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第146話 可愛いは正義

「三日間の愛の逃避行は楽しかったかな?マナ。」

本当はスリー様と出かけたのは一泊二日だけだけれど

マオが魔王に戻ったことが大勢の人に知られてはいけないと出来る限り隠蔽することになった

あれだけ大きなドラゴンが現れたんだ

目撃者は多くいたようだ

街はドラゴンの出現に動揺したようだが

一日しか姿を見せなかったことで

噂になっている程度だ

この後ドラゴンの姿を見なければ

ほとぼりも冷めるだろうと判断されている

だから私とスリー様は学園から飛び出し

三日間遊び周っていたことになっていた

レックスは毎朝魔塔を訪ねてくるので

ミケお爺ちゃんがまだ帰ってきていないと伝えていたらしい

スリー様は私につきっきりで看病していたようなので

レックスは私とスリー様がずっと一緒に遊んでいると信じたようだ

「えっと…楽しかったです。」

「スリー様にするのか?」

「何がですか?」

「恋人にだよ。」

「まぁフラれちゃったみたいなもんですからね。」

「え………ハァ!?」

「明確には好きだとは言ってないですけど…。」

「スリー様が好きなのか!?」

「どうなんでしょうか…スリー様は私を選ばないとなんとなく思っていましたから。きっと私が好きだって言えないだろうなって。だから…なんとなくこの結果になったことに安心もしてるんです。本当に卑怯ですよね。私。」

「本気で好きじゃないってこと?」

「私はみんな大好きですよ。スリー様もです。スリー様と恋人になった後に私が本気で好きになれなくてもスリー様なら許してくれるだろうなと思ったから。本当に卑怯ですよね。私。」

「それは…さすがにひどいな。」

「ほんとにね。」

「俺は?」

「レックスは絶対許さないじゃん。恋人になったのに本気になれなかったから別れようなんて言ったら…。」

「うん。闇堕ちするだろうね。」

「あはは…。」

「スリー様だって傷つくんだからやめろよ。そんなことするのは。」

「だからフラれてよかったんだよ。」

「そうだ。スリー様はマナにはもったいない優秀な人材だからな。」

「フフフッ。そうだね。」

「ここにマナに相応しい男がいるよ?」

「今の話聴いてよく口説こうと思えるね。私結構最低なことしてるけど。」

「それでもマナは可愛いから。」

「可愛かったら何でもいいの?」

「うん。」

「レックスのそういうところ本当に嫌い。」

「なんでだよ!!」

「可愛かったら全て許される風潮本当に嫌い。」

「マナにだけだよ?マナ以上に可愛い女なんてこの世にいないから安心してね。」

「そんなこと言ってるんじゃない。可愛いから許す発想に嫌悪してるの。」

「可愛いから許されて得してるんじゃないの?」

「得なんかしちゃダメなのよ。可愛くて許すから化け物が生まれるのよ。私のような!!」

「マナは化け物じゃないけど…。」

「許させると思ってしまうから!!スリー様にもひどいことが出来るのよ!!」

「あぁ…なるほど…」

「ううぅ…ねぇ。私とスリー様が一緒に遊んでるってクリスも知ってるの?」

「当たり前じゃないか。」

「ひぇ…。やば…」

「ご愁傷様。」

「ひどい!!」

「まぁ恋人になれなかったことを聞いたら喜ぶんじゃないか?大丈夫だろ。」

「体調不良で休もうかな…。」

「白魔法で健康体になれるくせに何言ってんだ。そんな嘘通用するわけないだろう。」

本当は二日間、体調不良で休んだのに

体調不良どころか生死を彷徨ったのに

「はぁ…あのまま愛の逃避行成功してればなぁ…。」

「現実逃避するな!!フラれたことを認めろ!!」

「学校行きたくないなぁ。」

「まぁ…俺とここで恋人になれば行く必要もなくなるけれど?」

「…しょうがないから行くか。」

「おい!!無視するな!!」


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