表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/279

第130話 後夜祭

僕はミケお爺さんと一緒に文化祭に来ていた

オーケストラ部とアイドルステージを見に来た

圧巻だった

この世界が美しいのはきっと

マナを中心に世界が回っているからだろう


「今年のミスマドンナはぶっちぎりの投票数でエラート・マナ様です!!」

マナのアイドルステージの後に毎年恒例のミスマドンナの表彰があった

マナはアイドル衣装のまま再びステージに上がり

頭に優勝の王冠、肩には赤いマントを羽織っていた

手にはトロフィーと僕の渡したバラを持っていて

観客に大きく手を振る

誰も敵うわけない

まさに世界最強のヒロインだ

「たくさん応援してくれてありがとう!今日は誰よりも輝いて見えるように頑張ったので、このような名誉な賞を頂いて本当に嬉しいです。ありがとうございました!」

マナがミスマドンナのスピーチを行っている

大きな拍手と大歓声に包まれてマナはステージ上で誰よりも輝いていた


ミスマドンナの発表も終わり後夜祭が始まる

キャンプファイヤーの周りで

好きな人と踊る

この世界は恋愛ゲーム要素がもはや数少ないが

数少ない恋愛ゲーム要素の名残だ

本来なら好感度が一番高い攻略対象と踊るイベントだろう

マナは誰を選ぶのだろうか

見たいような

見たくないような

複雑な気持ちだ

「こんばんは。マオさん。」

謎の男が声を掛けてきた

「初めまして。私の名前はカーコック・エド。元魔王のマオさん。」

「…情報を集めることが好きな変な人間か。」

「マオさんに認知されているなんて光栄です。」

「僕に何のよう?」

「何も。ただ噂の元魔王に会えるので話をしてみたかっただけです。」

「冷やかしか。」

「気を悪くされたのなら申し訳ございません。」

「いや。別にいい。」

「一つだけ。お伝えしたいことがあったので。」

「なんだ?」

「この世界はマナ様の為に作られた世界。それはアルテミスから聞きました。しかし、アルテミスも干渉出来ない領域があるそうです。」

「?」

「マオさん。貴方はアルテミスが作ったのではない。この世界の闇側は干渉していないらしいですよ。だってこの世界を平和に生きてほしいのに魔王も誕生させるなんておかしいですからね。」

「あのアルテミスなら頭おかしいからやると思うけど。」

「そうなんですね。でも違うらしいですよ。貴方は闇側の神様の最高傑作。光側の神様はマナ様を中心に闇側の神様はマオさんを中心にこの世界を作ったんです。」

「それが何か問題があるのか?」

「つまりですね。貴方が処刑されたら新しい魔王がまた作られるかもしれないってことです。」

「…。」

「この世界が平和であるには貴方の生存が。貴方の平和が第一条件だ。」

「…。」

「マオさんがマナ様に選ばれなかった時、この世界はどうなるのでしょうか。」

「…。」

「それでもこの世界が美しいと言ってくれるでしょうか。」

「…。」

「後夜祭でマナ様は誰と踊るんでしょうね。」

「おい。もうそれぐらいにしろ。この世界がどうなってもそれはマオのせいではない。こんな世界を作った神様の方がおかしいんだ。」

ミケお爺さんが反論してくれた

「すみません。出過ぎた真似をしてしまいましたね。私はこの世界を愛しているのです。だから崩壊してほしくなくてね。つい気になって色々聞いてしまいました。申し訳ございません。それでは私はこれで。」

そう言ってエドは去って行った



「わぁ!!」

「わぁ!!!!」

急にマナが後ろから脅かせてきた

「えへへー!ただいまー!!どうだったー?私のアイドルステージ!!」

「凄かったよ。マナは人を惑わす天才だね。」

「私が本気出したら恐ろしいでしょう?」

「恐ろしくはないさ。マナに愛されてみんな幸せだよ。」

「ありがと!ねぇさっきエド様と話していた姿が見えたけど大丈夫だった?」

「大丈夫だよ。何もされていない。」

「そう。マオを傷つけたら容赦なく潰すからね。安心して!!」

「安心出来ないよそんなの…。」

「はい!」

マナは手を出す

「俺は踊れないよ?」

「いいのいいの!こんなのみんな適当なんだから!」

マナは無理矢理僕の手を取り踊り出した

僕はマナに引っ張られてなんとなく見よう見まねで踊る

後夜祭で僕を選んでくれた

その事実がとても嬉しい

恋愛感情なんてないんだろうけど

それでも今は

まだ今は

僕はマナを独占出来ているから

僕達は運命共同体

マナを中心に

僕を中心に

世界が回る

だからこの世界は美しいのだ

「マナが好き。我を忘れるぐらいマナに夢中になって溺れていまっている。僕が選ばれなかったら。この世界はどうなるのかな。」

「んー?大丈夫だよ。」

「どうして?」

「だって恋人なんかよりマオが大事だもん。」

「…。」

「言ったでしょう?この世で一番大事なのはマオだって。恋人よりもずっとずっと愛してる。」

「そう…。ありがとう。」

僕は知っている

マナが恋をしたら

恋人なんかに敵わない

マナは恋をしたことないからわからないんだろう

マナの恋が叶うと

世界は救われる

それと同時に

僕は世界を壊すのだろう


僕達は運命共同体

再生と破壊を

二人で繰り返す



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ