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第152話 ハッピーバレンタイン

放課後になり、学級委員の仕事でレックスと二人きりになる

「ハッピーバレンタイン。レックス。」

「ありがとう。マナ。今日のバレンタインデーどうだった?」

「どうって?」

「ラブロマンスが生まれたりしたのか?」

イシュタル先生にチョコ貰った後に裸エプロンにさせられそうになって脱走して

クリスにキスされそうになって恥ずかしさのあまりに電撃を喰らわせて気絶させて

スリー様には全く相手にされなくて

マリオお兄様とポッキーゲームして電撃を喰らった

「厄日ですね。」

「そうか。怨念込めて作った甲斐があったな。」

「そんなことしてたの!?」

「冗談だ。」

「でもローズ様とマリアちゃんとミメットとカイにチョコを渡した時は平和だったよ。特にローズ様は今まで見たことないような笑顔で受け取ってくれてさぁ…。ローズ様だけ特別にハート型なんですよって伝えたら“マナの特別になれて嬉しい。ありがとう。”なんて言って笑うんですよ!?私もそのまま尊死するかと思いましたよ…。ローズ様のデレ期の破壊力やばすぎですよ…。」

「現時点でマナに特別扱いされてるのはローズだけだからね。優越感半端ないだろうな。そりゃ笑顔にもなるよ。」

「嫌われてたのに好かれていくこの過程がたまんなくいいんですよね…。初期のツン期もよかったですが、今のデレ期の破壊力凄いですからね。」

「ギャップが好きなのか?」

「いいえ。ローズ様が好きなんです。」

「恋愛感情がないなら別にいいけどね。」

「推し活です。私の最強の推しですから。ローズ様は。」

「それよりさ。カイにチョコ渡してる方が大問題だと思うんだけど。普通彼女いるやつ相手に渡すか?」

「そこまで頭回ってなかった…昔の友人にも感謝の気持ちを込めて渡したかっただけなのに…」

よくよく考えると確かに無神経すぎる

ミメットから恨まれても文句はいえない

私がカップルクラッシャーと名高いのを忘れていた

「気をつけます…」

「まぁいいさ。いずれマナは私の恋人になるのだから。」

「その自信はどこからくるの?」

「マナが否定的すぎるんだよ。自分で自分を肯定してあげないと。」

「どうしても自分を好きになれないからなぁ。だから少し羨ましい。レックスみたいに堂々と自分を肯定して生きてみたい。」

「こんなにも可愛くて魅力的なのに自己肯定が低い方が不思議だよ。今からでもいいじゃない。堂々と生きようよ。」

「いいなぁと思うだけでレックスみたいになりたいとは思ってないんだよ。知ってる?人間は願った通りの人生になるんだって。私は無意識に選んでるんだよ。否定的で卑屈な自分をね。」

「それがマナの望みなの?」

「そういうことになるね。」

「何で?明るくて肯定的な人間の方が良くないか?」

「地味に。影のように。目立たないように。こっそりと生きていきたいという気持ちが拭えないんだよ。」

「どうして目立ちたくないの?」

「すみっこが落ち着くんだよ。」

「よくわからないな…。」

「レックスは光属性強すぎるから理解できないかもね。」

「すみっこで何するんだよ。」

「本読んだりする。」

「…なんとなくわかったよ。一人で過ごす方が好きなんだねきっと。」

「まぁ…そうなるのかな。」

「マナは静かに過ごすことが好きなんだね。」

「そうかも。」

「俺と恋人になったら一番穏やかに過ごせるよ。」

「そうかな?そうかも。」

「俺を選ぶ理由が増えたね。」

「フフフッ。そうね。」



私は学級委員の仕事を終えてオーケストラ部へと向かう

「ハッピーバレンタイン。ニック。」

「チョコレート?」

「そうだよ。」

「…フフフッ。ありがとう。マナ。俺初めて好きな子からチョコレート貰ったよ。」

「…えっ!そ…そうなの?」

「マナが初恋だからね。」

「いやぁ…えへへ…照れますね。」

「じゃあ今日もコンクールの課題曲弾いてね。」

「はーい。」

私は課題曲を弾く

「…うん。音が飛んだり跳ねたりよくしてるね。マナの機嫌がいいのだけはわかったよ。今日のバレンタインデーよっぽどいいことがあったのかな?」

「え?そうですか?今日は厄日と言っていいぐらいひどかったですけど…強いて言えばさっきニックが好きな人から初めて貰ったって言われて嬉しかったからかな。」

「え?俺の一言で機嫌良くなってこの音色になったの?」

「そうです。」

「…ハハハ。それはそれはとても光栄だな。今日はマナと二重奏をしたい気分になったよ。バレンタインデーだし今日だけ特別にどう?」

「やったーーー!!!大賛成!!!バレンタイン最高ーー!!!」

「選曲は何でもいいよ。」

「じゃあチャイコフスキーの花のワルツにしよう。」

「いいね。今の気分に最高にあってる。」

「でしょう?」

私とニックは二重奏を二人で仲良く演奏した

コンクールなんていらないから

ずっとこうやって二人で気楽に演奏出来たらいいのに

心地の良い音色に心が満たされていく




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