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第139話 本物の娘

お父様を追い出して私とお母様の二人きりになる

勢いでやってしまったが

本当にこれでよかったのだろうか

愛する二人を引き裂くなんて

聖女より悪役令嬢の方が適性があるな

そんなことをぼんやりと考えていると

「ありがとう。」

「え?」

お母様が私にお礼を言った

「私の為に怒ってくれてありがとう。」

よくわからないけれど

何故かわからないけれど

涙が溢れて出す

「うぅ…うぅ…」

泣き出した私を優しくお母様は抱きしめてくれた

「ごめんね。不甲斐ない母親で。」

「そんなことないです…。私の自分勝手でお母様の娘の人生を捻じ曲げてしまった。そんな私を優しく迎えてくれた。それだけで感謝しかありません。」

「いいえ。私は前のマナにも今のマナにも助けて貰ってばかり。ごめんね。本当に。」

「私もごめんなさい。愛し合う二人を引き裂くようなことを偉そうに言って…。」

「いいの。娘から祝福されない夫婦なんて意味ないもの。だから…もういいの。」

「でも…愛しているのでしょう?」

「マナの方が大事だから。」

「私なんて出会ってまもないのに…。」

「正真正銘のエラート・マナなんでしょう?」

「…。」

「貴方は正真正銘私の娘だよ。私の大事な娘だから。」

私はまた涙が溢れ出す

鼻水も涙も垂れ流していたので

ハンカチでふいた

「うっ…うっ…あんなクズ親父より私を大事にしてよかったって絶対言わせるから…!!!」

「もう言ってるわよ。」

「愛してくれてありがとう。」

私を選んでくれてありがとう


次の日、お父様はまた尋ねてきた

「ほら!百万円用意したぞ!!」

お父様は百万円を用意して尋ねてきた

「…これどうやって用意したの?」

お母様が問い詰める

「借金をして用意してきたよ!」

「ではその借金を返済してからまた来てください。」

「どうして!?俺達がすぐに一緒に暮らせるように用意してきたのに!!」

「私は仕事をすることが怖かったです。貴方が出ていって赤ちゃんを一人で育てることはとても不安でした。一年目は貯金を切り崩して節約してなんとか生活していました。二年目にも働く勇気は出なくて庭に畑を作り食糧だけは何とか出来るようにしました。そして三年目。私はまだ働くことが出来ずにいました。自給自足で食い繋ぐしか出来なかった。でも…マナは働いてお金を稼いできたのです。たった三歳の歳で。私は自分が恥ずかしくなりました。こんなに小さな子供が働いてお金を稼いだのに私は何を躊躇っているんだろうと。それから私はたくさん仕事をしました。何をやっても上手くいかず怒られてばかりでした。お金を稼ぐことは本当に大変でした。それでも頑張れたのはマナが私以上に働いて稼いでいたから。私が諦めるわけにはいかなかった。」

「…。」

「誠意を見せてください。私はマナが認めない限り貴方と一緒には暮らせません。ごめんなさい。」

お母様がそう言うとお父様は黙って去ってしまった

「もう二度と来ないかもしれないね。」

自虐気味にお母様が微笑んで言う

「こんなことで諦める男なんて捨てればいいのよ。あんなクズ親父より素敵な人は世の中にはいっぱいいるんだから。」

「たしかに。そうよね。新しい恋でもしようかしら。」

「そうそう!絶対あんなやつより素敵な人いっぱいいますから!」

「マナは?好きな人いないの?」

「恋愛はまだわからないかな。」

「まだまだお子様ね。」

「そうなの。お子様なの。」

こうして私達の波乱の年末年始は終わり、冬休みが終わった


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