第17話 運命の日
今日は七歳の誕生日。私達の運命の日だ。
朝起きて挨拶をする。
「おはよう。」
「「おはようございます。マリアお嬢様。」」
アリサとレイがいつもと同じように挨拶を返してくれた。途端に涙がボロボロと流れてきた。
もうこの日常は続けられないかもしれない。おはようの挨拶をするのも最後かもしれない。不安でたまらなかった。離れたくない…
「お嬢様大丈夫ですよ。今日の為にたくさん練習しましたから。きっと上手くいくはずです。」
「マリアお嬢様。俺はたとえ失敗してもヒロインのお嬢様の護衛騎士になりますから。絶対マリアお嬢様を一人になんてさせないです。だから泣かないで下さい。」
「アリサ…レイ…ありがとう…」
「さぁ…今日は家族でお誕生日会がありますよ。泣いた顔をしていたら不審に思われますよ。」
「そうね。最高の誕生日会にしないと!アリサ今日の私はとびっきりのお姫様にしてね!」
「はい。」
お姫様のような薄紫色のドレス。髪型もツイン団子にして可愛くしてもらった。今日は私の七歳誕生日。お母様とお兄様そしてなんとお父様も参加してくれる。このお屋敷を守ってくれるたくさんの使用人達も今日のお誕生日会の為にたくさん準備をしてくれた。今日は人生で一番幸せな日になるだろう。
今日は天気がいいので、お庭のテラスでお誕生日会をやることになった。私が庭が好きだからだろう。
庭師の使用人達が丁寧に育てた草木や花がとても綺麗だった。料理人達が準備した料理は私が大好きなグラタンやオムライスがあり気合を入れて準備をしたことがわかった。
「わぁーーーー!!凄いーー!!みんなありがとうーー!!」
私がそう喜ぶと使用人のみんなも満足そうにみんな喜んでくれた。
「お嬢様七歳のお誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう!!」
お母様とお兄様とお父様がお庭に到着した。
「マリアお誕生日おめでとう。」
マリオお兄様はプレゼントを渡しながら言ってくれた。
「ありがとう!お兄様!!今日お兄様から貰ったブローチつけたんだよ?」
「うん。僕もつけてきたよ。」
「ペアプローチ一緒につけられて嬉しいです!プレゼント見てもいいですか?」
「うん。」
プレゼントを開けると白いうさぎのぬいぐるみが入っていた。うさぎのぬいぐるみはこの前一緒に買った赤い町娘の服にお兄様から貰ったエメラルドのブローチをついていた。
「わぁーー!!すっっっっごく可愛いいいいいいい!!お兄様ありがとう!!世界で一番愛しています!!」
お兄様に抱きつき、ほっぺにチューをした。
「喜んでくれて嬉しいよ。」
お兄様はにっこりと微笑んでくれた。
「マリアお嬢様おめでとう。七歳もいつも元気なマリアでいてね。私からもプレゼントよ。」
お母様が言う。
「ありがとうございます!お母様大好き!」
プレゼントを開けるとサッカーボールが出てきた。びっくりした。てっきり大量の本をプレゼントすると思ったのに。私が驚いた顔をすると
「またターザン遊びをされると困りますから。サッカーで我慢しなさい。」
優しい声で言われた。
「お母様!大好き!!愛しています!」
抱きつきほっぺにキスをする。
「マリア七歳のお誕生日おめでとう。私のプレゼントはつまらないものかもしれないが」
「お父様!忙しいのに来てくれてありがとう!」
プレゼントを開けてみるととても可愛い帽子が入っていた。
「お父様ありがとうございます!次に一緒にお出かけするときに被らさせて頂きますね!大好きです!」
抱きついてほっぺにキスをする
その後、一緒に誕生日の食事を食べて、使用人達が頑張って作った目玉のバースデーケーキは五段ありお菓子の家みたいだった。凄く嬉しかった。みんなと最高に楽しい時間を過ごした。お開きの時にお母様が言う
「今日はマリアの誕生日をたくさん祝ってくれてみんな本当にありがとう。マリアは七歳になりました。この子はまだまだやんちゃですが、アーネルド家の人間です。これから人の見本となるような素晴らしい女性になれるようみんなでサポートしていきましょう。マリア、私はマリアがアーネルド家の貴族でよかったと思っているわ。人と平等に接したいみんなと仲良くしたいマリアの気持ちはとても素晴らしいこと。でもマリアはアーネルドの人間。人の上に立ち、みんなの見本になるような人になるのよ。マリアは苦手だとよく言うけど大丈夫。マリアには人を思いやる優しさがある。誰よりも大きなね。それは人の上に立ち見本になれる。マリアの大きな優しさは大きな強さでもあるわ。大事にしなさい。マリアがたくさんの人に愛されるのはマリアの明るい笑顔とみんなを思う優しさ。誰にでもできることじゃない。マリアは特別なアーネルドの人間なれる。頑張りなさい。」
涙が止まらない…
「お母様…私アーネルド家に生まれてよかったです。ここで育ってみんなに愛されて幸せです。お母様の言うような立派なアーネルドに慣れるかまだ不安ですが、期待に応えられるように頑張ります。」
涙を流してながらもちゃんと伝えることができた。
今日で最後かもしれないから。お母様、お父様、お兄様、アリサ、レイ、お屋敷のみんな…ここで生まれてここで育った七年間本当に幸せでした。
まだ離れたくないから…私頑張るから…明日また会えますように。
お誕生日会はお開きになり自室に戻る。部屋の真ん中に聖杯を置き準備をする。
アリサとレイと目を合わせてにっこり笑う。
私の目の前に白に精霊が現れて覚醒に来た。
覚悟は出来ている。絶対に失敗は許されない運命の時がやってくる。