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第19話 覚醒

次の日朝起きるとなんだか色々な種類の光に囲まれていた。

 「なにこれ?」

 アリサが動揺している

 「精霊じゃないですか?戻ってきたのでしょうか。」

 「昨日納得してくれたのにまたきちゃったのかな?」

 「それは白精霊じゃないよ。」

 聖杯からアルテミスが話しかける

 「違う精霊?」

 「そう。白精霊が一番上位の存在だからみんなはこれなかったけど、白精霊がどこかへ行ってしまったからね。火の精霊、水の精霊、風の精霊、雷の精霊、土の精霊、自然界の精霊達が華ちゃんを取り合いして揉めてるみたいだね。」

 「全部は無理なんだ。」

 「体が耐えれないよ。大人になれば二つの精霊を操れるだろうけど、今は七歳だからね。一つ華ちゃんが選ばないと収集がつかないよ。」

 全ての光が眩く光り始めた。眩しすぎる。

 「みんな選んでほしくてアピールしてるんだよ…」

 「そうなんだ…一つしか選べないなんて心苦しいなぁ」

 「火の精霊は勇敢な人を愛する傾向がある。火を操ることが出来る。水から沸騰させて熱湯にすることもできるし、意外と便利な使い方もできるけれど、基本的には攻撃特化の精霊だね。皇族は火の精霊使いが多い傾向があるよ。

 水の精霊は優しい人を愛する傾向がある。水を操ることもできるし、人を治療して癒すことも得意な精霊だ。攻撃もサポートも出来る万能な精霊だね。

 風の精霊は知的な人を愛する傾向がある。風を操り、攻撃することも出来るし、風を操り防御をすることも出来る。なんといっても風の精霊の一番の特徴は空を飛ぶことも出来ることだ。どちらかというとサポートの役割が得意な精霊だ。

 雷の精霊は気性の荒い攻撃的な人を愛する傾向がある。雷というか電気を操ることが出来るから攻撃力が高いだけではなく、電子機器をハッキングしたり、操ることもできる。自然界で一番攻撃力が高く、とにかく強い。選ばれる人も稀だね。

 最後は土の精霊。土の精霊は頑固な人や強い意志を持つ人を愛する傾向がある。土を操り雪崩をおこして攻撃することも出来るが、基本的に防御力が高いので防御を担当することが多い。土を操り作り上げる巨大な土壁は壊すことがとても困難だ。また、自ら石化して攻撃を防ぐことが出来る。防御特化の精霊だよ。」

 「アルテミス詳しいね。」

 「いや…伝えてくれって精霊達がうるさいんだ…早く決めてくれ…うるさくて仕方がない…」

 「じゃあ風の精霊にする!」

 「そんなノリで決めていいんですか?」

 アリサが言う

 「空飛びたいから!」

 「凄いバカな選び方しましたね…」

 アリサにバカにされた。

 「それだけじゃないわ!お父様は確か風の精霊持ちでしょ?アーネルド家らしいのは風の精霊なのよ!知的な人に好かれる精霊らしいし。」

 「まぁ…風の精霊は一番アーネルド家らしいですね。」

 ちなみにお母様は土の精霊。レイが火の精霊。アリサは風の精霊だ。お兄様はまだ覚醒していない。

 「風の精霊が大喜びしてる…」

 アルテミスが言う。緑色の光が大勝利を収めたかのように動き周り、煌いている。他の光は悲しそうに消えてしまった…

 緑色の光が私の周りを包み光った。その瞬間私の掌から風が起こるようになった

 「わぁー!凄い!魔法使いみたいー!」

 「無事に風の精霊の覚醒が出来たみたいだね。おめでとう。」

 「アリサお嬢様おめでとうございます。」

 「んー……でもまだ覚醒したことは隠した方がいいかもしれない。」

 「何故ですか?」

 「マリオお兄様はそういうの結構気にするから。繊細な人なの。」

 「なるほど。マリオ様の覚醒より早かったら気にしそうですね。マリアお嬢様が早すぎるだけですし。本来なら精霊の制御を学ぶ指導者を呼ぶのですが、風の精霊なら私が基礎的なことは教えてあげられますから問題なさそうですし。」

 「あのマリオとか言うやつならもうすでに覚醒して、一年ぐらい経ってるけど?」

 「え?」

 アルテミスがマリオお兄様が覚醒済みだと言う。でもそんなこと聞いたこともみたこともない。

 「アリサ知ってる?」

 「いえ…覚醒したら本来はすぐにご報告を奥様にして、能力制御の指導者を呼ばなければいけないのですが…誰からも聞いていませんね。」

 「アルテミスの勘違いじゃないのー?」

 「そんなわけないよ!酷いよ!華ちゃん!最近僕の扱いが雑すぎる!!」

 「フフフッ。ごめんね!じゃあ私と一緒で隠そうとしてるのかな?何か理由があるんだろうけど…あまり詮索しない方が…」

 

 

 急にドンッと大きな音が響き、地面が揺れた。

 「なに?」

 「マリアお嬢様無事ですか!?」

 レイが凄い勢いで部屋に駆けつけてくれた。

 「私は無事よ。今の音は何?」

 「屋敷に雷が落ちたようです!しかもまだ電気が屋敷中に広がっていて危険です!すぐに避難しましょう!」

 「そんなことに!?みんなは無事なの!?すぐに避難しましょう!」

 私達はすぐに屋敷から離れて庭へと避難した。

 庭にはお父様、お母様、屋敷の使用人達が避難していた。

 屋敷は今もずっと雷が落ち続けている。

 「お兄様…お兄様がまだいないわ!無事なの!?」

 「マリア落ち着いて聞きなさい。この雷はマリオの力よ。」

 「え…」

 「マリオが雷の精霊の力が覚醒したみたいなの。力が暴走して私達でも止められないわ…。今騎士団の人達が抑圧する為に動いてくれるからここで避難していなさい。」

 マリオお兄様が?暴走?抑圧って…

 「抑圧って何をするんですか……」

 「………」

 「お母様!お兄様はどうなるんですか!!」

 「このまま暴走を続ければ確実にたくさんの死人がでるわ。その前に対処しなければいけないの。」

 「このままだとお兄様が死にますよね?そうですよね?」

 「………最悪の場合だけよ。きっと大丈夫。」

 「お母様私が助けに行きます。」

 「何言ってるの!絶対にダメよ!貴方に出来ることはないわ!大人しく避難するのよ!」

 「いえ私にしか出来ないことがあります。私ならお兄様を助けられる自信があります。」

 「貴方が行くなら私が行くわ!私はあの子の母親なのよ!」

 「俺が行く。この家のことは私に責任がある。」

 お母様とお父様が言う

 「では何故お兄様が暴走したかお母様とお父様にわかりますか?」

 「それは…」

 「………」

 「私はわかります。だから私が止めることが出来るんです。行かせて下さい。」

 「絶対ダメです!マリアお嬢様が行っても死にに行くようなもんですよ!行かせません!」

 レイが言う

 「レイ。止めるんじゃないわよ。主人の命令が聞けないなら解雇するわよ。」

 「わかったわ。マリア…不甲斐ない親でごめんなさい。マリオを頼んだわよ。」

 「奥様!!無謀すぎます!お嬢様を止めて下さい!!!」

 「絶対死なないこと。約束しなさい。今日同時に二人の子供達を失うなんてことは…」

 そう言いながらお母様が涙を流す。

 「任せてください!お兄様のことは私が一番よくわかってるんですから!お母様、許可して頂きありがとう。」

 「………俺にはマリアお嬢様を止めること出来ないですね。」

 「レイ…ごめん…私どうしてもお兄様を助けたいの…絶対死なないって約束するから…」

 「わかりました…じゃあ俺も連れていって下さい。マリアお嬢様が行くなら俺が護衛します。」


 「ごめんね。レイ。私の我儘に付き合わせちゃって。」

 「いつものことですよ。絶対俺が守りますから、お嬢様の好きなようにしてください。」

 「レイ…ありがとう」

 いざとなれば私を見捨てて逃げて欲しいと言おうと思ったけどやめた。それはレイの騎士道に反することだし、レイはそんなことは絶対しないだろうから。私がレイのことが心配なようにレイだって私のことが心配だから一緒に来てくれるのだ。正直生死はわからないようなことに巻き込むことになる。いざとなれば私が全力でレイを守るんだ。そして…お兄様を必ず助けてみせる。お父様…お母様…本当はマリオお兄様の部屋に今すぐ行って助けてあげたいだろう。でも…その役割を私を信じて任せてくれた。

絶対に期待に応えてみせるから。お庭で応援してて下さい。アーネルド家のみんなの願いを胸に強く歩き出す。

 「騎士団の皆さんは下がって下さい。私とレイでお兄様の抑圧に向かいます。三十分経っても誰も戻らない場合はお兄様を止めて下さい。三十分で絶対に助けてみせます。それまで待機してください。」

 

 屋敷の使用人達がゴム製のレインコートを用意してくれた。少しでも電気が通らないようにと

 「みんなありがとう。じゃあお兄様を助けに行ってきます。」

 みんなを安心させるように頬んで伝えた。ゴム製のレインコートを纏い、私とレイがお兄様の部屋へと向かった。

 

 

 

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