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第2話 神様は厄介オタク

「こんなに若いのに事故で死んだ哀れな魂。次の人生では大団円大往生人生薔薇色になれる世界に送りましょう!!」

 いきなり現れた長身細身の長髪銀髪イケメンがなんか言ってる…

 ここはどこ?背景なんてなくて真っ白な世界。夢見てるのかな……

 「何これ!!どういうこと!?!?」

 パニック状態の原田さんが叫んでる

 ここにいるのは原田さんと葉月ちゃんと私と謎の銀髪イケメンだ。私はただ呆然と眺めることしかできなかった。何が起こってるのか全然わからない。

 「ここはどこですか?」

 葉月ちゃんが銀髪に話かける。葉月ちゃんが頼りになりすぎて泣けてきた。怖いけど葉月ちゃんがいるなら大丈夫…

 「ここは天界だよ!さっきも言ったけど君達三人は残念ながら事故で死んでしまったんだ。」

 嘘でしょ…人生まだまだこれからだったのに!

 お父さん…お母さん…お姉ちゃん…

 大泣きした。もう会えない家族、ダンスチームの仲間。なにもかも受け入れ難い事実。葉月ちゃんに縋りつくしかなかった。

 葉月ちゃんだって辛いのにずっと慰めてくれた。

 もう泣きすぎてわけわらなかったけど原田さんも泣いてたと思う。

 わんわん泣いて泣き疲れて一時間ぐらい経ったら

 「そろそろ落ち着いた?本題に入ろうと思うんだけど♪」

 この人なりに空気を読んで待ってくれたんだろうけど、明るく楽しげな声は今の私達にはデリカシーないなと思った。

 「私は創造の神。アルテミス。実は今流行りの異世界転生世界を作るのにハマってて、君達はちょうど乙女ゲームの世界にピッタリ!!配役もバッチリだから嬉しくて〜テンション爆上げーー」

 「クソうざい!なにこいつ!ほんとに神様??

 悪魔の間違いじゃないの!?」

 原田さんが叫ぶ。普通に同意。絶対大魔王だと思う。

 「失礼だなー。神の中でも上位の存在なんだぞー!

 まぁ今はご機嫌だから許してあげる♪話続けるよ?

 君達が入る異世界は

 魔法学園イケメンパラダイス〜王子も幼馴染もバイオリニストも優等生も先輩も後輩も先生も魔王まで!?みんなに溺愛されて困っています〜

 の世界に入って貰いまーす!!」

 乙女ゲームはやったことないから知らない。実在するゲームなのか…?

 葉月ちゃんに知ってる?と耳打ちすると

 「知ってる。有名で人気な乙女ゲームだよ。全部のルートクリアしたよ。」

 そうなんだ…私は某インク塗りゲームばっかりやってたからな…

 「それでは!配役を発表しまーす!!まずは佐野さんはモブ令嬢です。

 モブと言っても伯爵家なので当然豪勢な素晴らしい人生が待っています!薔薇色人生です!!

 そして原田さんが悪役令嬢です!佐々木さんをいじめていた貴方にはピッタリの配役でしょ?

 悪役令嬢はヒロインをいじめて没落し、婚約者をヒロインに取られて修道院に送られます!ちょっと過酷だけど修道院暮らしは特に悪いわけじゃないから安心してね!

 最後は華ちゃん!貴方は愛されヒロイン役でーす!貴方しかこの役は出来ません!!貴方にこの役に転生させられるなんて…はぁーーーーもうめちゃくちゃテンション爆上げです!たくさんの男を虜にしてイチャラブな世界になること間違いなし!!

嬉しすぎるぅーーー!」

 「「嫌です!!!!」」

 私と原田さんの声が被った。

 「ハァ??なんでアンタが嫌がるの??ヒロインのくせにほんとにムカつく。私なんて悪役よ?最悪すぎる。」

 「私も嫌。愛されヒロインなんてなりたくない。普通に…穏やかに…生活したい……。」

 ポロポロと涙が落ちる。だって嫌なんだもん。可愛くたって全然いい思いしたことなんてない。たくさんの人に愛されて本当にそれが幸せなの?

 私はいつも男の人を振るときに心苦しかった。誠意に応えてあげれないもどかしさ。自分なんかを好きになってくれたのに傷つけることしか出来ない無力感。告白されて断るだけ増える女の子達からの嫉妬や恨み。辛かった。もうあんな思いはしたくない。

 「じゃあ私と配役代わってよ!」

 「いいよ。代わろう」

 即答した。悪役の方が絶対いい。

 「だーめに決まってるでしょ?原田さんの魂レベルでヒロインになれるわけないじゃない。

 ヒロインは誰よりも特別なの可愛くて清廉潔白それでいて前向きなヒロイン。原田さんに出来るわけない。」

 「そんな…」

 原田さんは黙りこんでしまった。あぁまた同じような人生歩むことになるのか…と思っていたその時

 「私…私はヒロインになれますか?」

 葉月ちゃんが言った。

 「え?君が??うーーーー!ん。魂のレベル的にはギリギリいけるけどめちゃくちゃ難しいんじゃない?…大丈夫?男連中みんなに愛される役だよ?君にほんとにできるの?」

 「そうだよ!私なら平気だから普通にモブ令嬢やった方がいいって!」

 葉月ちゃんは微笑みながら

 「いいの。モブ令嬢だってきっと政略結婚とかさせられるだけだから。それなら佐々木さんの役に立ちたいの」

 「やめて…違うの…ほんとにちょっと不満に思ったこと言っただけだから!ヒロインでも全然大丈夫だから!」

 「佐々木さん。前の人生貴方に助けて貰ってばかりだった。だから恩返ししたいの。これは私の我儘だから。お願い…ね…?」

 泣きながら訴える私を宥めてくれる。違う。助けて貰ってたのは私だ。葉月ちゃんはいつも私のこと気遣ってくれた。違うのに!

 「ハァーーーーーーーーー。尊い!!!君達の熱い百合物語を見て感動しました!!ほんとうにほんとうにほんとーーーにヒロイン役は華ちゃんがよかったのですが…尊い百合に免じて交換してあげましょう!

 原田さんは悪役令嬢!

 佐野さんは愛されヒロイン!

 そしてーーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華ちゃんは念願のモブ令嬢です!!

 

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