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第199話 自白

私はルークの手を引いて自室へと連れ込む

ソファに座らせて話を聞こうとすると

隠れていたレイが出てきて剣を抜いたので

「ルークは私の友人です。無礼はやめなさい。レイ。」

「マナ様を騙して危険な目に遭わせようとした犯罪者です。」

「未遂だからセーフなの。下がりなさい。」

「…。」

「下がりなさい。」

2回目でレイはようやく剣を鞘に戻して下がってくれた

「ごめんね。私の護衛騎士は少し過激派なの。」

「…いいえ。当然の報いだと思っています。」

「ねぇ。ルークの目的はなんだったの?」

「…言えません。」

「うーん…困ったなぁ。じゃあルークは彼女の指示に従って地獄の毎日を続けるのね。」

「え…」

「何も言わないならしょうがない。彼女を選んでもいいのよ。私は何も困らないもの。どうぞ私を陥れてみて下さい。それでも構わないわ。ちっとも負ける気がしないから。」

「俺が…自白すると…彼女の人生が終わってしまうのではないだろうか…」

「うーん…残酷なことを言うけど彼女は私に手を出そうとした時点で普通の日常に戻るのは無理だと思うよ。ここでルークが言わなくたって後々にバレることだし。今黙っても彼女は将来的には必ず捕まるからここでの黙秘はあまり意味がないどう思うよ。」

「1年ぐらいは穏やかに過ごせるんじゃないですか…?」

「フフッ。ごめんね。たぶん3日ぐらいで捕まるよ。」

「…。」

「どうする?」

「わかりました。私が知っている全てを話します。」

「ありがとう。ルーク。」

「彼女の名前はロゼッタ。ロゼッタは金遣いが荒くて借金があった。そして借金取りの人に仕事を依頼されたんだ。

依頼内容は“聖女と仲良くすること”」

「仲良くすること?」

「そう。聖女は身内に甘いことはリークされていた。仲良くなれば贔屓目に良くしてくれる。昨年のカルト団体壊滅事件は豪華客船で知り合っただけの関係性の薄い少年だったのにも関わらず、聖女は激怒してカルト団体を壊滅させた。知り合って間もない人間だろうが、“気に入って貰えれば”聖女の心を掴めば…聖女を味方に引き入れることが出来ると考えたんだ。」

「フフッ。そんな風に思われてたんだ?私を手懐けるなんて…マオにしかできないのにな。」

「計画では豪華客船で過ごすうちに聖女の友人になり、キッカ国に到着後わざと誘拐される。助けに来た聖女を仲間達で全員捉えてラージ国へと連れて帰る。」

「ラージ国。」

「そう。俺とロゼッタの国。聖女を手に入れることは世界を手にすることと同義。聖女をラージ国へと連れて行ければこっちのものだからね。白魔法しか使えないか弱い少女を捕えるのは容易い。」

昨年のマオが魔王であることは知っていて

今、マオが私と一緒に行動していないことも知っているのに

何故私が全部の魔法を使えることは知らないんだろう

情報屋のエドは知っているのに

ラージ国が情報を聞き出すお金を出し渋ったのだろうか

なんとも爪が甘い計画すぎる

「それで彼女のロゼッタに頼まれてルークが代役で私を騙す役になったと。」

「ロゼッタはわざと誘拐されると言っても協力関係ではない相手に隙を見せて誘拐を誘導する計画の為、リスクが高すぎるのを嫌がった。マナ様がもしも見捨てたら誘拐されて奴隷にされるからだ。だから俺に頼んだ。“聖女を騙してほしい”と。」

「それで引き受けちゃったんだ。」

「…こんなのただの言い訳だれど、俺はマナ様に接触して仲良くするつもりなんてなかった。だって俺は計画が失敗しても困らないからね。借金は別の方法で返せばいい。」

「運悪く仲良くなってしまったんだね。」

「フフッ。そういうことだ。」

「話してくれてありがとう。」

「申し訳ございません。この船を降りたら俺は誘拐されて捕らわれると思います…。だから…助けて頂きたいんです。」

「えー?でも助けたら私がラージ国に捕まるんでしょう?」

「えっ。で…でも助けて頂かないと俺は奴隷にされてしまいます。マナ様は捕まらないように俺を助けて頂ければ1番いいかと…。」

「うーん。めんどくさいなぁ…」

「あ…あの…私は…どうなるのでしょうか…?」

「ねぇ。レイ。私の魔法の秘密もうバレてもいいんじゃない?」

「ダメです。騎士団は10人います。俺達が悪人を全員捕えます。」

「誘拐犯グループとラージ国の隠密軍団を10人じゃ無理じゃない?」

「…まさか集まったところを全員一気に捕えるつもりですか?」

「うん。その方が効率的でいいと思わない?」

「ダメです。敵に手の内を見せるのは良くない。全員は捕えるのは無理かもしれませんが…」

「今こそ力を発揮すべきだと思うけど。」

「ダメです。」

頑なに許可がおりない

私の魔法で一網打尽にしてやりたかったのに

「あ…あの…私は助かるんでしょうか?」

「誘拐犯グループからは助けてあげる。」

「よかった…ありがとうございます。」

「その後は騎士団にルークを渡すし、捕まるけど。」

「えぇ!?助けて頂けるって…!!」

「うん。ちゃんと牢屋に入って反省したら助けてあげるよ。」

「牢屋に入れられるんですか!?」

「聖女誘拐の実行犯だからね。」

「未遂ですよ!?許してくださいよ!!」

「許したら助けにならないもん。」

「えっ。」

「罪は罰せられないといけない。全てを許すのが助けじゃない。」

「…。」

「人生プラスマイナスゼロなんだって。辛いことが多かったならこれから先楽しいことがたくさんあるはずよ。」

「俺から彼女も奪ってこれから先に楽しいことが?そんなのないよ。適当なこと言わないで。」

「彼女より私を選んでよかったと言うわよ。」

「だから何を根拠に…」

「わかるの。あの本を進めたルークなら私の言ってることをいつかは理解して感謝する日がくる。絶対ね。」

「俺を誑かして牢屋に入れた女に感謝を?ありえないね。」

「フフッ。更生したらいい女紹介してやるわよ。ルークはどっぷり恋愛体質だから悪い女にまた捕まらないようにアフターケア付き。完璧な未来計画なのに。この素晴らしさが見えてないなんて残念だわ。」








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