第122話 永久機関
王様は玉座から立ち上がり私の目の前まで近づく
「手を出しなさい。」
そう言われたので手を出すと石を渡された
「なんですか。これ。」
「魔法石だ。この石には雷の魔法が込められている。魔力を込めると発動する。」
「電気ショックで死ぬの?」
「死にはしない。気絶させるだけだ。何かあればこれを使いなさい。」
「…ありがとうございます。」
「そんな変態に人生賭けなくていいんだからな。やめたくなったらすぐにやめなさい。」
「フフフッ。ありがとうございます。いつも優しくしてくれるのに生意気ばっかり言ってごめんなさい。」
「そんなことを気にするな。私はマナを守る義務があるだけだ。」
「それでも嬉しいです。ありがとうございます。大事に使います。」
「夜遅くに呼び出して悪かったな。」
そう言って私は解放された
イシュタル先生のことは黙認してくれるようだ
私が暴走して反乱を起こすのを恐れているだけかもしれないけれど
それでもこの魔法石は確実に私を心配して気遣ってくれている証だから
単純に嬉しかった
部屋から出るとレイが私を抱きしめる
「マナ様…。本当に申し訳ございません…。俺が隠し部屋に閉じ込められる前にしっかり守っていればこんなことにはならなかったのに…。護衛騎士失格です。」
「やだなぁ。犯人わかってたのに二人で行動するなんて私の警戒心が足りなかったんだよ。レイは悪くない。」
「いいえ。今回のことは確実に俺の落ち度です。本当に申し訳ございませんでした。大事な主人を守れなかった。命を賭けてお守りすると誓ったのに。」
「私の護衛騎士はレイ以外認めないからね。一生側で使えるんでしょう?」
「勿論です。この身もこの心も全てを貴方に捧げて守ると誓います。」
「苦労が多いと思うけど、よろしくね。」
「二度と危険に晒さないと誓います。」
次の日になり、私はまた早朝隠し部屋へと向かう
「おはよう!マナ!!」
「マナのブラジャーはEカップなんだね!意外とおっぱい大きいね!」
「ブラもパンツも貰ってばかりだとマナの下着がなくなるだろうから私が新しい下着を買ってきてあげたよ!」
「じゃーーーん!!どう?情熱の赤色下着だよ!」
「マナは真っ白な下着を着ててそれはもう解釈通りでいいんだけどさ。」
「こういうドスケベな赤の下着を付けることでギャップが生まれていいんじゃないかなと思って!!」
「マナがつけた下着をまた私が貰って、私がまた付けて欲しい下着を買ってあげて」
「永久機関の完成だよ!素晴らしいと思わないか!?」
今すぐ魔法石で電撃を喰らわせて気絶させて捨ててしまおうか
この変態教師め…
私達の関係は誰からどう見ても非難轟々されるような関係で
私がこんなことを続けるのは
偽善なのか
慈悲なのか
弱さなのか
強さなのか
本当に何もかもわからないけれど
「今日はゴスロリの衣装を着よう!ゴスロリの衣装に合う髪型を研究したんだ!私がセットしてあげるからね!可愛くて可愛くて堪らないだろうなぁ!!」
一つわかっていることは
この無邪気な笑顔に
心底幸せそうにする姿に
私の人生賭ける価値はある
今はそれだけで十分だ
「うるさい。この変態教師。下着より早く私の体操服返せ。」