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第183話 二次予選

「奇跡的に一次予選を通過したのに…まだまだ茨の道すぎる。」

「国際的ピアノコンクールにコンクール未経験が挑戦しようとするんだから当たり前じゃない。」

「あのさぁ…二次予選は二週間後なんだけど…」

「知ってるよ。」

「もっと余裕を持って表現力とか身につけていきたいのに…リズムを取ることや音符を合わせることに必死でそれどころじゃないんだけど…」

「それでも楽譜通りに弾けるようになったじゃん。」

「目が血走ってるけどな。」

「この二週間で表現力を上げていくから。」

「不安しかない…」

「だいたいこのリストとかいう人、男の手で弾くことを前提に曲作ってるから。女、子供が弾く曲じゃないんだよ。コンクールの課題曲にするなんてひどいよ。」

「女の人だって綺麗に弾けている。マナの実力不足だ。」

「でも絶対大きい手の人の方が有利だから!!」

「そんなのリストだけじゃなくて全部の曲そうだろう?」

「リストの曲は特にそうなの!!手を大きく開きすぎて手が攣ったことも何回もあるんだから!!そんな経験ないでしょう!?」

「ないけど…」

「ほら!!小さい手の人間がリスト弾くと手が攣るほど辛いんだから!!」

「そんな文句ばっかり言ってないで早く練習しろ。」

「わかってるよ!!」

私は必死に練習をして弾く

一曲弾き終わると指が酷く疲れるので毎回回復魔法で回復をする

疲労が溜まることなく全力で毎回弾く練習が出来るからこそ私のピアノは短期間で大きく成長することが出来て、一次予選も通過することが出来たのだろう

「マナ様…あんなに下手くそだったのに一次予選通過したんですね…。」

オーケストラ部の後輩、サーランが話しかけてくれた

「本当にギリギリだろうけどね。」

「それでも…凄いです。おめでとうございます。」

「ありがとう。」

「私…本当に下手くそでみんなについていけなくて上手く音が出せなかったんですけど…私より下手くそだったマナ様が一次予選通過した姿を見て勇気貰いました!!」

「そ…そうなんだ…」

褒められているような貶されているような…

「あんなに下手くそでも…諦めずに毎日練習しているマナ様がかっこよかったです!!」

「毎日ニックに詰められてやるしかなかっただけだけどね…」

「あんなに詰められてスパルタ指導されていたら…私だったら泣き出して逃げ出してましたよ!!負けずに練習しているマナ様が凄いかっこいいなぁって…」

「一回逃げたけどね。恐ろしいスピードで追いかけられて捕まって更に詰められて指導されて…あの日は地獄だったな…。」

「努力の賜物で一次通過したんですから!!私もマナ様のように諦めずに頑張りますね!!」

「ありがとう…まだ二次予選残ってるけど…」

「マナ様なら二次予選もいけますよ!!頑張ってください!!」

私はサーランの頭をポンポンと撫でて言う

「後輩に慕われるぐらいにかっこよくて実力ある先輩になるからね。技術なんて練習すれば必ず身につくんだから。やり続ければ良いんだよ。出来るまで。人より時間がかかってもいつかはきっと出来るんだから。サーランも頑張れ。」

「マナ様…私はもうマナ様が憧れの先輩ですよ!!」

「まだ早いって。優勝したらそう言ってよ。」

「優勝はさすがに夢見過ぎだと思いますけど…」

「やるからには優勝目指すんだよ!!一位以外は最下位と変わらないんだから!!」

「マナ様って意外と過激派なんですね…」

「全員蹴散らしてやると思って弾くんだよ!!」

「聖女様って穏やかで大人しいんだと思ってました。」

「穏やかで大人しくて優勝できるわけないでしょう!?私は練習するときから誰よりも上手く弾いてやると思って弾いてるわよ!!」

「下手くそなのに…」

「下手くそだからよ!!下剋上するのが燃えるのよ!!」

「そうですか…向上心がないと上達はしないってことですね。」

「天才的に上手いやつより継続して頑張れるやつの方が強いのよ。」

「…フフッ。確かに。そうかもしれません。私も継続して頑張れる強いやつになりますね。」

「天才なんか蹴散らしてやるから。サーラン見とけよ!!」


二週間経ち、二次予選の日になった

「…少しだけ表現力も身についてる。楽譜をおうだけじゃなくてこの曲を感じて弾け。技術はまだまだだけど、表現力はずば抜けていいんだ。マナの強みを見せていけ。」

ニックにアドバイスを貰って背中を押されて送り出された

この瞬間が青春を感じて

とても好き

「天国のリストさんにこいつの演奏が1番好きだと言わせてみせるよ。」


リスト:ラ・カンパネラ


手を思い切り開いて弾かないと弾けない

それでもこの曲の旋律が大好きで

しんどいけれど

辛いけれど

弾いていて楽しい曲だ

リストが望んだ美しい音の響きを

表現できているだろうか


曲の連奏が終わり、お辞儀をしてニックのいる舞台袖へと移動する

「どうでしたか?」

「一次予選よりは出来が良かったよ。」

「ほんとですか!?優勝出来ますか!?」

「いや…通ってるかわからないけれど…」

「えぇ!!私が1番上手いんじゃないんですか!!結構上手く弾けましたけれど!!」

「やっぱり技術的な部分が惜しいからなぁ…」

「リストの曲は二度と課題曲にして欲しくないですね。」

「定番だから難しいと思うぞ。」

全ての演奏が終わり、結果の張り出しを私達は見る

「あった!!凄い!!」

「はぁ…よかった…!!!」

その後、また二週間後にあるセミファイナルも通過することが出来、いよいよ本選へと進むことが出来た



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