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第193話 入れ替わり-マナside2-

マリアちゃんおススメの恋愛小説を借りて教室へと向かう

佐々木華の時と変わっていないと言われて

図星を突かれて

私は珍しく機嫌が悪くなっていた

変わりたいと

強くなりたいと

思っているのに

私は結局何も変わっていない

人に流されて

なんとなく生きているだけ

私が変わったように見えるのは

周りの環境が変わったから

私は何も変わっていない

つまらない人間だ

もっと自分に自信を持ちたいのに

中身のない自分に辟易する

あーぁ

嫌になっちゃう

こんな自分が嫌いだ

いつになったら私は

自分を好きになれるのだろう

胸を張って自分を誇れるようになれるのだろう


ガラガラと扉を開けて教室に入る

フェイ君のメモで教えて貰った席へと着くと

「ハハッ!今日も女の制服なんて着て気持ちわりぃな!」

…少し言い訳をさせて貰うと

図星を突かれて機嫌が少し悪かった

自己嫌悪でイライラしていた

だから…フェイ君を気持ち悪いと発言するこの男に対して

良心のカケラを持つ余裕なんてなくて

頭に血が昇ってしまった

何もない自分だけど

空っぽの私だけれど

だからこそ私の大事な人達を

傷つけるような人を私は絶対に許さない

叶えたい大義名分もないけれど

大事な人を守りたいという気持ちだけは

今も昔も変わらず

私の中に輝く信念だから

「陰でこそこそと差別発言を繰り返すお前の方が気持ち悪いよ。お前のような差別主義者のクズ人間じゃなくてよかったと心の底から思うよ。」

私が差別主義者野暴言野郎に言い返したことで

教室中の生徒が全員黙り込んでしまった

差別主義者のクズ男は言い返されるなんて思っていなかったんだろう

顔を真っ赤にして怒っていた

「あぁ!?俺だってお前みたいな男女野郎に生まれて来なくてよかったって心の底から思うね!お前みたいな気持ち悪い存在になるなんて絶対にごめんだわ!!」

「そう。僕も君のようなクズ人間に理解されようなんて1ミリも思ってないから別にいいよ。本当に気持ち悪いからもう2度と話しかけないでくれるかな?視界に入れるのも声を聞くのも気持ち悪いから。」

「お前に話しかけたことなんて1度もねぇわ!!自意識過剰かよ!!」

「そう。毎日毎日僕に気持ち悪い気持ち悪いと言っていたのは僕は言い返せない弱者だと思っていたから?話かけていたんじゃなくて一方的に暴言を吐いていたってことでいいのかな?」

「暴言なんて吐いてねぇよ。俺は事実を言っただけだ。気持ち悪いもんを気持ち悪いと言って何が悪いんだよ。」

「本気で言ってるなら教えてあげよう。僕の心は寛大だからね。デブにデブとブスにブスと言うことは事実でも暴言だろう?違うかい?僕が男が女の格好をしていて気持ち悪いと思うことは別にいいんだ。価値観が合わない人はたくさんいるだろうから。でも…言葉に出して僕に聞こえるように気持ち悪いと言うのは暴言だ。認めろ。」

「…今日は生意気だな。お前。」

「そんなことは今どうでもいいだろう?認めろよ。お前がどうしようもない差別主義者の暴言クズ野郎だってな。」

「お前だって失礼じゃねえか?名前ぐらい呼べよ。フェイ君。」

「だって知らねぇよ。誰?お前?」

「…は?」

「差別主義者のクズ野郎の名前なんて知るかよ。誰だよお前。」

「…。」

「誰?」

チッと舌打ちをして差別主義者のクズ野郎は教室から出て行ってしまった

今から1限目の授業が始まるというのにサボるとは不良だな

1限目の魔法学は普通に受けて

2限目は体育だったので体操服に着替えると

何故か周りがザワザワしている

フェイ君の体操服姿が悩殺するほど可愛いからだろうか

体育館へと移動すると

「…グリード・フェイさん。今日は体育見学されないんですか?」

体育教師に問われる

「え?」

「いつもは制服のままで見学されていますが…今日は体操服に着替えているので…」

「僕はやる気です。筋肉つけてもっと自分を美しくしようと誓ったんです。」

「そうですか…。長い入院生活でお体が弱いのであまり無理をしないように。」

「え?僕体弱いんですか?」

「はい?」

「あ…!!いえいえ!!なんでもないです!!気をつけます!!」

フェイ君が入院生活をしていて体が弱いなんて知らなかった

だから体がペラペラなのか

「今日は体力測定を行います。」

今日は体力測定をやるらしい

まずは腹筋から

1分間で何回出来るか記録する

「ううう…動かない…。何この体…」

全然腹筋出来ない

上に起き上がれない

ぷるぷるとしているだけだ

1分はあっという間に過ぎて1回も出来なかった

「もう辛い…」

1回も出来なかった腹筋だけどもう既に体中悲鳴を上げている

こんなに大変な体なんだ…

フェイ君をもっと労わってあげないとダメだな…

前屈も全く体が前に倒せなくて硬すぎるし

握力も幼児ぐらいしか力がないし

反復横跳びも時間以内に何回も頑張って飛んだけれど

死ぬかと思った

てゆうか死んだ

もう動けなくなって倒れた

「フェイさん!!大丈夫ですか!?」

体育教師が駆け寄ってきた

「ぜえ…ぜぇ…ひゅー…ひゅー…」

私は涙目になりながら仰向けで寝転がる

体育教師は私を抱えて体育館の端っこまで運んでくれた

そして水分補給を取らせてもらい

「今日はもうここで見学していなさい。」

そう言われて残りの測定は出来ずに見学をして体育の授業を終えた

反復横跳びで死ぬかと思った

本気で

歩くのもしんどいのでトイレに入り1回休憩する

白魔法が使えたらなぁと思い試しに使ってみると

パァッと白い眩い光を纏い光った

そしてみるみるフェイ君の体は元気になっていった

入れ替わっても白魔法は私が使えるんだな…

他の魔法も出せるか試してみたが無理だった

フェイ君の体力で複数の魔法を使うことは出来ないらしい

すっかり全開したのでその後は平和に恋愛小説を読んで過ごした

この恋愛小説…まさかの百合だった

甘酸っぱく青春をしている2人が微笑ましくてこっちの心が洗われるようだった

ゆっくりと1人で本を読むなんてマナの体では出来ないから

1人で本を読む時間が最高に楽しかった





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