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第203話 誘拐

俺の人生なんてありきたりの普通の人生で

ここで語るような大きな幸せもなければ

過去にトラウマを抱えるような大きな不幸もなく

普通に親から愛情を貰って育ったし

就職することにも特に苦労なく庭師になれたし

ただ1つだけ変わったことと言うならば

極度の面食いということだけだ


美人な女性が大好きだ

だから今の彼女が裏でヤバイ組織と繋がっていようが

俺には何も問題がなく関係ないと思っていた

彼女が美人局であることなんて最初から気づいていた

それでも彼女、ロゼッタの言いなりになっていた

お金なんて稼げばいいだけだし

騙されてもいいから

美人な女を抱かせてくれるなら

俺は大満足だったんだ

それでも聖女誘拐の話はさすがにまずいと思っていた

それでも話を受けたのは

こんな計画上手くいくわけないと思っていたから

世界最強の聖女様なんて近寄ることさえ困難だ

そんな相手と仲良くなるなんて

夢のまた夢だったし

彼女には失敗してごめんねって言って

それだけで終わる話だったのに

運悪く世界最強の聖女様と仲良くなってしまった

そして俺の企みはあっさりバレて

牢獄行きが確定した

最悪最低の結果になったけれど

世界最強の聖女様の美貌は噂以上に美しく

笑った顔も

怒った顔も

全部全部俺に向けてくれる表情の全てが

俺の宝物だ

面食いの俺にとってこんなに贅沢なことなんてない

牢屋に入ることは不幸だけど

マナ様の友人になれたことは幸福だから


今日はマナ様が誘拐犯に狙われるようにわざと人気の少ない場所で食事をする

豪華客船で唯一友人になれた俺は

マナ様を狙う組織にとっては格好の餌食であり

スカーレット学園からほとんど出てこないマナ様を捕えるのには

大チャンスなのだ

「ここのパンおいしーね。」

とても暢気にマナ様は会話をする

緊張が漂うと警戒されるからかもしれないが

それでもこれから誘拐される予定という緊張感が全くない

「そうですね。マナ様は料理上手と噂されてますが本当ですか?」

「えへへ。外見以外で褒められると嬉しいなぁ。一応毎日料理はしてるし、評判いいんだよ。」

「それは是非食べてみたいですね。」

「キッチンがあればいつでも作るよ。」

マナ様は俺のような庶民にもお優しい

人を身分で判断することなく

人を外見で判断することもなく

人の本質を全て見透かすような目で

マナ様は人と接する

「マナ様の手料理を食べるまで死んでも死にきれないな。」

「何それ。今から戦場に行って死ぬわけでもないのに。」

マナ様はからかうように笑いならがら言う

可愛い

「人生何が起こるかわかりませんから。」

俺がそう言った直後、目の前にいるマナ様は一瞬で複数の男に拘束された

そして俺も拘束されて

あっという間に風魔法で移動させられて誘拐された

着いた場所は大きな倉庫だった

俺のマナ様の身柄を拘束している誘拐班と

マナ様を拉致しようとしているラージ国の取引現場だ

ラージ国は大金を誘拐犯に渡しており

それに応じて俺とマナ様はラージ国へ身柄を渡された

取引が成立した瞬間

大きな炎のドラゴンが倉庫の中に現れた

誘拐犯は10名程、ラージ国の拉致組織は50人程人数がいたのにも関わらずあっという間に炎のドラゴンに全員包囲された

俺とマナ様の拘束はマナ様の護衛騎士のマリオが解いてくれた

「魔法拘束付きの縄で縛るなんて…。こんなアイテムあるのね。」

「どこから入手したのかも聞き出しますよ。」

「頼もしいマリオお兄様。」

「全員捕まえるんだろ?」

「もちろん。こんな所で負けてるようじゃ魔王に勝てっこないからね。腕試しには丁度良くて寧ろいいんじゃない?」

「…あまり無理しないように。」

「そっちもね。」

マナ様の体から白の光の粒が光る

神々しいその姿はまさに世界最強の聖女様だった

「綺麗だ…」

俺はマナ様のあまりの美しさにそう呟いた

マナ様の美しさに目を奪われている間に

マナ様の護衛騎士の魔法の力がマナ様の白魔法により強化されて優勢になり炎と雷の魔法が大暴れをしていた

次々と人が倒れていくが劣勢だと感じて風魔法で逃げようとするやつらも

炎のドラゴンで包囲して逃がさないようにしていた

マリオ様とレイ様が攻撃されても

あっという間にマナ様の白魔法で回復する

まさに最強の布陣だ

「ルーク!!助けて!!!」

名前を呼ばれて振り向くと

そこには俺の彼女ロゼッタがいた

「ロゼッタ…どうしてここに?」

「そんなことはどうでもいいのよ!!早く!!私を助けて!!こんなところで死にたくない!!」

今の今まで神々しいマナ様を見つめていたからだろうか

目の前にいるあんなに美貌が美しく大好きだった彼女は

とても醜く、浅ましく見えてしまった

「うっせぇブス!!誰がお前の味方なんかするかよ!!俺は超絶美人なマナ様に拾われたからお前なんか用済みなんだよバーーーーカ!!」

「なっ…!!この裏切り者!!クズ男!!最低!!」

「人から散々金を巻き上げた挙句に犯罪に手を染めやがって!!お前のような女しるかよ!!美人でもなくなったロゼッタに価値なんてないから助ける理由なんてないよ!!」

「最低ーーーーー!!!」

そう叫びながらロゼッタはマリオ様の雷に撃たれて気絶した

気づけば全員気絶して誰も動けなくなっていた

「凄い!!マナ様!!悪の組織を殲滅するなんて!!こんなにも強いんですね!!かっこいいーー!!ますます惚れ直しますよぉ!!!」

「彼女にブスとか言う最低のクズ男に褒められても嬉しくないけどね。」

とても冷え切った目で冷淡な口調で言われてしまった

最低のクズ男なんて失礼だな

俺は人よりちょっと面食いなだけの

普通の男なのにさ






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