第153話 休戦
「王様ー♡ハッピーバレンタインー♡」
「今の俺達はどちらかといえば敵対関係のはずだが」
「フフッ。いいじゃないですか。バレンタインぐらい。」
「そんな理由で友好的になると思っているのか?」
「もちろん。」
「マナの能天気さには呆れるな。」
「能天気じゃないと聖女なんてやってらんないですからね。」
「マオは危険だ。この国を滅ぼす存在だ。今すぐこちらに引き渡せ。私が監視する。」
「私が監視してますから安全でしょう?」
「魔王にさせてたくせに。」
「私と離れたら魔王になるんだから引き渡すのは無理じゃないですか?」
「そうなれば殺すだけだ。」
「そんなことして新しい魔王爆誕したらどうするんですか?」
「また殺すだけだよ。」
「そんな簡単に殺せないから困っていたのでしょう?」
「…俺に聖女の力があればよかったのに。…そしたら誰も死なせることもなく…助けられたのに。俺はこの国の為に死んでいった仲間達の為にも絶対に国を守らなければならない。たとえマナの大事な弟を殺すことになったとしても。」
「私だってこんな聖女の力今すぐ王様にあげて普通の女の子になりたいですよ。」
「…。」
「でも仕方ないじゃないですか。私が聖女なんだから。」
「マナが羨ましいよ。俺は…俺が無能なせいでたくさんの戦士が死んだ。マナは…たくさんの人を救える力がある。
マナが羨ましい。」
「何言ってるんですか。私は自分の弟を魔王に覚醒させて傷つけてしまった無能な聖女ですよ。」
「死にかけてまで何故魔王を救う?本当に死んでもおかしくなかったぞ。」
「そんなの理由なんて一つしかないですよ。生きてて欲しかったから。それだけです。」
「出会って間もない魔王に何故そんなに固執する?」
「過ごした時間の長さなんて関係ないですよ。マナのことを助けてくれた。私はマオに救われた。だから…マオは私が守るの。」
「マナの恋愛が上手くいったとしてマオが魔王に戻ったら世界崩壊するんだろう?それでも守るというのか?」
「はい。」
「…次に魔王に戻ったらこちらも容赦しない。全力で魔王を殺すよ。」
「こわいこわい。やだなぁ。戦いたくない。」
「俺だって戦いたくないよ。…戦いたくない。」
「平和が一番ですよね。」
「…そうだな。」
「マナ。」
「何でしょう。」
「チョコレートありがとう。」
「フフフッ。どういたしまして。」
私は魔塔へと帰る
「ただいまー!!」
「マナおかえり。」
「今日はバレンタインデーなのでマオには特別にチョコレートケーキを作りましたー!!」
「わぁ!!凄い美味しそう!!」
「ミケお爺ちゃんも呼んで食後にみんなで食べよう!!」
私達は夕飯を食べた後にチョコレートケーキも食べた
「マナは誰かに告白した?」
「してないよ。」
「そう…俺が…魔王になっちゃったから?」
「関係ないよ。私の恋愛がポンコツなの知ってるでしょう?」
「でも…」
「気にしないでいいのよ。マオ。魔王になっても私はマオを愛してる。」
「俺が一番好き?」
「当たり前でしょう?」
「浮気したら許さないからね。」
「マオより大事な人なんてこの世にいないから。」