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第154話 答辞

「暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、私達は卒業の日を迎えました。」

「本日、お忙しい中、私達のためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます。」

「三年間。長いようでとても短い魔法のような時の流れでした。」

「私は与えられた仕事を期待通りに、期待以上に成果を出すことだけを考えて生活をしていました。」

「私の評価は上がりましたが、喜びや達成感のようなものはなかったように感じます。」

「このまま一生誰かの指示を受けて従って生きていくのだろうなと思って生きてきました。」

「しかし、私の目の前にヒーローが現れて。」

「私の生活は一変しました。」

「誰も私に命令なんてしない。」

「自分の意思で決めて生きていくことがこんなにも難しいのかと戸惑いました。」

「誰かに身を委ねて何も意思を持たず生きていくことに慣れていた私はいかに怠惰に生きてきたのかを痛感しました。」

「優秀だなんてとんでもない。私は依存しないと生きていけないダメ人間だったのです。」

「何かを行動するのも自分の意思で。」

「自分の責任で。」

「自立して生きていくことになりました。」

「とても大変でした。何か行動する度に不安が付き纏いました。」

「しかし今、やっと私にも目標ややりたいことを見つけることができました。」

「私は何の為に生まれたのか。」

「私がこの世に残せるものは何か。」

「ようやく見つけられたような気がします。」

「皆さんは見つけられたでしょうか。」

「この三年間でかけがえのないものを。」

「喜びも辛さも楽しさも憎しみも。」

「この三年間たくさんの感情が蠢いたことでしょう。」

「その感情が。」

「行動が。」

「私達の未来へと繋がるのだから。」

「全ては繋がっている。」

「私達の進路に華やかな未来があることを。」

「心から祈ります。」

「最後になりますが、ここまで私達をご指導して頂いた先生方本当にありがとうございました。」

「私達は一人前となり今日、卒業します。」

「厳しくも優しくご指導して頂いた先生方に感謝を。」

「そして…この三年間同じ時を過ごした仲間達にエールを。」

「私達の世代が最強で伝説だと言われるようにしましょう。」

「三年間ありがとうございました。」

「スカーレット学園の今後の発展を心より祈念して、答辞といたします。」

「卒業生代表 ガーネット・スリー。」




私は卒業先生代表の答辞を終えて礼をする

卒業式が終わり、生徒会室へと足を運ぶ

ガチャっと扉を開けると私のヒーロー。マナがいた

「素晴らしい答辞でしたよ。流石スリー様ですね。」

「自分語りが多くてあまり褒められた答辞ではなかったけれどね。」

「スリー様が自分語りが出来るようになったことが凄いんですよ。成長しましたね。」

「フフフッ。ありがとう。マナのお陰だよ。」

私は第二ボタンをブチッと取りマナへと渡す

「あげるよ。」

「私でいいの?」

「うん。マナじゃないと嫌だ。」

「フフフッ。ありがとうございます。」

マナは私が渡した第二ボタンを受け取ってくれた

「私からもサプライズがあります。」

「何?サプライズ?」

「そうです。目を瞑ってください。」

私は目を瞑る

サプライズ…?

「はい!目を開けていいですよ!!」

私は目を開けた

「スカーレット学園の悪を滅ぼす!!!私が来たからにはこの学園で悪事はさせない!!姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!!」

「フッ…アハハハハハハハハハ!!!!」

私のヒーロー。クロネコガールがそこにはいた

「この姿で会いたいかなって思って。」

「フフフッ。うん。会いたかった。ありがとう。クロネコガール。私の無敵のヒーロー。」

「礼には及ばないよ。」

「大好きだよ。クロネコガール。」

私はクロネコのお面にキスをした

「え?…えぇ!?」

「フッ。アハハハ!!!」

戸惑うマナに笑ってしまう

「俺の全てをクロネコガールに捧げる。貴方の望む世界を共に作ることを誓います。」

私は跪きクロネコガールの手を取り忠誠を誓う

「…自分のことを蔑ろにしないでよ?」

「貴方もね。クロネコガール。」

「フフフッ。こっちの姿の方がスリー様素直になるのなんかちょっと妬けるなぁ。」

「正体不明なんでしょう?クロネコガール?」

「フフフッ。そうだよ?ミステリアスを売りにしてるからね。」

「ミステリアスとは程遠いけどね。」

「存在がミステリアスなんだよ!!」

「明日からマオくんの研究をするから魔塔に入り浸ることになるよ。よろしくね。」

「私は殆ど学園で過ごすからマオとミケお爺ちゃんを相手にすることになるだろうけどね。」

「仲良くなれるかな…。」

「なれるよ。きっとね。」

「どうして?私は自分で言うのはなんだけれど友人を作るのも下手だし、人間関係は上手くやれたことなんてないよ。」

「あぁ…あの二人も下手くそだから気が合うんじゃない?」

「全員下手なら地獄のような空気になりそうだけど…」

「ネガティブすぎ!!大丈夫だって!!」

「本当かなぁ…。」

「大丈夫。スリー様は不器用なだけで優しい人だから。きっと上手くいくよ。」

「ありがとう。マナ。」

「マナではない!!クロネコガールだ!!!」

「あぁ…うん。面倒くさいからもうお面外そうか…。」



こうして私は卒業した

マナに出逢えたスカーレット学園の生活は

一生の宝物だ

明日からは王宮魔術師として

マナの為に全てを捧げて仕事をする

愛よりも深く

恋よりも情熱的な

私の忠誠心を舐めないでほしい

絶対にマナを幸せにしてやる

この命に替えても



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