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第13話 モブ令嬢のおねだり

めっちゃ緊張する…レイとアリサは見えない所で見守っているけど一人で待つのは心細すぎる。

 二人で話している時はいけそうな気がしてたけどいざここで待っていると失敗する予感しかない。普通に無視されて終わるかもしれない。悪い妄想が止まらない。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 まだ五分しか待ってないのに心臓がバクバクとうるさい。緊張しすぎてやばい。落ち着け。今日はお父様にお願いするだけだから!

 なんとか自分を落ち着かせようと必死だ。実の父親のお願いするだけでこんなに緊張する子供は私だけではないだろうか…

 やばい!足音が聞こえてきちゃった!こっち来る!!あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!

 ドン!!

 バニックになってお父様とぶつかってしまった。

 「マリア?まだ起きていたのか?大丈夫か?」

 あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば。可愛くおねだりってどうするんだっけ?ブサイクな私がやっても激イタイやつになるじゃなかったけ??え?お父様はもしかして激イタイやつで浮いてる私だから嫌いってことかな???え?可愛くお願いとか成功するわけなくね????

 「マリア?どうしたんだ?様子が変だぞ?」

 「デュフュッデュフュッデュフュフュ…………」

 「え?」

 何故か超絶キモすぎる声と言動をしてしまった。かなり挙動不審た。オワタ。

 「あ…あの…よ…宜しければ…わたくしと…いっ…一緒…にえ…演劇とか…どうすか。いやいや本当!!ちょっとキモくてすみません!!なんかたまにはお父様も息抜きとかどうかなと思いまして!!今ちょうどかなり評判の演劇がありまして!!あの私も演劇行ったことないんですけど!お父様と行けたら楽しそうかなってちょっとだけちょっとだけ妄想してしまいまして!いやいやいやいやいやいやあのあの妄想とかキモイですよね!すみません!あの今言ったこともう記憶から抹消して下さい!本当すみませんでしたああああああああああああ!!」

 吃りからの早口言葉。典型的なキモオタです。これにはお父様もドン引きに違いない。怖くて顔が見れない!

 「すまない…私は忙しくて時間を取る事が難しくてな…」

 「いやいや!フヒヒッ!フヒヒッ!全然!気にしないで!下さい!!わたくしなんて!!お父様の視線に入るだけでおこがましい!!存在ですから!!ええ!!はい!!!」

 キモオタに優しくする芸能人のようだ。オタクきめぇと言われないだけで菩薩のような優しさを感じる。そして自分のキモさが恥ずかしくて穴に入りたい。早く!部屋へ!戻りたいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

 「今の演劇には間に合わないが、次回公演の演劇ではダメか?」

 「え?」

 「有名な演劇ではないかもしれないが…私はつまらない人間だから一緒に見ても楽しくないかもしれないぞ。」

 「いえいえいえ!そんな!お父様と行けるだけで十分です!ありがとうございます!」

 「では日程を調節したらまた連絡するよ。」

 「ひゃい。ありがとうございます。」

 そう言ってお父様は去って行った。お父様のファンサヤバすぎ。こうやって推しになるんだな。お父様無口だけど紳士だ。お兄様のお父様だもんね。私をゴミを見るような目で見られてもおかしくなかったのに。ブサイクなキモオタにも優しいなんて神対応すぎるよ。

 お父様の姿が見えなくなった後に全てを見守っていたアリサとレイが出てきた。

 「マリアお嬢様!!大成功ですよ!!やっぱりお嬢様のお願いは最強ですね!」

 「いや…なんかマリアお嬢様めっちゃパニックになってましたし…ちょっとキモかったし。得体の知れない恐怖があったかもしれないですよ。断ると何されるかわからないみたいな。」

 私もそう思う。お父様が紳士で優しかっただけだ…。

 「でも成功は成功ですよ!」

 「作戦通りのお願いは全くしてなかったですけどね…本当に大丈夫でょうか…」

 ただのキモオタでしたよね。すみません。

 「やっぱりマリアお嬢様のお願いは無敵!ですよ!!」

 「不安すぎる…」

 精霊相手にキモオタ発動は私も絶対失敗すると思う…

 「私も不安だからもう少し練習しよかな…」

 「私もその方がいいと思います…」

 「じゃあ今度お父様と演劇行く時にまたお願いしてみようか。」

 「お父様結構何でも聞いてしまうのでは?さっきのお願いで聞いてくれるならハードルはかなり低いですよ」

 「まぁ確かに…じゃあ別の人にお願いしてみる?」

 「例えば?」

 「結婚してくださいとか」

 「ダメに決まってるでしょうが!」

 レイが怒る

 「まぁそれは冗談として」

 「最近の結婚ジョークは心臓に悪いのでもうやめてください!」

 今のは冗談だけどそれ以外は割と本気なんだけどな。

 「また考えるかぁ。とりあえずお父様と演劇行けるなんて思わなかった。本当にびっくり。」

 めちゃくちゃ楽しみだ。嫌われてると思ってたけど結構すんなり承諾してくれたし違うのかも。それか最近アーネルド家らしくなったと聞いて興味を示してくれたのかな?

 「えへへ。」

 「お嬢様嬉しそうですね。」

 「お父様に嫌われてなかったんだなーって」

 「いやお嬢様に説教する為に承諾したのかもしれませんよ。」

 「ちょっと!幸せな気分に浸ってるのに水を差すようなこといわないでよアリサ!」

 「フフッ。申し訳ございません。冗談ですよ。」

 アリサは最近よく冗談をよく言う。柔らかい雰囲気になった。前は仕事人間!!って感じだったけど、今ならアリサにも無茶なお願いも通るかもしれない

 「ねぇーアリサーお願いがあるんだけど~」

 「なんですか。」

 「愛してるって言って♡」

 「世界で一番お嬢様を愛していますよ。」

 「え?ホント!?」

 「嘘です。」

 「この悪女~!」

 「お嬢様に言わされただけです。」

 「もぅーつれないなぁ〜」

 「冗談です。」

 「え?」

 「世界で一番お嬢様を愛していますよ。」

 鼻血が出るかと思った。十八歳の美少女メイドのデレの破壊力ヤバすぎる。

 「このゲームしてたら私アリサ推しだったかも…超可愛い…」

 「何意味不明なこと言ってるですか。お嬢様がモブ令嬢なのに私がゲームに関わりがあるわけないでしょう。」

 「私がゲーム作者ならアリサがヒロインだね。間違いない!絶対そう!」

 「それはいいですね。私が毎日お嬢様に振り回されて四苦八苦しているゲームをお嬢様に是非プレイして貰って私の辛さを味わって貰いたいものですね。」

 「辛さ?幸せの間違いでしょ?」

 「ウフフッそうですね。」

 私が入れ替わるかもしれないからか、アリサのデレ度がかなり高い気がする…

 「お嬢様に振り回される毎日が一番幸せです。」

 ああこの世界のヒロイン絶対アリサだろ…最強のツンデレじゃねーかと思った

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