第224話 ファンファーレ
私は電撃を喰らって立てなくなっているクリスに白魔法をかけて回復させた
「じゃあそろそろ宿に帰ろうか。」
と私が言う
「え?もう?」
「話は終わったし、もう夜遅いから。」
「まだ23時だよ?」
「もう23時だよ。」
「まだ帰りたくない。もっとマナとイチャイチャしたい。」
「えー?じゃああと3分ぐらい添い寝でもする?」
「…え?添い寝…???」
「不満なの?」
「そんなわけないです!是非よろしくお願いします!!」
私は天界の雲の上にゴロンと寝転ぶ
そして両腕を上げてクリスに私の腕の中に入るように促す
クリスは私の腕の中に入り込みそのまま一緒にゴロンと寝転ぶ
ギュッと抱き合ったまま添い寝をするのはとても癒されて心地が良い
このまま朝まで添い寝で眠れたら幸せだな…と思った
「あの…すみません…理性がはち切れそうなのでもう勘弁して頂いてもいいでしょうか…?」
「え?」
まだ1分も経ってないのにクリスが限界を迎えていた
「好きな女の子と添い寝をして手を出さない自信がないです。ちょっと無防備すぎます。このまま襲ってしまいたい衝動を抑えきれません。」
そう言いながらクリスは起き上がり私と距離をとった
「えぇ…せっかく心地よかったのに残念。」
「そんな可愛いすぎることを言わないでくれるかな!?そんな急にデレられると供給過多で心臓が止まってしまうよ!!」
「だって地上に降りたらまた塩対応にするし、誰も見られてない今ぐらいしか素直に甘えられないからね。」
「なんで塩対応なの!?俺達もう両思いの恋人同士なんだから堂々とイチャイチャすればいいじゃないか!」
「恋人にはならないわよ。少なくてもマオが帰ってくるまではね。」
「どうして!?」
「だって…私が他の人を好きになってしまっても、それでもいいから恋人にして欲しいってマオに頼まれたら私はマオを選ぶもん。」
「世界平和の為に?」
「そんなの関係ない。マオの為に。」
「なるほど。じゃあマオ君が帰ってきたら俺はマオ君とマナの恋人の座をかけてバチバチに競うわけだ。」
「そうなるわね。」
「絶対俺を選ばせてやるから。覚悟しとけよ。」
「圧倒的劣勢だけど…一応応援してあげる。私に恋する幸せを教えてくれるのはこの世にクリスただ1人だけだから。」
「恋愛脳すぎてバカになるぐらい夢中にさせてやるよ。」
すると突然ファンファーレが鳴り
目の前にこの世の神様アルテミスが現れた
「おめでとう!華ちゃん!念願の両思いだね!前世から見守ってきたガチ勢としては感慨深すぎて泣いてしまったよ…」
「ありがとう。アルテミスのおかげで恋する幸せを見つけられたと思います。」
「ううぅ…!!泣かせにこないでよ〜!!」
「私の恋愛成就したからこの世界はアルテミスが崩壊することはないわよね?」
「欲を言えば恋人同士になってほしいけれど…まぁいいよ。合格にしてあげる。華ちゃんの要望を尊重してあがるよ!私は慈悲深い神様だからね!!」
「ありがとう。アルテミス。」
「1つだけ約束して欲しい。」
「何?」
「どちらを選んでも幸せになること。私はこの世界を華ちゃんが恋して幸せになる為に作ったんだ。」
「誰を選んでも私は幸せだよ。だから安心してね。」
私の答えに満足したのかそのままアルテミスはスッと消えて去ってしまった
「ふぅ…アルテミスが世界崩壊することはこれでなくなったから一安心かな。」
「あとは魔王次第か。」
「ラスボスだからね。」
「愛は勝つ。」
「そんなの夢物語だよ。この世は弱肉強食だからね。」
「この世界が弱肉強食なわけない。この世界は愛を叫ぶことで世界平和になるんだよ。」
「プッ。アハハ!!確かに!!アルテミスが作ってるからね!!」
「愛してるよ。ルナ。2人の愛の力で世界を平和にしようね。」
「愛してるわ。クリス。私は愛なんて不確定なもの信用出来ないから力をつけて備えるわね。力こそが正義なのよ。」
「魔王相手に力押しで勝てるわけなくね?」
「私は世界最強の聖女様よ。不可能なんてないわ。」
「かっこいい…」
「でしょう?」
私達はその後、水龍に乗って地上へと降りた
水龍にお礼を告げて私達は宿へと帰った