第143話 雪国
「どこ行こっか。」
「スカーレット学園。」
「冬だし雪国に行こう!!ハーバランド国は雪降らないからなぁ。」
「嫌だ!!なんでわざわざもっと寒い場所を選ぶんだ!!」
「雪は見たことありますか?」
「ない。一生見なくても困らない。」
「んじゃ行きますか〜。」
「やめろーーーー!!!」
私は嫌がるスリー様を全速力のスピードで風魔法で飛ばして雪国のアーシャ国へと行く
「どうして風魔法を使える?聖女は白魔法しか使えないはずだ。」
「私は世界一の魔導師の孫ですから。白魔法以外も覚醒させることが出来るようにしてくれたんですよ。」
「今は白魔法と風魔法が使えるのか?」
「全部。」
「…は?」
「私のお爺ちゃんは優秀でね。火、水、風、土、雷、白魔法が使えるように修行してくれたの。」
「…。」
「トップシークレットだよ?」
「トップシークレットのくせにこんなくだらないことで魔法を使うな!!」
「やだなぁ。くだらないことに魔法は使うべきなのよ。」
「もっとあるだろう?国を守る為だとか!!人を守る為だとか!!」
「スリー様を笑顔に出来るなら最高の魔法でしょう?」
「私は笑顔になんてなってないが?」
「雪を見たらイチコロですよ♡」
「申し訳ないけれど、私は雪を見ただけで笑顔になるような単純な男ではないんだ。」
「つれないなぁ。」
「はぁ…ルナが満足したらすぐに帰るからな。」
「フフフッ。」
「なんだよ。」
「スリー様が帰りたくないなぁって思うぐらい楽しませてあげるから。」
私達は一時間程かけてアーシャ国へと向かった
アーシャ国は雪が降り積もっていた
「寒い!!!寒い!!!死ぬ!!!」
「バカ!!だから言ったのに!!」
「服屋!!服屋に行こう!!!」
私達は慌てて服屋に入り防寒着を購入した
「はぁ…生き返る…あったかい…」
「いや。あったかくはないだろ。」
「これで外で遊べるね…。」
「…冗談だろ?」
「ひゃっほーーーーーい!!!」
私は外に飛び出して雪玉を作る
そしてスリー様に雪玉をぶつけた
「つめたっ!!」
「これが伝統文化雪合戦です!!」
「やめろ!!」
「戦略で勝ってみてくださいよぉ!!スリー様!!」
私は何度も雪玉を作りスリー様に投げる
スリー様は雪玉を一つ作り反撃してきた
「うらっ!!」
「ひゃっ!!!」
私の顔面に雪玉がクリーンヒットする
「私の勝ちだな。」
「ねぇ!!戦略も何もないじゃん!!」
「私はなんでも優秀なんだよ。」
その後、私達は雪だるまを二人で作った
スリー様は雪だるまを作るだけでも芸術的で上手だった
本当にこの人なんでも優秀だな…
遊び疲れてこの後、スカーレット学園に戻るのはしんどいので
宿を取ることにした
なんかかっこいいという理由だけで
ログハウスの宿にした
ログハウスの暖炉の火をつける
ゆらゆらとゆらめき暖かい炎が燃え上がる
防寒着を脱ぎ、私からお風呂に入って次にスリー様がお風呂に入る
私達は用意されていた暖かいバスローブに着替えて暖炉の前のソファに座る
「暖炉の炎って癒しの効果があるんですって。知ってましたか?」
「勿論さ。「1/fゆらぎ」に関するさまざまな研究が行われた結果、「1/fゆらぎ」がある環境に身を置くと、人間の脳からα波が出され、脳がリラックス状態になり、本能的に癒やされることが証明されたんだ。」
「あ…はい。そうなんですね…。」
「…こんな風に暖炉の炎をゆっくりと見つめるなんてことやったことないけれど…落ち着いて過ごすことが出来ていいね。」
「このまま二人だけで過ごせたらいいのに。」
「…。」
「ねぇ。そう思いませんか?スリー様。」
「そうだね。このまま二人で過ごせたら幸せだろうな。」
「帰りたくないなぁ…。」
「…。」
「ねぇ。スリー様もそうでしょう?」
「それがマナの望みなら。私はなんでもするよ。」
「…ハハッ。ダメだよ。スリー様。」
「何がダメなんだ?」
「私のこと愛していないのに。そんなこと言ったらダメだよ。」
「恋なんかよりも崇高なものさ。俺はマナの信者だよ。」
「そっか…。」
「マナの為ならなんでもするさ。」
「私とスリー様は良く似ている。人の為にしか行動が出来ない。」
「私は人の為じゃない。マナの為さ。」
「どうして?私が好きだから?」
「私のヒーローであり、神様だから。」
「そんな大層な人じゃないよ。私。」
「そんなことない。私にとってはマナは一生私のヒーローさ。」
「ありがとう。スリー様の目にそう映っているなら光栄です。期待外れの軟弱者だと思われないように頑張らなくちゃね。」
「マナのおかげで青春謳歌できたよ。ありがとう。」
私は神様でもなく
ヒーローでもないよ
私のことを一人の女の子として愛してくれたら
恋出来そうだったのにな
本当に卑怯だな私は
愛してるって言ってくれたらいいのになんて
試すようなことして
自分から言う勇気もなく
人に運命を委ねてしまう
自分で決めることが
こわいだけの
臆病者だ