第151話 ポッキーゲーム
逃げるように私は教室に戻り授業を受けた
昼休みはいつも通り生徒会室へと向かう
私はいつも通りノックをして扉を開ける
「失礼しまーす。」
私が挨拶をしても全く気づかず仕事に没頭しているスリー様がいた
今日はマリオさんもいて私に挨拶を返してくれた
「やぁ。マナ。スカーレット学園にいじめ問題はほぼ解決したからもう来なくても大丈夫なのに。いつも来てくれてありがとね。」
「もうすぐ卒業する先輩方と遊んでおきたくてね。」
「俺達は卒業後もマナと会えるじゃないか。」
「仕事として会うのと学園内で遊ぶのでは全く違うと思いませんか?」
「…まぁたしかに。」
「この青春時代に遊びたいんですよ。私は。」
私はスリー様の所へ歩き
「ばぁ!!!」
「うわぁ!!!マナ!!!」
いつものようにスリー様を驚かせる
「毎回心臓に悪いよ…」
「私はマリオさんと楽しく談笑してましたよ?気づかない方が悪いです!!」
「普通に声かけてよ…」
「毎回挨拶して入ってますよ!!」
「そうか…すまない…」
「スリー様!!今日って何の日かわかります?」
「バレンタインデーだろう?」
「そうです!!はい!!愛情たっぷりのチョコレートですよ♡」
「どうもありがとう。」
スリー様は私のチョコを受け取ってそのまま机の上に置いた
そしてまた仕事をしようとペンを持とうとするので
私はその手を叩いてペンを叩き落とした
「いたっ!!何をする!」
「こんな美少女からチョコ貰っておいてなんですかその態度は!!」
「何故受け取り方で説教されないとダメなんだ!!」
「もっとなんかあるでしょう!?」
「なんかって何だよ!!」
「わ…わかんないけど!!!」
「わからないのに理不尽な怒り方をするな!!」
「ううぅ…もうちょっと喜んで欲しかったの!!」
「ちゃんと嬉しく思ってるよ。」
「見えない…」
「顔に感情が出ないタイプなだけだから。」
「すぐ仕事しようとしたじゃん!!」
「喜んだ後に仕事しようとしたんだよ。」
「スリー様って私のことあんまり好きじゃないよね。」
「何を言ってるんだ?マナの為に私は人生を捧げているのに。この仕事もマナの為さ。」
「そんな仕事より目の前のマナでしょう!?今現在生きてるマナが寂しがってるよ!?」
「うーん…私は忙しいからマリオ相手してあげて。」
「ねぇ!!絶対私のこと厄介者扱いしてるじゃん!!」
「私は忙しいから…」
そう言いながらまたスリー様は私が叩き落としたペンを拾って仕事を始めた
私は自分で作ったチョコレートを持ち
スリー様の顔の前に差し出す
「スリー様♡あーん♡」
「あー。」
スリー様はパクッと食べた
「美味しい?」
「うん。美味しいよ。」
スリー様は何事もないように仕事を続ける
私は全く相手にされないのでマリオの元へと戻る
「全然相手にしてくれなーーーい。」
「可愛いだけのバカはスリー様には釣り合わないから諦めろ。」
「しょうがないから暇そうにしてるマリオさんと遊ぶか。」
「人を暇人呼ばわりするな。」
「じゃーーーーーん!!これ!何か知ってる?」
「何これ?知らないお菓子だね。」
「これはポッキーといいます。細長いビスケットみたいな棒にチョコレートをコーティングしているお菓子です。」
「へぇ。美味しそうだね。」
「このポッキーを使ってゲームをします。」
「どんなゲーム?」
「ポッキーの端端を咥えて先にポッキーを折った人が負けです。」
「なんだその面白くなさそうなゲームは。」
「やってみましょうよ!ね!」
「まぁ…いいけど…」
私とマリオさんはポッキーの端を咥えた
そして私はポッキーを食べてマリオさんに近づく
マリオさんは驚いた顔をして狼狽えている
私は構わずポリポリと食べ進めていった
あと2センチぐらいでキス出来そうな距離まで近づくと
バキッとマリオさんはポッキーを折った
「いええええええええい!!私の勝ちいいいい!!雑魚乙ーーーー!!!」
「ふざけんな!!!なんだこのゲームは!!食べてもいいなんてルール聞いてないぞ!!!」
「そうでしたっけ?」
「そうだ!」
「うーん。じゃあノーカンにしてもう一戦やりますか?」
「やるわけないだろうが!!このバカ!!人をおちょくるゲームばかりやりやがって!!」
「楽しいじゃないですか。」
「お前だけだろうが!!!」
「やだなぁ。こんな可愛い美少女とポッキーゲームなんて楽しいに決まってるじゃないですかぁ。ね?お・に・い・さ・ま♡」
マリオさんは電撃を私にビリビリと攻撃する
「いたたたたっ!!!暴力反対!!学園内は魔法禁止です!!スリー様!!こいつ違反してまーーーす!!!」
「黙れ!!!お前は人を誑かして遊ぶ悪魔の女だ!!ここで成敗してやる!!」
「すぐにそうやって電撃で攻撃する癖やめたらどうです?」
「お前にだけだよ!!人を怒らせるようなことしているお前が悪い!!」
「仲良く遊んでるだけなのにぃ。」
「人を怒らせて遊んでるだけだろ!性格悪いな!!」
「じゃあはい!これ仲直りのチョコレートです!」
「…。」
「お兄様には特別愛情たっぷりですからね!」
「はぁ…。わかったよ…。」
「食べさせてあげようか?」
「いらん。」
「あーぁ!!スリー様は食べさせてくれたのになぁ!!いいじゃん減るもんじゃないだし!!」
「なんでそんなことを…」
「意味はない。楽しいからだよ。」
「…。」
「はい。あーん♡」
マリオさんは口を開けてパクッと食べた
「美味しい?」
「美味しい。」
「えへへ。大好きですよ。お兄様♡」
「お前は本当にタチが悪い…」