第131話 後日談
ミケお爺ちゃんの風魔法で私達は魔塔へ帰り文化祭は終わった
「うぅぅ…華ちゃあああああああああああんんんん!!」
涙声のアルテミスの声が聖杯から聞こえた
「どうしたの?アルテミス。」
「最高のアイドルステージだったよ!!私はこの世界を作って…本当に良かった…。華ちゃんのあんなに輝く姿を見ることが出来るなんて…!!この世に未練はもうないよ…。」
「アルテミスが言うと世界改変させれるから洒落にならないよ。満足したから新世界を作るとか言わないでよ。」
「新世界は華ちゃん一生アイドル編だね。」
「アイドル以外は破滅するの?」
「そう。」
「一瞬で崩壊するからやめてね。」
「この世界も恋できなさそうだし崩壊路線だけどね。」
「嫌なこと言わないでよ!私だって恋出来るように努力してるんですぅ!」
疲れたので私はすぐに眠ってしまった
それでも次の日は朝の五時には目が覚める
習慣というものは恐ろしい
「おはよう。マナ。」
「おはよう。レックス。」
「昨日は凄かったよ。アイドルというものは初めてみた。一瞬も見逃したくないような目を惹きつけられるステージは初めてだったよ。」
「えへへ。ありがとう。」
私は少し照れながらお礼を言う
「もうアイドルはやらないの?」
「うん。もういいや。一回やれば満足。」
「もったいない。毎年やればいいのに。」
「来年はレックスがやってよ。」
「お、俺が!?」
「私がプロデュースしてあげるよ。世界中の人間を手中に収めるアイドルにしてあげる。」
「悪の親玉のセリフだよそれ。」
「人類全ての心を手中に収めてこの世界を動かすのだ!」
「マナは聖女なのに悪役好きだよね。」
「レックスがアイドルになったら私も夢中になって見惚れちゃうかもなぁ。」
「そ…そんな…惑わせるようなこと言うなよ!」
「かっこいいだろうなぁ。レックスのアイドル。見たいなぁ。
「…。」
「好きになっちゃうかもなぁ。」
「絶対惚れさせるから!覚悟しとけよ!!」
レックスは素直すぎてのせやすいから心配になるぐらいだ
来年は私ではなくレックスがアイドルステージに上がるなら学園のみんなも納得だろう
私に白羽の矢が当たることはない
是非頑張ってほしい
私は早朝、スカーレット学園へと登校して隠し部屋へと向かう
「待ちわびた!待ちわびたよ!マナ!!!」
「時間通り着きましたよ?イシュタル先生。」
「昨日のアイドル衣装が欲しい!!私にくれ!!」
「それは無理ですね。」
「何故!?契約と違う!!マナの身につけるものは全て貰える約束のはずだ!!」
「だって私のものじゃないし。あれはマリアちゃんが私の為に作ってくれたアイドル衣装だからマリアちゃんのものだよ。あのアイドル衣装はマリアちゃんが持ってる。」
「な…なんだと…自作…?」
「そう。私のアイドルステージの為だけに二日間徹夜をして作ってくれた魂の衣装だからイシュタル先生にはあげられないよ。ごめんね。」
「そ…そんな…」
わかりやすく膝から崩れて落ちてイシュタル先生は落ち込んでいる
「先生?大丈夫ですか?」
「くそッ!!!!!マナの可愛さは私が一番知っていると思っていたのに!!!まさか自作で衣装を作ってマナの可愛らしさを最大限に引き出すなんて…!!アーネルド・マリア…恐ろしい女だ!!」
「努力家のいい子ですよ…?」
「そうだ!もうすぐハロウィンがある!私が自作で衣装を作るからそれを着てハロウィンパーティに参加しろ!」
「えぇ…変態な衣装になりそうだからやだ…」
「安心しろ!私は露出癖が高い衣装は嫌いだ!そんな痴女のような真似をマナにさせるわけにはいかない!!私はパンツが見えたら萎えるタイプだ!見えないからこそ妄想が捗り興奮するんだ!」
「先生は幸せそうでいいね…。」
イキイキしている
この人がこの世界で一番幸せそうだ
「私が魂を込めてマナへハロウィン衣装作り上げる!!」
「デザイナーに頼んだ方がいいんじゃないですか?特注で頼めばいいじゃないですか。今回は時間がなかったから自作してくれただけなので。」
「エロい衣装をデザイナーに頼めるわけないだろう?」
「エロい衣装を作ろうとするな!」
私は隠し部屋を出てクリスに会う
「おはよう。マナ。」
「おはよう。クリス。」
「昨日は凄かったね。アイドル。」
「ありがとう。頑張って練習したからね。」
「でももう二度とやってほしくないな。」
「どうして?」
「俺だけのマナになって欲しいから。」
「フフフッ。みんなのアイドルのマナは嫌?」
「嫌。」
「私が遠くに行ったように感じた?」
「感じた。辛かった。」
「フフフッ。」
私はぎゅっと手を握る
「ここにいるから大丈夫だよ。」
にっこりと微笑む
「…来年は俺と後夜祭踊って欲しい。」
「うーん…。それは無理かも。」
「なんでだよ!!今の流れは絶対OKする流れだろう!?」
「私、空気読むの苦手なの。」
「くそっ!!来年は絶対俺を選ばせてやる!!」
昼休み。生徒会室へと向かう。
「昨日はありがとね。アンコールやってくれて。おかげで平和に文化祭を終わることが出来たよ。」
「本当ですよ。あんな下手くそなアンコール歌う羽目になって…。伝説になるはずだったのに。」
「可愛かったから大丈夫だよ。」
「一つ貸しですからね!?」
「アンコール用意してない方が悪いだろう?」
「一曲でスケジュール取ってたじゃないですか!」
「とにかく借りを作るようなことは私はしていない。」
「私のアイドルステージどうでした?かっこよったですか?」
「盛り上がりすぎてハラハラしたよ。人の雪崩で怪我人が出るんじゃないかってね。」
「私のことを見て欲しかったのに!」
「責任者だからね。仕方がないんだよ。」
放課後、オーケストラ部でニックと会う
オーケストラ部は文化祭後、年末に定期演奏会が開かれてこの定期演奏会後、三年生は引退する
オーケストラ部は一年中忙しい
「歌って踊るステージは初めてみたよ。後ろの軽音楽部の演奏に合わせてステージを作り上げるなんて感動したよ。マナの音楽の魅力は無限大だね。」
「えへへ。ニックに大絶賛されると自信がつくなぁ。ありがとう!」
「俺の演奏に合わせてもやってみて欲しいなぁ。」
「いいよ。いつかやろうか。」
「来年の夏またキッカ国へ行くときにやろうよ。」
「えぇ…また私伴奏するんですか?」
「当たり前だろ?」
「もう打楽器もやれるし、来年は吹奏楽の演奏の方に入りたいんだけど…」
「だめだ。マナの主軸はピアノなんだから。助っ人としてでしか打楽器は参加させないよ。」
「でも…」
「楽しようとするな。」
「…。」
「はい。今日から練習する楽譜です。」
「ねぇ。ニックは私のこと好きって告白したよね?」
「そうだな。」
「本当に私のこと好き?普段の態度からそんな風には見えないんだけど…」
「何言ってるんだ。これが俺の愛情表現だよ。」
「もう少し優しくしてくれてもいいじゃん。」
「厳しくすることが愛なんだよ。」