第149話 バレンタインデー
もうすぐバレンタインデー
愛する人に告白する日という一年間で大一番の恋愛イベントだ
とはいっても愛の告白なんてしている人達は少数派で
お世話になっている方々への感謝の気持ちを送るというイベントの方が主流だろう
かくゆう私も
告白イベントなんて発生しない
大成功して魔王爆誕したら世界崩壊だからだ
そんな言い訳をして
堂々と恋愛をサボることに成功している
気楽に毎日を過ごす
なんと素晴らしいんだろう
「テレレッテテテ!テテレレッテテテテ!テレレッテテテテデンデンデンデン!!皆様こんにちは!本日のお料理は食べた人全てを魅了する魅惑のチョコレートです!!」
「…マナ。今日も元気そうで何よりだよ。」
今日は休日。朝ご飯を作り終えて食べた後にレックスにバレンタインデーをどうするか尋ねられたので、今日これから作ると言うとなんと一緒に作ると言うのでそのまま助手としてレックスも参加している
魅惑のチョコレートと謳っているが普通の生チョコレートを作る
「これを作って食べさせた後に告白すればどんな人でもイチコロです♡」
「マナが言うと冗談に聞こえないからやめてね。」
「みんなに配ろうと思ってるから結構な量あるなぁ。」
「誰にあげるの?」
「レックス、クリス、スリー様、イシュタル先生、ローズ様、マリアちゃん、マリオさん、レイ、ミメット、カイ…かな?」
「本当に多いな…。」
「あ!あとガードン王様!!一番世話になっているといっても過言じゃないからね!」
「王様相手にチョコレートを渡せるの世界中でマナだけだよ…。」
「そうなの?じゃあとびきり美味しいの作ってあげないとね!」
「そうだね…。」
「食中毒とかになったらレックスも腹切り心中だから気をつけようね!」
「まさか命懸けでチョコを作ることになるとは思わなかったよ…。」
「ローズ様だけ特別感出したいよね!やっぱり!!ハート型にしちゃおうかなー。」
「ローズだけせこいぞ!俺のやつもハートにしてよ!」
「だめー。もっと可愛くかっこよくなってくれなきゃ私の特別にはなれないよ?」
「俺が一番可愛くてかっこいいが?」
「レックスのその自己肯定感高いところ好きだよ。」
「え!?マナに初めて好きだと言われた気がする!!」
「レックスが言うと嫌味にならなくて爽やかになるの何でだろうね。サラッとそう言えたら私も反感買わずに済むのかなぁ。」
「言ってみてよ。サラッと。」
「私が一番可愛い♡」
「マナが世界で一番可愛いよ!!!」
「どうかな?嫌味に聞こえる?」
「事実を言っただけだから。無罪!!!」
「参考にならない…。」
私達は雑談をしながらも手はサボることなく動かして大量の生チョコレートを作っていく
完成した生チョコは学園で渡してねとのことだった
次の日、バレンタインデーだ
早朝いつも通りレックスと朝食を作ってからスカーレット学園へと向かう
秘密の第四倉庫へと
「ハッピーバレンタイン。」
私はそう言ってイシュタル先生にチョコレートを渡す
「な…なんだと!?私にも…!!」
「勿論だよ。」
「冷凍保存したら永遠に残るかな…。」
「今日中に食べてください。」
「実は…私も作ってきたんだよ。」
「え!?あのサラダしか作れないイシュタル先生が手作りのチョコレートですか!?」
「そんな手の込んだものじゃないけれど…」
「めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます!!」「…受け取ってくれないかと思ってた。」
「何で?私は基本相手から貰う好意は有り難く頂くようにしているよ?」
「そうか…。」
「ねぇ!食べてもいいですか?」
「いいよ。」
私はイシュタル先生が作ったチョコを食べた
「めちゃくちゃおいし〜♡ありがとうございます!!」
「こんなに喜んでくれるとは思わなかったよ…。」
「私、チョコが好きなんですよ。お返しって飴とかクッキーじゃないですか。チョコが好きなんですよ!!私は!!!本来反対だと思いません?絶対女の方がチョコ好きで男の方がクッキーが好きだと思うんですけど。」
「たしかにね。」
「だから嬉しい!!イシュタル先生から貰えると思わなかったなぁ。イシュタル先生めっちゃ好き!!」
「チョコレート一つで思わぬ供給に私は爆散してしまいそうだよ…。」
「だって全然自炊なんかしないくせにさ。私の為に初めて作ってくれたんでしょう?そりゃ嬉しいよ。」
「変態教師なのに?」
「関係ないよ。私は私の為に一生懸命頑張ってくれたことが嬉しいの。」
「悪人を信用しすぎたらいけないよ?」
「善人だってずっと善行をするわけじゃないし、悪人はずっと悪行をしてるわけじゃないでしょう?悪人だって善行をしたら褒めてあげないとね。」
「マナのそういうとこ本当に聖女だよね。」
「普通でしょ。」
「じゃあ今日は裸エプロンしようか。おっぱいに溶けたチョコを流してあげよう。」
「くそ気持ち悪い。死ねばいいのに変態教師。」