と私が言うともう一度クリスがキスをしようとしてきたので私は頭突きをして止める

「ダメじゃないか。白雪姫。俺達は結婚して結ばれて幸せになるのに。照れ屋さんなんだから。」

「早く!幕下ろして!!」

と私が叫んで無理やり強制終了させようとする

「あぁ…可愛い…俺のマナ…」

そう言いながら無理やり私にキスをして

やっと幕が降りた

お姫様抱っこをされながらキスをされて

あまりの恥ずかしさに私は赤面をしてしまう

「フフフ。顔真っ赤だよ。かーわいいね。」

私は顔を手で隠す

「もう…早く降ろして…本当にキスしたらダメだって何回も言ったじゃん…」

「ごめんね。マナが可愛すぎて我慢出来なかった。」

「…バカ。」

「あぁ〜可愛すぎるぅ〜。このまま本当にお城にお持ち帰りして結婚式しようよ〜。」

「バカ言ってないで早くお姫様抱っこから降ろして!!」

「マナ。大好きだよ。マナの全部が好き。愛してる。」

「…知ってる。」

私も好きとは劇が終わってからは言えない

私達は劇の中でしか今は結ばれないから

私がクリスを愛することを

魔王様は許してくれるだろうか

私の恋人になる為に成長して帰ってくる魔王様を

私は傷つける結果になる

恋愛は綺麗事じゃ済まされない

誰かを選ぶと

誰かを傷つける

平等になんて出来ない

優劣をつけなければいけない

大事な人を傷つけて

手に入れる恋なんて

価値はあるのだろうか

世界崩壊するかもしれないのに

答えはまだ出ないまま

今だけは

劇の中だけは

クリスに好きだと伝えることを

どうか許して欲しい






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