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第172話 全てを手に入れる

私はガーネット・スリー

引き続き魔王に関する研究を進めている

「早くこのぬいぐるみから出せー!!折角また我が子が魔王に復活したのに!!これでは話せぬ!!どうしてくれるんだ!!」

荒振神は黒猫のぬいぐるみに閉じ込めた状態で魔塔で保管している

「ねぇ!!ロリ属性の見た目して口調が古臭いのなんでなの?口調が古臭いは長年生きているからという設定があり気なんだよ?神として生まれて三年程の若輩者のくせに変な口調しないでくれる!?気に触るから!!」

こちらの聖杯はこの世界を作った神様のアルテミスだ

「我こそはこの世の絶対的な悪の存在!!我の作る世界こそこの世の真理!!じじいは黙っとれ!!」

「私はじじいじゃない!!まだ二十三歳だ!!」

「我とあまり変わらんではないか!」

「私の方が二十年も先輩だ!」


魔塔は創造主の神と破壊神の神が同室で共存するカオスな空間になっている

しかもこの二人同室にするとずっと話している

しょうもない喧嘩をすることが多いが

時々、普通に雑談で盛り上がっている

この二人は完全に敵対関係にあるわけではないようだ

寧ろ同じ神様の仲間が出来て喜んでいるようにも感じる

二人が作った最高傑作の聖女と魔王は今絶賛不穏な状態であるにも関わらず

この神様達は呑気なものだ

二人にとってはゲームのようなもので

世界が救われても崩壊しても

楽しむ要素の一つでしかないのかもしれない

神の俯瞰

当事者のくせにどこか他人事のような雰囲気さえある

自分達が作った世界のくせに

次元の違う存在なんてそんなものなのかもしれない

荒振神様はぬいぐるみを破壊すれば解放出来るようだが、監視下に置きたいので黒猫ぬいぐるみ状態のままにしている

それに教えて欲しいことをあっさりと教えてくれる

「もしも魔王が倒されたら世界平和になるんですか?」

「そんなことは絶対にありえないけれど、魔王が倒されたら世界平和になる。」

「新しい魔王が誕生したりするんですか?」

「そんなほいほい魔王が出来るか!!次の魔王を作ろうとすればあと三百年ほど年数がかかるわい!!」

ほら簡単に口を割る

「そうですか。それは貴重なお話をありがとうございました。荒振神様。」

「礼には及ばわんわ!!キャハハハ!!!」

「では。私は出掛けますので。」

「どこに?」

「魔王の森へ。」

「我も連れて行けー!!!」

「すみません…。今回は真面目な話をするので…」

「我だって真面目に話せる!!」

「すみません…シリアスのカケラもないので…」

「我は絶対的な悪の存在なのに!?」

「見た目はメスガキだからでしょうかね…」

「メスガキ?なんだ?それは??」

「あ…ごめんなさい。子供に教える言葉ではないので忘れてください。」

「バカにするな!!我は絶対的悪の神じゃぞ!!」

「帰ってきたらマオ君が元気にしていたか報告しますから…」

そう言って私は風魔法で飛んで魔王の森へと向かった

「我は荒振神なのに!!我の言うこと聞け!!下等生物ーーーー!!!」

そんな断末魔を聞きながら私が魔王の森へと去った



私は魔王の森へと降りて目の前にいるドラゴン姿のマオ君に話しかける

「こんにちは。マオ君。この状態で話をするのは初めてだね。今日はマオ君と意思疎通が出来るか試してみようと思っていいものを持ってきたんだ。」

私は大きめに作った“YES”と“NO”のプラカードを見せる

「私の質問にこのプラカードを使って答えて欲しい。」

私はプラカードを地面に二つ置いて準備をした

「今、人間に戻る気はある?」

マオ君は“NO”の方にドラゴンの顔を乗せて意志を伝えてくれた

「凄い。私の言葉がわかるんだね。答えてくれてありがとう。では次の質問だ。一年後には必ず人間の姿に戻る?」

マオ君は“YES”と答える

「マオ君が死んだら世界平和になるらしい。それを知った王様は刺客を送り込んでマオ君を殺しにくるかもしれない。マオ君は攻撃してきた人間を殺す?」

マオ君は“NO”と答える

「それはマナとの約束だから?」

マナ君は“YES”と答える

「そう…死亡リスクがないなら確実に殺しに来ると思うから…覚悟していてね。」

ドラゴンのマオ君はにっこりと微笑む

ドラゴンの姿でも穏やかな性格は変わっていない

この子はマオ君だ

「…マナの望みはマオ君と一緒に家族になることだ。その意志を無視しても恋人になりたいんだね?」

マオ君は“YES”と答える

「そう…マナはそれでもマオ君と家族に戻ることを諦めてないみたいだよ。マオ君を弟にして世界平和にすると言っている。そんなこと可能なのかわからないけれど…私の人生はマナに捧げてしまっているからね。私なりに頑張るよ。まずはマオ君の説得からね。」

マオ君は私を慰めるように私の体全体を顔で撫でてくれた

「ありがとう。マオ君。また来るね。」

私はそう言って魔塔へと帰った


「おかえり。スリー様。」

魔塔へ帰ると学園から帰ってきたマナがいた

「ただいま。マオ君と会ってきたよ。元気にして穏やかに過ごしてたよ。」

「そう…よかった。私の料理とか食べるかな?」

「今度持って行ってみようか。」

「うん。お願い。」

「マナは…世界平和とマオ君の命どちらか選ぶとしたらどっちにする?」

「どっちも手に入れる。どちらか選ぶならどちらも捨てる。優先すべきことは世界平和でもなく、マオの望みでもなく、私の望む世界だけ。全てを手に入れる。それが無理なら全部捨てる。マオだって全部失う覚悟で魔王になったんだから。全てを手に入れようとするなんて誰に似て強欲になったんだか。」

「マナしかいない。」

「フフフ。でも強欲さだけは負けられないから。全てを手に入れてみせるよ。必ずね。」



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