第148話 マオの為に
「ただいまー。」
「うっ…うっ…うっ…マナ…」
「どうしたの?何で泣いてるの?」
「また帰って来なかったらどうしようって…」
「もうそんなことしないって。約束!!夕飯一緒に作ろ?ね!!」
「うん…。」
泣きじゃくるマオを宥めて私はマオと一緒に夕飯を作る
作っている間にたわいもない会話をよくすると笑顔が戻ってきた
夕飯を食べる頃には落ち着いていつも通りのマオだった
私達は順番にお風呂に入り
寝ようとすると
またマオが泣き出す
「どうしたの?」
「よ…夜になると…不安な気持ちが思い出しちゃって…また魔王になったらどうしようって…」
「大丈夫だって!私が一緒に寝てあげるからさ。安心して寝ていいよ。」
「うん…うん…」
泣いているマオを抱きしめて寝かしつける
マオが完全に寝たことを確認して私は下の階のリビングへと降りる
リビングにはまだミケお爺ちゃんが座っていた
「マオ寝たよ。」
「そうか。よかった。」
「ごめんね。」
「マナは悪くない。気にするな。お前は頑張った方だよ。」
「でも…」
「あの男なら愛せるかもしれないと思ったんだろ?じゃあお前の行動は世界平和の為だった。」
「それでも連絡しておけば…」
「護衛がしてくれると思ったんだろ?実際に王からわしらにマナとスリーはアーシャ国にいると報告されたわ。レイが尾行して護衛しているから心配するなと。勿論マオにも伝えた。しかし…」
「…。」
「マオはマナが取られると思って動揺した。わしはまだ決まったわけではないし、あいつがそんな簡単に恋出来るなんて思わないから落ち着けと宥めたがダメだった。頭を抱えて外へ飛び出し…魔王に変貌してしまった。」
「…。」
「夜中だったが、そのままマオは飛んで行った。わしは急いでガードン王に連絡をした。マオが魔王になったこと。そして…マナが浄化するから手を貸して欲しいと。」
「…。」
「必ず魔塔に二人は帰ってくるから信じて欲しいと説得してわしらは魔塔で待機した。」
「…。」
「あとはマナも知ってる通りだよ。」
「そうですか…。教えてくれてありがとうございます…。」
「すまない。わしがちゃんと説得出来ていればこんなことには…」
「いえ。ミケお爺ちゃんはマオと誰よりも深い絆があります。本当に…いつもマオのこと可愛がってくれて感謝してます。そのミケお爺ちゃんの言葉が届かなかったんです。誰にも止めれませんでしたよ。ミケお爺ちゃんは何も悪くないです。私が…私に依存させるように育ててしまったので…ごめんなさい。」
「…教育のことなんてわしは何もわからんからな。魔術しか教えられん。」
「どうしたらいいんですかね?これから。」
「だからわしはわからん。ガードン王にでも相談しろ。」
「嫌ですよ。マオ殺すとか言われたらどうするんですか。」
「…。」
「今だって暗殺とかはありえますよ?ミケお爺ちゃん私が学園にいるときは全力で守ってくださいよ!!」
「わしに喧嘩を売るなんていい度胸だ。返り討ちにするから安心しろ。」
「それよりも…恋愛成就してもしなくても世界崩壊する未来が確定してるのが問題なんですけど。」
「…。」
「どうしたらいいですかね?」
「だからわしは知らん。」
「ちょっと!!歳取ってるんだから!!何かいい知恵ないんですか!?」
「わしは魔術しかわからん!!!」
「そんなぁ…。」
「とにかく…現状維持するしかない。」
「えぇ…問題先延ばしじゃないですか…」
「そのうち誰かが解決の糸口を掴んでくれるさ。」
「しかも人任せだし…。」
「わしは魔術しかわからん!!」
「もう!!わかりましたよ!!魔術しかわからないんですね!!」
「わしが今出来るのはマナが白魔法を爆発的にも使えるように修練させることぐらいだ。」
「そうですね…。」
「今回、恋愛成就していたらどうなってたと思う?」
「マオが暴走して世界崩壊させてたでしょうね。」
「そうだ。そして暴走したマオをマナは絶対浄化できなかっただろうな。マオが大人しく浄化に応じてて死にかけだったんだ。暴走状態なら生きてないよ絶対。」
「…。」
「暴走状態でも止められるようにするぞ。」
「…はい。」
私達の話し合いは終わり、私はまたマオのベッドに戻り寝る
必ず守ると誓ったから
絶対に救ってみせる
私は世界最強の聖女なんだから