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第167話 理想論

部活動も終わり、私は報告の為にマリオお兄様の風魔法で城へと向かった

「こんばんは。」

私は窓から侵入してガードン王へ挨拶する

「…王は謁見を許されないと会えない立場なんだが。」

「フフッ。そんな面倒くさい制度今すぐ廃止した方がいいですよ。」

「お前みたいな厄介者の侵入者に会いたくないから制度を設けているんだ。」

「厄介者の侵入者?誰のことですか?私は世界最強の聖女様ですよ。」

「その肩書きも剥奪しないとな。魔王が復活したのだから。」

「ひどーい。」

「お前らを大人しく見守ってきた結果がこれか。子供の戯言に世界の命運を賭けてしまった私の責任だ。」

「世界崩壊が確定しているような言い方しないでくださいよ。」

「ほぼ確定しているようなものだろう。ルナがマオと大恋愛をしてこの世界が救われるとは思えない。力をつけた魔王を相手に人類が勝てるとも思えない。」

「困っちゃいましたね。」

「お前のヘラヘラとした態度も腹が立つ。世界崩壊の一因のくせに。」

「反省した態度とか苦手なんですよね。」

「反省してないからじゃないのか?」

「そんなわけないじゃないですか。全て私の責任です。私のせいでこんなことになりました。私はいつも失敗ばかりです。愚か者ですよ。」

「魔王を倒せ。必ずだ。あいつはもうマオではない。人類の敵だ。」

「救えたら救ってもいいですよね?」

「無理だ。そんなことは夢物語だ。マオに新しく恋人を作れと言うつもりか?それこそ残酷だ。そんなことをマオは望んでいない。恋が実らなければ殺して欲しいと願っているんだ。マオがこの世界を愛していることが唯一の望みだ。躊躇うな。殺せ。」

「マオにもどうしても生きていて欲しいんですよ。この世に命より大事なものなんてない。生きてさえいれば何度でもやり直せるんだから。失恋したぐらいで死ぬなんてバカみたいだと思いません?」

「世界平和になるんだ。生かす方がバカだろう。」

「すみません。私はバカなんですよ。そして誰よりも強欲です。綺麗事並べて救ってみせますよ。この世界も。マオも。」

「何か策があるのか?」

「ないです。あるわけない。」

「お前のことが嫌いだ。」

「残念ながら私は私のことを嫌いな人間が好きなんです。えへへ。」

「最悪な性格しているな。」

「そうなんです。最悪なんですよ私なんて。それなのにみんな容姿と聖女という肩書きに騙されちゃって。困ったものです。」

「お前が従順な操り人形ならこんなことにはならなかったのにな。優しい聖女様なんて何処にいるんだか。我が強くて怒らせると反逆を企てる聖女なんて最悪すぎる。」

「それでも私は聖女ですから。誰も犠牲にすることなく救ってみせますよ。ハッピーエンドが誰もが望んでいる未来でしょう?」

「策もないくせに。理想論だけは説くんだな。反吐が出る。」

「世界平和の一歩は信じる心ですよ。諦めないで。全てを救うと思って願って行動するんです。強く願えば願うほど思いは叶うんです。こんな状況だからこそ綺麗事を。夢物語を。私は説くんです。だって私は聖女ですから。」

「…なんでだろうな。バカなこと言ってるはずなのに。信じてみようかなという気持ちさせられる。ルナの才能なんだろうか。こんなこと信じてはいけないのにな。」

「信じてください。私が絶対全員救ってみせます。」

「…殺せるように魔法の鍛錬も怠るなよ。」

「殺すために鍛錬するわけではないですが…魔法の特訓はこれまで以上に力を入れますよ。」

「信じてやるよ。世界最強の聖女様。ルナになら出来る。だから諦めることだけは許さない。」

「ありがとうございます。王様に背中を押されたことが私の励みになります。見ててください。私は世界最強の聖女だって証明してみせますから。」


私は魔塔に帰る

「ただいま。」

「おかえり。」

ミケお爺ちゃんが返事をする

「ミケお爺ちゃん。私決めたよ。」

「なんだ?」

「もう一度。マオを救ってみせる。」

「…どうやって?」

「わかんない。」

「…フ。」

「でも絶対マオを救ってみせるから。そしてまたここで三人で暮らそう。」

「ルナの根拠のない自信も理想論も嫌いじゃないよ。儂は。」

「捻くれた言い方しないでさ。好きだって言ってよ。」

「儂はマナもマオも好きだ。だから…信じるよ。お前のその根拠のない理想論を。」


待ってろよマオ

私の方がずっと強欲なんだ

救われたくなくったって

私は救ってみせるよ

嫌だと言っても

私はマオを救う

必ず

これだけは譲れない

ごめんね

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