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第198話 名探偵シャルル

目元が隠れていれば案外バレないとわかったので

私はシャルルの変装のままニックのディナーショーへと行く

ニックのファンは老若男女幅広くファンがたくさんいる

1番多いのは同世代の女性ではあるけれど

それでもたくさんの人にニックの演奏は愛されている

出る杭は打たれるという言葉があるが

ニックは恨みや妬みをあまり買わない人望のようだ

エレナードも良きライバルって感じだし

すごいなぁ

私とは大違いだ

私なんて嫉妬や僻みでボッコボコに叩きに叩かれて

私の杭は元の原型がないほどバキバキに折られるのに

そして人間不信になって

引き篭もりがちになって

人と壁を作ってしか接せなくなって

ああああああああああああああああ

自己嫌悪のネガティブ思考になってしまっている

マオがいなくなってからどんどんネガティブになってしまっている

マオがいるから元気でいられたのに

ずっと弟でいて欲しかったなんて

結局私のエゴの押し付けでしかなかったんだな

私はマオの気持ちに寄り添って

歩み寄らなければいけない

だから会いにきてくれるまで

私は待ち続ける


私は後ろの立ち見からニックのディナーショーを見に行った

…?

いつもと違う

完璧に楽譜通りに演奏するのがニックの演奏だったのに

今日のディナーショーはニックのアレンジがかなり入っていた

珍しい…

観客もいつもと違うニックの演奏に困惑していた

ディナーショーは観客の戸惑った雰囲気を残したまま終えた

ニックは終わった後も、ファンの方々とお話をしているので

私は自室へと帰った

お風呂に入って今日はもう就寝をする


次の日、私はルームサービスの朝食を頼んで食事をする

そしてまたシャルルに変装をして図書室へと行くと

「おはようございます。」

ルークが話しかけてくれた

「おはよう。フフッ。ルークがいるんじゃないかなって思ってまた図書室に来ちゃった。」

「俺に会いに来てくれたんですか?」

「そうよ。」

「そ…そんなこと言われたら俺に惚れてるって勘違いしちゃいますよ?」

「あはは!ごめんごめん!でも会いたかったのは本当だこらさ。」

「俺は恋人がいるから勘違いせずにすみますけど…」

「恋人いるんだ。この豪華客船には乗ってないの?」

「乗ってないよ。彼女は音楽に興味ないみたいで。キッカ国に一緒に来てくれなかったんだ。」

「キッカ国の魅力は音楽だけじゃないのにね。」

「そうだね。一緒に来たかったな。」

「まぁ今回は私で我慢してください。」

「とても贅沢な我慢だね。」

私達は本を選びたわいもない会話をする

今日はカフェで昼食を食べながら一緒に本を読むことになった

水をこぼした青年も私に気づいていないので

緊張することなく、水も料理も運ばれてきた

「シャルルはピアニストになるの?」

「うーん…考え中。」

「他にやりたいことがあるの?」

「特にないからか困ってる。ルークは仕事何をしているの?」

「俺は庭師をしているよ。花の手入れをすることが好きなんだ。」

「とても立派なお仕事ね。私が将来屋敷を建てたらルークに庭の手入れお願いしようかな。」

「今の倍額出してくださいね。」

「めちゃくちゃふっかけるじゃん!」

「フフッ。シャルルの屋敷で働くなんて…とても楽しそうでいいね。」

「そうでしょう?」

「俺は…恋人と幸せに暮らすことが出来ればそれ以上は何も望まないよ。」

「今は恋人と幸せに暮らせてないの?」

私の言葉にルークは言葉を詰まらせる

「…幸せだよ。」

そう言うルークの顔はまったく幸せそうじゃなかった

顔に感情が出るタイプすぎる

「恋人同士の痴情のもつれは恋を知らない私にはアドバイスできないからなぁ。ごめんね。」

「そんなに大したことじゃないんです。俺が彼女のことを好きすぎて…ただそれだけです。」

顔を曇らせてルークは言う

「嫌われたくないからなんでも言うこと聞いちゃうとかそう言う感じかな?」

私の言葉にビクッと体を震わせて

何かに怯えている

「いえ…そんなことは…」

「そんなに怯えなくても…ごめんね。無神経なこと言っちゃったかな。」

「いえ…」

そう言ってルークは本を読み始めてしまった

どうして私は人を見る目があるのだろう

どうして私は勘が鋭いのだろう

「私。ルークのこととてもいい人だと思うんだ。」

「ありがとうございます。光栄です。」

「でも…悪いことしようとしてるよね?」

私の言葉にルークは固まる

そして私は言葉を続ける

「ルークは恋人に頼まれて私を陥れようとしている。」

「なっ…!!どうして!情報が漏れることなんてなかったはず!!」

「あーぁ。ダメじゃない。カマかけただけだったのに。」

「あっ…」

「ルークはいい人だから。向いてないよ。こんなこと。」

「なんのことだかわかりません。マナ様の妄想です。」

「そう。じゃあ仕方ないね。」

私はルークに近づき頬にキスをする

至近距離で目線を合わして

にっこりと微笑む

「な…なにして…」

「大事な恋人より私のことを好きになれば悪いこともやめてくれるんじゃないかなって。」

「何をバカなことを…」

「本気だよ?私は。それに…人を恋に堕とすことは私得意なんだ。」

「やめてくれ…俺は…!!」

「大丈夫だよ。あと10秒でルークは前の恋人のことを忘れて…私に恋するから。苦しさから解放されるよ。」


私はルークの膝にのり抱きつく

そして10カウントダウンをする

「じゅーう。きゅーう。はーち。なーな。ろーく。ごー。よーん。さーん。にーぃ。いーち。」

「ぜーろ♡」

顔を真っ赤にして恋に堕ちているルークがそこにはいた

「フフッ。私を陥れようなんて100億光年早いわよ。ルーク。」






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