第175話 思惑通り
「それでは今から課外活動の活動班を決めます。」
レックスがそう言うと同時に私はすぐに声を掛ける
「こんにちは。シガーレッド・アレクサンダー。私と一緒の班にならない?」
「エラート・マナ様から声を掛けて頂けるなんて身に余る光栄に存じます。」
「はいかいいえで答えてくれる?シガーレッド・アレクサンダー。」
「それは勿論YESですよ。宣戦布告は受けて立たないと新聞部の名が廃りますからね。」
思ったとおりシガーレッド・アレクサンダーは同じ班になることに同意してくれた
シガーレッド・アレクサンダーは新聞部の活動の為、私のストーカーを毎日行ってはエド様に報告している
私と同じ班なんて新聞部にとっては私と接触して情報を聞き出せるチャンスのはず
私の申し出を断るわけがなかった
「おい。マナ。なんでそいつを誘った?そいつはお前のストーカーだぞ。」
クリスが私に言ってきた
「シガーレッド・アレクサンダーは恐ろしい上級生からの命令に刃向かうことができずに、泣く泣く私の追跡をやらされているのよ。迷える子羊は救ってあげなくちゃね。なんてったって私は聖女様だから。」
「何を企んでいる?」
「勘ぐりすぎよ。何も企んでなんかいないから。私はただ普通に課外活動を楽しみたいだけよ。」
「怪しい…。」
「クリスは?誰と班一緒になるの?」
「マナ以外ありえないが?」
「私はもう班決まったから無理よ。」
「…は?」
「私はシガーレッド・アレクサンダーとボルトとククリの四人班だよ。」
ボルトとククリは特進クラスの名物カップルだ
私と一緒の班になれば二人きりで行動させてあげると口説いて同じ班になることを前もって約束して貰っていた
「俺は?」
「誰か他の人誘えば?」
「…意地悪だ。マナと一番仲がいいのは俺なのに。何で俺と一緒にならないんだ。」
「攻略対象者とは誰とも一緒になってないでしょう?私は平等に接したいから今回は誰とも一緒にならないことにしたの。ごめんね。」
「嫌だ。マナと一緒がいい。アレクサンダーに変わってもらう。」
「ダメです。今回は諦めて。次の宿泊学習はクリスと同じ班になるから。」
「どっちも同じ班じゃないと嫌だ!!俺は本当に楽しみにしていたのに!!前回はマナと一緒じゃなかったから今回こそは絶対一緒に水族館を見て回れると思っていたのに!!」
私は小声でクリスに耳打ちをする
「ごめんね。これは極秘任務だから。今回は諦めて。」
「…わかった。」
「ありがとう。クリス。」
クリスは渋々別の人と班を組んでくれた
「ふう。無事に班が決まって良かったわね。シガーレッド・アレクサンダー。」
「そうですね。他のメンバーはクリス様とローズ様かなと思っていたのに。まさかの名物バカップルと同じ班にされるとは驚きましたよ。」
「あの二人には二人きりで行動させてあげるからって言って同じ班になってもらったの。」
「それは必然的にマナ様と俺が二人きりになってしまうけれど。」
「二人きりになりたかったからさ。」
「さすがは口説き上手ですね。マナ様。」
「お褒めの言葉どうもありがとう。シガーレッド・アレクサンダー。」
「フルネームでずっと呼ぶのはやめてくれませんか?」
「だって名前がかっこいいじゃない。シガーレッド・アレクサンダー。」
「アレクでいい。」
「私はやめないわよ。シガーレッド・アレクサンダー。」
「恥ずかしいからやめてくださいよ…。」
「課外活動楽しみね。シガーレッド・アレクサンダー。仲良くしましょう?」
「そうだね。とても楽しみにしているよ。マナ様。」
「マナでいいわよ。」
「いいえ。マナ様と呼ばせてください。」
「フランクに接して欲しいのにな。」
「全て平等に接すること。新聞部の掟です。マナ様。」
班決めは無事に終わり私の思惑通りになった