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第128話 伝説のアイドル

執事喫茶なんてもう二度とやりたくない

何故こんな知らない女達をもてさなさないといけないのか

俺が一番愛してるマナには全く会えないし

俺はずっと接客しているのに

マナはキッチンの仕事がなくなるとローズと一緒に文化祭を回っているらしい

羨ましい

俺がマナと一緒に文化祭デートしたかったのに

馬車馬のように働かされた

誰だよ執事喫茶なんて考えたやつは

一生恨んでやる

俺もレックスもニックもマナのアイドルステージが見たいので

少し早めに執事喫茶は閉店した

マナが今日の文化祭、野外ステージ大トリを務めるので

俺達は野外ステージへと見に行く

ステージにはもう既に千人程の人々が集まっていた

一番前の特等席で見たかったが仕方ない

俺達三人は並んで後ろの方で見ることになった

「アイドルってなんだ?」

「歌って踊るらしいよ。」

ニックが答える

「歌いながら踊るなんて出来るのか?」

「どうなるんだろうね。想像つかないから楽しみだ。」

「ニックはさっきステージでマナに愛の告白をしていたらしいな。」

「気持ちを抑えられなくてね。つい。」

「ローズに負けて振られたらしいな。ざまぁみろ。」

「それはクリスも同じだろう?ローズに勝てないくせに。」

「意味がわからないよ。俺の方が絶対いい恋人になるのにさ。」

「そんなことはないと思うけど。」

「おい!始まるぞ!静かにしろ!」

レックスが言う


ステージを見ると軽音部とマリアとマナが出てきた

軽音部は助っ人としてマリアがお願いしたらしい

軽音部のバンド演奏にマリアのキーボードも入って演奏するようだ

そして驚くべきはマナの格好だ

真っ赤な衣装でスカートはひらひらと大きなフリルがふんだんに使われている

こんなドレスは初めてみた

めちゃくちゃ可愛い

髪の毛はいつもと違い、マナの綺麗な黒髪ストレートは巻き髪にアレンジされていた

巻き髪にするといつも以上に愛らしさが倍増している

今日の衣装によく似合っていた

この世にマナ以上に可愛い生き物は存在しないだろう


演奏が始まると

マナは両手を上に上げて拍手をしながらジャンプをする

どうやらお客も一緒にジャンプして拍手をしろということらしい

最前列のお客達はみんなノリノリでジャンプと拍手をしている

一緒にやることで盛り上がっている


マナは踊りだし、そして歌い出した

その歌声に

目線に

仕草に

笑顔に

その場にいたお客全員が虜になる

誰にでも平等に愛を与える

身分も歳も性別も関係なく

全人類がマナの虜になった

恋の歌なんて歌うんじゃねぇよ…

恋なんてしたことないくせに

“震えるほど貴方が好き”だなんて

そんなこと歌うなんて

ずるい

何度だって恋に堕ちてしまう

何度だって虜にさせられる

こんなにも大好きにさせられても

俺はこのお客の中の一人でしかなく

マナの特別にはなれない

“マナ様はみんなのヒロインです”か…

いつかローズに言われた言葉を思い出す

誰のものではなく

みんなに愛を与えるから

神様のような存在なのだろう

そうだな

俺は何もわかっていなかった

手の届かない

幻のような奇跡の女の子なんだって

マナのアイドルステージの熱狂はどんどんボルテージをあげていき

一秒でも目にすれば

誰でも立ち止まる

お客の数も増えていき

文化祭に参加しているお客全てがこのステージに集まってきた

人を魅了する天才的な才能

誰よりも可愛く美しく

儚く強く

ステージ上のマナはまさに最強だ


大盛り上がりの中、曲が終わり拍手が鳴り響く

「マナ様ー!!」

「可愛いー!!」

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

観客は興奮してみんなマナに声を掛けている


「みんなー!!今日は私のアイドルステージに来てくれてありがとう!!今日の為にたくさん練習したので、たくさんのお客様の前で全力を出し切って歌って踊ることが出来て本当に嬉しいです!アイドルはお客様がいることで輝くことが出来るんです。だから、今日私が輝いてみえたのならここにいる全員が私を輝かしてくれました。本当にありがとう!!私はみんなに愛されて世界一幸せなアイドルです!!」


「マナ様ーー!!!」

「俺も愛してるーー!!」

観客が叫ぶ


マナはそれに応えて大きく手を振りお辞儀をして

「私のアイドルは今日一日だけです。私を最強のアイドルにしてくれてありがとうございました!この日を私は一生忘れません!!みんなー!!ありがとうー!!!」


そう言ってマナはステージから去って行った

「マナ様ーー!!!」

「いかないでーーー!!」

「アイドルやめないでーー!!!!」

と悲しみの声が観客から上がる

アンコールを地響きのように繰り返される

あれだけ盛り上がりを見せていたステージだが

今は焦燥感に襲われている


レックスとニックが気になり二人をふと見てみると

二人とも魂が抜かれたかのように

心ここに在らずの状態だった

マナに心を奪われて

動けなくなっているのだろう

俺達は全員マナの恋人になる為に争うライバルだ


こんなところで魅了されっぱなしの俺達は

全員マナに惨敗している


それでも俺は諦めない

諦めきれない


マナを思うこの気持ちだけは

絶対に誰にも負けない自信があるから


マナを魅了する男に俺はなる
















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