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第214話 生徒会の仕事

「ううぅ…何で俺がこんな目に…」

頭を抱えて涙目になりながらこんなことを呟いているのは生徒会長のマール様だ

「どうしたんですか?」

「マナだよ!!マナ!!マナが黒猫ガールとして生徒同士の揉め事をたくさん摘発したせいで、俺は休む暇もなく仕事に追われているんだよ!なんで体育祭の準備で忙しい時にこんなに仕事を増やすんだ…」

「そんなこと言われても…見て見ぬふりは出来ませんし、私のせいじゃないですよ。」

「わかってる!わかっているが!!俺はスリー様みたいに要領よく解決したり出来ないんだ!!マナにも手伝って貰わないと俺だけではこんなの抱えきれない!」

「私に協力出来ることならしますけど。」

「それならマナが摘発した揉めた同士の話し合いを親同伴でセッティングするから全部同席して解決して。」

「えぇ?話し合いのみですか?証拠とかないんですか?」

「そんなもの手に入れる余裕なんてない!!」

「新聞部に頼めば手に入ると思いますけど。」

「あそこは金か情報と交換だろう?俺にポケットマネーを払う財力なんてないし、ましてや新聞部が欲しがる情報なんて1つもないからな。それに話し合いで解決出来るならそれが1番いい。」

「私が話し合いで解決するように同席するってことですよね?責任重大すぎますよ。」

「マナが持ってきた問題だろう?自分で解決しろ。」

「私じゃなくて黒猫ガールが…」

「じゃあ黒猫ガールとやらが同席しろ。」

「…わかりました。」

「話を聞かない親が出てきたら“神の天罰が下りますよ?”とか言って脅せばなんとかなるだろ。マナは聖女だから効果覿面だ。」

「そんなこと言ったら本当に天罰下りそうだからこわいですよ。」

この世は恐ろしいことに神様の気まぐれで回っている

そして私が神の天罰が下るなんて冗談でも言ってしまえば本気にするかもしれない

この世界の神は何をしでかすかわからない

「俺は体育祭の準備で忙しい!!両家のセッティングまではやってやるから後はマナがなんとかしろ!」

「私に出来るかな…」

「出来ない仕事を持ってくるな!!」

「だって前はスリー様が全部解決してくれてたし…」

「今期は優しくて有能な生徒会長はいません!!自分の仕事は自分で解決しろ!!それが今期の生徒会だ!!」

「わかりましたよ…」

私は渋々了承する

2学期になり、私が見つけて摘発した揉め事は12件あり、私は12回話し合いに参加することになった

マール様に渡されたセッティングされた日程を見て憂鬱になる

今月だけでもう6回もある

なんでこんなに多いんだ

いや、私が摘発したからだけど

なんでこんなに揉めるんだよ!!

夏休み明けで調子乗りすぎだろう!

私だってオーケストラ部の練習まだまだ煮詰まってなくて

ピアノ練習したいのに…!!

文化祭でまた演奏するからピアノコンクールで優勝した実力者としてステージに上がるのに

このままじゃ下手くそピアニストとして有名になっちゃうよ…

話し合いだって1回で解決出来るとは思えないし…

「何でこんな目に…」

私が今度は頭を抱えて涙目になる

なるべく早めに解決させたいから新聞部から情報を引き出して毎回話し合いをするしかない

新聞部OGであるエドに交渉に行くのは正直嫌だけど仕方がない

お金よりも長引かせる方がしんどそうだ

「マナ先輩大丈夫ですか?」

そう言って顔を覗き込んで心配してくれるのはフェイ君だ

「ありがとう。フェイ君。人間は仕事をたくさん抱えると病むのよ。でもこれは私の成長に必要なことなの。今はしんどいけれど、いい経験だったと笑って話せる日が来るわ。そういうものなの。」

「かっこいいです…マナ先輩。」

「惚れちゃう?」

「ぞっこんです♡」

そう言ってフェイ君は私に腕を絡ませる

「近すぎる。離れろ。」

そう言ってクリスがベリっと私達を引き離す

「嫉妬深い男は嫌われますよ?クリス様。」

とフェイ君が言う

「俺のマナだ。」

「彼氏でもないのに…そんなこと言う権利ないですよ?みんなのマナ様なんです。みんなのアイドルマナ様なんです!!」

「アイドルなんて今すぐやめろ!マナ!!」

「私のアイドルは1日でやめたわよ。」

「ほらみろ!マナはもうアイドルなんかじゃない!みんなのアイドルマナなんて幻想は捨てろ!ここには等身大の普通の女の子のマナしかいないんだ!今すぐにでも俺の女になるマナだ!!」

「ダメダメダメ!マナ先輩を独り占めなんてさせないですから!マナ先輩に恋人が出来ない限り僕達みんなのマナ先輩です!!」

フェイ君はドヤ顔をして主張する

「マナ。今すぐ俺の恋人になろう?」

「ごめんなさい。クリスの恋人にはなれません。」

もう何百回と言われている告白を私は毎回断る

「俺のこと好きなくせに。」

そう言われて私は黙ってしまう

毎回そう言われるんだけど

私の気持ちがバレたんじゃないかと不安になる

まだバレるわけにはいかない

マオを待つと決めたから

私はポーカーフェイスを必死に作って誤魔化す

私の気持ちをすぐに悟るクリスをどこまで騙せるか

不安で仕方がない

私は無理矢理話題を逸らす

「フェイ君って最近何かいいことあった?」

「えっ…えっと…マナ先輩…あの…僕実は…友達が出来たんです…」

フェイ君は照れながら報告してくれた

「え!そうなの!?おめでとう!!」

「ありがとうございます。同じ美術部のジャンって言うんですけど…ちょっと変わったやつですけど、いいやつなんです。」

「そうなんだ!今度紹介してね!」

「はい!!今年の体育祭はマナ様が体操服盗まれた事件があったので、男が女装してチアリーダーをすることになったんですけど…僕と一緒にジャンもやってくれることになったんです。僕がジャンの女装を仕上げることになったんですけど“誰よりも可愛くしてくれ”なんて言うんですよ。ホントに変わったやつですよね〜。」

とフェイ君が初めて出来た友達のことを幸せそうに雑談しているだけでこちらも幸せになれる

癒される

思わずフェイ君の頭をよしよししてあげた

この世界は私の恋の成就を見守るよりも

フェイ君の成長を愛でる世界にした方が絶対にいいと思う

「フェイ君とジャン君のチアガール楽しみにしてるね。」

「クリス様もチアガールやるんですよね?」

「…まだ決まっていない。」

「マナ先輩!!クリス様のチアガール姿見たくないですか!?」

「見たいなぁ。」

「ほら!マナ先輩が見たいと言ってますよ!クリス様!!」

「やるよ。俺が世界一可愛いチアガールになってやる。」

「やったー!!!クリス様はマナ先輩に言われたら本当にちょろくて最高に操りやすいですね!!」

「お前ら本当に平和そうでいいな…俺は男装チアガールに変更になったからチアガール衣装を用意しないといけないから大変だっていうのに…」

とマール様が言う

「僕!!僕が選びます!!最高のチアガール衣装を!!」

生徒会に入って初めてイキイキと仕事をするフェイ君を見た

何かと忙しい生徒会だけど

みんなで協力してスカーレット学園を守っている今年の体制は

お互いにカバーする仲間という絆が芽生えていた


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