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第216話 特別な存在

マナはよく笑う女の子だ

ローズにも

レックスにも

ニックにも

フェイにも

マナはよく笑って話をする

でも…俺にだけは笑ってくれない

いつも塩対応だ

俺がマナにくっつきすぎてストーカーまがいなことをしているからだけれど

一緒にいられることが嬉しくて

俺はマナに常日頃からべったりだ


次はマナが唯一参加するリレーだ

マナはアンカーを任されているようだ

「マナ様ーー!!頑張ってー!!」

「マナ様ーー!!可愛いーー!!」

「マナ様ーー!!こっちみてーーー!!」

と黄色い声援が飛び交う

マナは昨年アイドルをやって以降

マナのファンクラブは急増して

今はスカーレット1番のファンクラブ数だ

人を虜にする天才

みんなマナの虜だ

俺も…マナにとってはこの無象無象のファン達と変わらないのだろう

みんなを愛して

みんなに愛される

それがマナがだから

それでも…手に入れたいと

マナを独り占めしたいと

恋人になりたいと

マナの特別になりたいと

そう願ってしまう

マナに選ばれたい

どうしても


リレーか始まり、マナは2番手でバトンを渡される

マナはあっという間に1位の背中を捉えて

颯爽と1位を掻っ攫う

そして1位を独走してそのままゴールテープを切った

「マナ様ーー!!かっこいいーーー!!!」

「マナ様ーーー!!きゃあああああああああ!!」

スカーレット学園の生徒達は大盛り上がりだ

マナはくるっと振り返り

俺を見た

そして満面の笑みでVサインをした

心臓が高鳴る

他の誰でもなく

俺を1番に見つけてくれた

こんなの…勘違いしてもいいのかな

俺はマナの特別だって

無象無象なんかじゃなくて

ゴールした喜びを1番始めに伝えてくれる

特別な関係だって

優越感が込み上げる

ローズでもなく

レックスでもなく

ニックでもなく

フェイでもなく

俺を選んでくれたんだって

俺は全力で手を振って

「マナ!!かっこよかった!!」

とマナに聞こえるように大声で叫んだ

マナは俺の声が届いて

満足気にしている

あぁ…こんなのずるいよ

たまたま俺のことを1番に見つけてくれただけかもしれないのに

でも…振り返ってわざわざこっちを見たし…

後方彼氏面してしまうよ

みんなが大好きなマナは

俺のマナだけどねって

デカい顔してしまうよ

顔がニヤけてしまうよ

舞い上がってしまうよ

自惚れてもいいかなマナ

俺はマナの特別な存在だって


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