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第209話 ディナーショー

キッカ国を満喫して私達は帰る日になり出航する

「とても楽しい音楽旅でした。オーケストラ招待してくださりありがとうございました。カイザーさん。」

私はこの国1番の音楽の巨匠のカイザー師匠にお礼を言う

「今すぐこのままキッカ国へ音楽留学してもいいのに。」

「バーバランド国でまだやらないとはいけないことがあるので。」

「聖女様は忙しいね。早く聖女活動は引退してピアニストとしての人生を歩むことをおすすめするよ。」

「私もそう望んでいます。」

「マナは完全無敵の聖女だと思っていたけれど…目の前で倒れた姿を見るとそうじゃなかったんだと実感したよ。奇跡の力は代償がでかいんだね。命かけて他人を助けるなんて危ないことは早くやめた方がいいよ。」

「いや…あれは私の白魔法が暴走しちゃっただけで、正しく使えば倒れたりしないから大丈夫ですよ。」

「護衛騎士に聞いたらこれまで何度も倒れて死にかけたとか。」

「…口軽いなぁ。私の護衛騎士は。」

「内密にするようなことじゃないだろ。」

「人の恥ずかしい過去は喋るもんじゃないでしょう?」

「ルナが倒れている間、護衛騎士達はルナの黒歴史暴露大会をしていたけれど。」

「解雇してやろうかな。あいつら。」

「とても面白い話だったよ。」

「記憶を消す忘却魔法とか使えたらいいのに。白魔法って不便だな。」

「俺の不治の病を治している奇跡の魔法なのに不便呼ばわりはひでぇな。白精霊が怒るぞ。」

「白精霊にはちょっと嫌われるぐらいがコントロール出来るからいいの。」

「聖女様は大変だね。」

「早くこの重い荷物を下ろしたいよ。」

「卒業後は思いっきり自分のやりたいピアノを弾けるからな。それまで無理しない程度に頑張れよ。」

「ありがとうございました。また1年後会えるように頑張りますね。」

「あぁ…」

私達は豪華客船に乗り込んだ

そして何故かカイザー師匠も豪華客船へと乗船する

「なにやってるんですか?」

「いや…俺も乗るし…」

「え?なんで?」

「だって俺、豪華客船でやるルナのディナーショーにニックから招待されてるし。」

「は!?」

私はニックを睨む

「聞いてない!」

「言ってないからな。」

「なんで言ってないのよ!バカなの!?」

「言ったら断るじゃないか。」

「だからって騙してディナーショー開催はダメに決まってるでしょう!?」

「即完売だったよ。すごく儲かった。」

「勝手に私で金稼ぎするな!!」

「俺が一生懸命育てたんだからこれぐらい恩返ししてほしいものだね。」

「う…」

そんなこと言われて断れるわけがない

しかもチケットを購入して楽しみにしているお客さんにいきなり中止にしたら失礼だ

「卑怯者…」

「はいはい。諦めて早く練習したら?本番は明日の夜だよ。」

「鬼!!悪魔!!」

「キッカ国に来るならこれぐらい余裕でこなせるようになって欲しいね。」

ニックは音楽が関わると別人のようにスパルタ人間になる

自分に厳しく他人にも厳しい

楽しい楽しい音楽旅のはずが

最後の最後に地獄のような試練が待っていた

私は頭を抱えながら練習室でピアノを練習する

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ!みんなマナ様の演奏なんてオマケですって!マナ様の美貌とか美貌とか美貌を見に来てるんですから!」

私がピアノを練習している横に何故かルークがいる

「そういうミーハーな人間を全員演奏の虜にさせるにはどうすればいいか考えているのよ!」

「何の為に?」

「私のピアノに価値をつける為によ!」

「マナ様の美貌より価値のあるものなんてこの世にありませんよ?」

「うっさい!!美貌なんてオマケ要素なんだから!!絶対ピアノで虜にしてやるんだから…ニックもセトリぐらい考えてくれたらいいのに…何を弾けばいいかさえわからないよ…」

「どうせ誰もあまり気にしませんって。好きな曲弾けばいいですよ。」

「あまり気にしないとか言わないで!少なくともカイザーさんは私のピアノを聴きにきてるんだからね!!」

「物好きな人ですね。」

「物好きなやつはルークの方でしょう!?」

でも…今から弾くなら好きな曲で固めるのはアリかもしれない

初めてのディナーショーなんだから好き勝手にやってみてもいいかもしれない

前世の頃の曲とかふんだんに入れて

クラシックは封印するのもいいかもしれない

こんなルークの言葉で方向性が決まるのは癪だが

私は5曲とも前世の曲にした

曲も決まり集中して練習をする

その間ルークはずっと何か話していたけれど

私は話す余裕がなく無視していた

食事もあまり食べずにひたすらピアノを練習する

どれだけ練習しても白魔法で全快できるのは

私の強みだ

あっという間に次の日になり私のディナーショーが始まる

「は…初めまして。エラート・マナです。私のディナーショーにお越しくださりありがとうございました。」

「初めてのディナーショーで。とても緊張しています。」

「みなさん寛大な心で見守ってくれたら幸いです。」

「今回用意した曲はみなさんが知らない曲だと思います。」

「でも…私の大好きな曲を詰め込んだので楽しんでいってくれたら…と思います。頑張ります!!」

大きな拍手に包まれて

私はピアノを弾く

前世の時に弾いていた曲だけど

あの時とは全然違う

今の私はニックに鍛えられたんだ

レベルが数段上がった私の全力のピアノを

どうか聞いてほしい

5曲全て弾き終えて大きな拍手の中

大盛況で私のディナーショーは終わった


「マナ。お疲れ様。」

そう言って声を掛けてくれたのはカイザー師匠だった

私のピアノを純粋に聴きにきた

ただ1人の人間だ

「初めてなので…好き勝手に弾いちゃいました。えへへ。」

「素晴らしかったよ。コンクール向けのピアノじゃないからね。マナは。心からこの音楽を愛していると感じる素晴らしい演奏だったよ。聞いたことない曲ばかりだけれど…何の曲だったんだい?」

「前世の曲だよ。」

私は不敵に笑って言う

「この世界は前世の私のことを気に入った神様が私の為に道楽で作ったんだ。私が恋をしてハッピーエンドになるように願いを込めてね。」

「マナの信仰しているは神様ってファンキーだね。」

「クレイジーだよ。」




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