第207話 花祭りフィナーレ
弾き語りのピアノで大勢の人達が集まってきてくれていた
私は観客の皆さんにお礼の挨拶をしてステージから降りる
私は花祭りの締めの挨拶を頼まれている
お花を売っている店に行き
終了間際残っているお花を全て買い占めた
花祭りのフィナーレはフォークダンスを広場で踊るようだ
「俺と一緒に踊ってくれますか?」
ニックが私に手を出して言う
「もちろん。私の師匠様。」
私はニックの手を取りフォークダンスを踊る
「上手だね。マナ。」
「アーネルド・マリアの時にたくさん練習させられたからね。綺麗なダンスを踊らないと嫁の貰い手が見つからないぞって。」
「アーネルド・マリアでも引くて数多だったと思うけど。」
「どうかな。今となってはわからないけれど。」
「マナの魅力は外見じゃないから。人を惹きつけるのは外見ではなく、マナの人間性だ。」
「人を惹きつけようと思ったことなんてないけどね。」
「フフッ。それでも…それがマナだ。人から愛される自分の人間性をもっと誇ってもいいと思うよ。」
「ニックのような人間性なら胸張って誇れるのになぁ。」
「音楽しか興味のない面白味のない人間だよ?」
「私はね。継続して努力出来る人間に強く憧れているの。私もそうでありたいと強く願ってる。だからニックみたいになりたい。」
「マナがコンクール優勝したのはマナの努力の結果じゃないか。」
「そう。だから死ぬほど嬉しかった。初めて自分を誇れるようになった。ニックのおかげだよ。本当にありがとう。」
「キッカ国で音楽をやるならまだまだここはスタートラインだ。俺もだけど。」
「うん。きっと上手くいかなくて心折られることばかりだと思う。でもそれでいいんだ。簡単に手に入っても大事に出来ないから。苦しんで辛くてもがいて手に入れたものこそ私の財産であり宝物になれると信じてる。」
「報われないかもしれないよ。」
「構わない。結果はおまけだから。努力した時間こそが私の財産。」
「俺は音楽で稼いで生活しないといけないからね。結果はおまけなんてとてもじゃないけど言えない。」
「確かに。ごめんね。私感じ悪かったかな。」
「そんなことない。お金の為じゃなくて自分の為にマナはピアノを弾くからあんな綺麗に音が響くのかもしれないね。」
「自己満足で弾くからなぁ。」
「俺は観客のウケとか考えてやっぱり弾いちゃうからなぁ。」
「いいじゃない。その方がプロだよ。」
「マナのように独自性の魅力を身につけたいな。」
「今も最強なのに。向上心があってすごいなぁ。」
「俺なんてまだまだだよ。」
雑談を交わしながら私達はフォークダンスを終えた
私はステージに呼ばれて締めの挨拶を頼まれる
私は花祭りに集まった人達に向けて挨拶をする
「初めまして。エラート・マナ。聖女です。」
「このような素晴らしい花祭りに呼んで頂きありがとうございました。」
「花祭りは大切な人に花をプレゼントして感謝の気持ちを伝える日ですが」
「皆さんは花をプレゼントして感謝の気持ちを伝えたでしょうか。」
「自分の周りにいて支えてくれている人達に」
「感謝を」
「親しき仲にも礼儀ありと言う言葉がありますが」
「親しき仲の間柄こそ大事にして」
「毎日感謝して」
「仲良くすることが」
「平和への1番の近道です。」
「当たり前の日常に最大級の感謝を」
「食事に」
「寝床に」
「人間関係に」
「感謝の気持ちを忘れないでください。」
「私から」
「キッカの皆さんに出会えたことに」
「最大級の感謝を」
「この花祭りに」
「参加出来たことに」
「最大級の感謝を」
私は先程買い占めた花を風魔法に乗せて集まった観客達に花をフワッと飛ばす
さらに白魔法も上乗せして花を受け取った人達全員が健康になるようにした
観客達は花を受け取った瞬間に白魔法がかかり疲労感もなくなり、病気も何もかも治っていく
大きな歓声が上がり
“マナ様ーーー!!”
“聖女様ありがとうーーーー!!”
“聖女様万歳!!!”
と大盛り上がりしていた
「この世界は美しい!!希望を持って未来をみんなが歩けますように!!」
風魔法と白魔法を併用して使い
しかも大規模な範囲で使用した為
魔力枯渇で私は倒れた
「マナ様ーーーー!!」
「このバカ!!何回言ったらわかるんだ!!」
レイとマリオお兄様の怒号を聞きながら
私は意識を落とした