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第196話 出航

あっという間に2年生の1学期が終わってしまった

今日から夏休みに入るのだが

私とニックはまたキッカ国へ行く

私はピアノコンクールで優勝した副賞でキッカ国へ招待された

ニックは今年もヴァイオリンのコンクールの本選の為に行く

今回は私が伴奏ではなくてプロの方にお願いしている

前回は変装して行ったが今回はマナとしてキッカ国に行く為

王国騎士団が護衛の為に10人付けられた

レイとマリオお兄様だけでいいって言ったのに

前回の私とマオがカルト団体を壊滅させた前科がある為

私の要望が通らず騎士団もぞろぞろ連れて出発する

今回も豪華客船で移動するので私達は船に乗った

「今回も船の上でディナーショーをするよ。」

「まさかとは思うけど私に参加させようとしてない?」

「いや…今回は伴奏をしてくれるプロの方に頼んであるよ。」

「おお。それはよかった。」

「全然良くないよ。俺はルナと演奏したかったのに。」

「オーケストラ部でいつも一緒に演奏してるじゃん。」

「人前で演奏するとまた違った音をルナは出すから。」

「自分では全然わからないけど…いつも強引に私をディナーショーで弾かせてたのに今回はやめたのはなんで?」

「…王様から禁止されたから。」

「え?なんで?」

「マナを人前に出すのはパレード以来初めてだ。」

「実家のレストランにはいたけどね。」

「レストランでも人が溢れただろう?聖女の存在を一目見ようとする民衆が多いんだよ。マナがピアノコンクールで優勝してキッカ国へ行くことが決まってからこの船のチケットはすぐに売り切れ。」

「まさか私に会おうとしてる人がたくさんいるってこと?」

「そうだ。」

「えぇ…」

「マナを目当てで船に乗っている人が多い状態でマナが演奏なんかしたらパニック状態になることは目に見えている。」

「じゃあ私はあまり目立つような行動はしない方がいいってことね。」

「せっかくキッカ国に一緒に行けるのに残念だけど…」

「ニックはまだこれからが本番なんだから私のことは気にしないで自分のことに集中してね。」

「心配しないでも私の演奏は完璧だよ。」

「そんなこと言ってみたいなぁ〜。」

船に乗り、私達は昼食を食べる為カフェへ移動する

私達がカフェに入ると

その場にいたお客さん全員がざわつく

「ほ…本物のマナ様だ!!」

「噂通りお美しい!!」

「まさか肉眼で見ることが出来るなんて!!」

私の周りはあっという間に人だかりができてしまった

「握手してください!!」

「私はサインがほしいです!!」

「お…おれの名前はジャガーって言います!!マナ様!!」

人に押しつぶされそうになるかと思ったが、騎士団の護衛騎士達がガードしてくれた

「今はプライベートで昼食を食べにきただけなので。ここを通してください。」

レイが人だかりに向かって言う

騎士団のみんながあけてくれた道を私は通ってカフェでパンケーキを注文してニックと席へ座った

私達の半径5メートル以内は誰も入れないようにガードされている

どんどん人が集まってきて大勢の人の前でパンケーキを食べる羽目になった

こんなことになるなら自室のルームサービスにすればよかった…

店員は緊張でぷるぷると震えながらお盆にのせた水を運んできた

「あっ!」

店員は目の前でびっくりするほど綺麗にずっこけて盛大に水が私にぶっかかった

私はびしょびしょになり、着ていた下着が透けて少し見えてしまった

「大丈夫ですか?」

と店員に声をかけた時と同時に私はマリオお兄様にタオルで覆い被された

そして目の前の店員はレイに制圧されて捕まっていた

「貴様!!どこの刺客だ!!」

レイが店員に向かって叫ぶ

「ひいいいいいいいい!!ごめんなさいいいいいいい!!!」

店員は泣き叫んでパニックになっていた

「レイ。私は大丈夫だから。店員さんを離してあげて。」

「こいつ!絶対わざとですよ!!」

「ち…違いますうううう!!ごめんなさいいいい!!」

「あまり大事にしたくないから…」

「不敬を働いたんです!部屋で事情聴取はさせてもらいますよ!!」

「私人を見る目だけは自信あるの。この人はただのドジっ子だよ。許してあげて。」

レイは渋々制圧をやめて店員を解放した

「ごめんね。緊張したよね。私は全然気にしてないから大丈夫だよ。」

「ひっく…ひっく…マナ様ああああああ!!申し訳ございませんでしたあああああああ!!」

「いいよ。許してあげる。」

「なんて慈悲深いんだあああああああああああ!!」

人だかりの人達も

「マナ様万歳!!」

「マナ様まじ天使!!」

「マナ様!!マナ様!!」

と大盛り上がりで拍手喝采が巻き起こっていた

私はそのままマリオお兄様に抱き抱えられて

「マナは服が濡れたので自室で着替えます。頼んだパンケーキはマナの部屋に持ってきてください。」

そう言って私を抱えてカフェを出た

一緒に食べる予定だったニックを置き去りにしてしまった申し訳ない

部屋に戻り、マリオお兄様が私の健康チェックを行う

「成分はただの水だな…。」

「大袈裟だよ。大丈夫だって。」

「大袈裟じゃない。聖女を狙う刺客は大勢いる。塩酸をぶっかけられていてもおかしくなかった。」

「もしそうなっても白魔法ですぐに元通りになるよ?」

「…それでも痛い思いをするだろう?俺はマナの護衛だから。傷1つつけさせないよ。」

「誰が来ても負ける気しないのになぁ。」

「マオ君が来たら敗北するくせに。」

「アハハ!たしかにね。」

「ほら。新しい服用意してやるからシャワー浴びてこい。」

「はぁい。」

シャワー室に入る前に私はマリオお兄様に言う

「普通で平凡な暮らしに戻りたいな。」

「…普通で平凡な日常なんてお前にはなかったよ。」

「でもこんなに人だかりが出来て見せ物になるようなことにはならなかったでしょう?」

「マナにならなければマオ君には会えなかっただろう?」

「だってマオもいなくなっちゃったもん。こんなの損しかないよ。」

「マオ君がいなくなってから毎晩泣いてるもんな。」

「マオを助けられない聖女に何の意味があるのだろうね。」

「マオ君は助かるよ。」

「私と恋愛しないと助からないよ?」

「それだけが解決策じゃないさ。」

「ラブラブカップルのマリオお兄様に言われてもねぇ。」

「マナに1人の男として意識して貰えるだけでマオ君は救われるかもしれないよ。」

「楽観的すぎない?」

「好きな人に男として意識して貰えるだけで嬉しいものだよ。」

「片思いに何の意味があるの?叶わない恋は無駄じゃないの?」

「マナに恋した時間が宝物だ。無駄になんてならないよ。人生の財産さ。」

「そんな綺麗な恋聞いたことないけど。」

マリオお兄様にほっぺたをぷにっとつねられる

「お喋りばっかりしてないで早くシャワー浴びてこい。お前が本当にマリアになりたいなら協力してやる。」

「…ううん。いい。これは私が背負うべき運命だから。」

ぽんぽんと頭を撫でて慰めてくれた

「今は大変だけど、マナの姿でも前のように平穏に過ごす時が来るよ。」

「おばあちゃんになったら?」

「もうちょっと早く平穏に暮らせるようにしてやるよ。」

「そんなことできるの?」

「俺はお前の護衛騎士だからな。ご主人様の願いは叶えてやるもんだろう?」


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