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第129話 アンコール

私達のアイドルステージは終わったが

舞台から降りても観客の熱気は冷めずにアンコールの声が鳴り止まなかった

私達は一曲の予定だったし

他に楽曲を用意していなかったので

そのまま帰ろうとしたが

「このままだと収集がつかなくなるからなんでもいいからもう一曲やって欲しい。」

そう言うのは文化祭も全体の責任者になっている生徒会長のスリー様だ

「無理ですよ。私達一曲しか用意してないし。」

「そんなこと言わずに!なんでもいいから!このままだと観客が暴動を起こすかもしれない!!」

「そんなこといわれても…出来ないものはしょうがないですし…」

「なんで一曲しか用意してないんだよ!アンコールがあるのは当たり前だろ!?」

「一曲仕上げるだけでもめちゃくちゃ大変だったんですよ!?私達は予定通り一曲だけやったんですから文句言われる筋合いないですから!!」

「最終ステージなんだから時間が増えても問題ないから!お願いだからなんでもいいから一曲やってくれ!!」

「一曲だけやるからいいんですよ。人気が出たから続編が出る映画なんてしょーもないです。この一曲に魂込めて完璧に仕上げたんですから。クオリティ低い適当なものを見せて萎えさせたくないですよ。あの一曲の余韻に浸って貰えるから伝説のステージになるのに。もう一曲なんて歌ったら興醒めですよ。」

「寧ろ興醒めさせるぐらいで丁度いいから!あの観客を落ち着かせてくれ!このままアンコールなく終わったら騒ぎになるぞ!!」

「アイドルは短い期間輝く儚さを楽しむんですよ?私達は伝説のステージのまま終わりたいんです!!」

「伝説なんてならなくてもいい!!あの観客をどうにかしてくれ!!頼む!!!」

「マナ…私は別にもう一曲してもいいけど…」

マリアが言う

「本当か!?」

「マリアちゃん!?」

「一応マナちゃんも歌える曲を何曲か練習してたから…」

「ほら!!マリア様はアンコール用にちゃんと用意してるぞ!!」

「チッ。」

「舌打ちするな!!」

「だって伝説じゃなくなるもん!私のアイドル美学が崩れるよ!!」

「そんなものは捨てろ!どうせ一日だけしかやらないアイドルの美学なんて持っていてもしょうがねぇだろうが!!」

「この一日が伝説になるから美学なんだよ!!」

「このまま終わったら観客が暴動起こしてそれが伝説になるぞ!!」

「うぅ…」

「ほら!アンコール!!アンコール!!!」

「ううぅ…。練習してない曲なんて自信ないのにー!!やだーーー!!!」

「失敗は成功のもとだから!!頑張れ!!」

「失敗する前提で言わないでよ!!最低!!」

私はマリアちゃんに弾ける曲を確認して

まだ歌えそうなバラードよりのアイドル曲を選んだ

「失敗してもマナ様は最強のアイドルだから!頑張れ!!」

スリー様にそう言われて私とマリアちゃんの二人で再びまたステージへ上がる

観客は私達が再びステージに上がって大盛り上がりになり地響きがするほど観客の声でステージが揺れる


「あ…えっと…みんなアンコールありがとう。」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「マナ様ああああああああああああああああ!!」

「ごめんね。アンコールまで用意してなくて。上手く歌えないかもしれないけれど…心を込めて歌います。」

マリアちゃんが演奏を始めて

私は歌い出す

歌は安定しないけれど

一生懸命気持ちだけは込めて歌った

歌い終わると最前列にマオの姿が見えた

「マナ!!」

マオは一輪の赤いバラを持っていた

私はそれを受け取る

マオは私のアイドルの練習にたくさん付き合ってくれた

私のことを応援してくれた

世界一可愛い私の自慢の弟

私の為に用意してくれた一輪の赤いバラが

本当に嬉しい

「ありがとう。マオ。」

私はにっこりと笑う

大歓声と大きな拍手に包まれて

今度こそ私のアイドルステージは終わった


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