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第114話 チアガール

私がローズ様にキスした後にクリスが乱入してきて

“マナのファーストキスの相手は俺だ!”

と言ってきた

そういえばカイからの手紙を破かれた時に無理矢理キスされたっけ

私が“真実の愛のキスはローズ様が初めてだから”と言うと

怒ってしまった

このまままた魔力暴走して全て焼き尽くされても困るので

仕方がないからクリスとゴールをした

ゴールしてからもクリスは

“あの女のどこがいいんだ!!”

“俺の方がマナを愛しているのに!”

“俺にもキスしろ!”

とかごちゃごちゃ言ってきてうるさかった


午前の部が終わり、午後の部の前の応援団のダンスが始まる

私はチアガールの衣装に着替えて準備をする

「今日のマナのチアガール姿で何人の男を地獄に堕とすのかしらね。」

ローズ様が皮肉を込めて言う

「何言ってるんですか。私よりローズ様の方がスラッのとした体型でよくお似合いですよ。」

「なに?私の胸がないことディスった?」

「そんなこと一言も言ってないじゃないですか…。似合ってていいなぁって言ったのに。」

「確かにね。私はモデル体型だから。マナはグラビア体型だからチアガールなんか着たら18禁になるものね。」

「そこまで胸大きくないですよ…」

「爆乳じゃないけど男が好きな体型してる。」

「これから人前で踊るのに嫌なこと言わないでくださいよ…」

「ごめんごめん。」


私達はグランドへ出る

この世界は文明が進んでいないので曲を流すことは出来ない

だから吹奏楽の生演奏に合わせて私達は踊る

演奏が始まり私達は踊り出す

ローズ様が私達を一生懸命引っ張って教えてくれたので

私達は全力で自分の力を出し切って踊ることが出来た

踊りが終わりローズ様を見る

キラキラと眩しく光る汗までも素敵で目を奪われる

カッコよくて可愛くて

今日ローズ様に惚れる男なんて山のようにあるだろうなと

そう思った

ローズ様から私に抱きついてきて

「マナが世界で一番可愛い。」

そう囁いてきた

可愛いと言われることは嫌いだった

男の人に言われると外見でしか判断されてないような気がするし

女の人に言われると皮肉のように聞こえるからだ

でも今、ローズ様に言われた可愛いと言う言葉は

人生で初めて好意として受け止めることが出来た

ローズ様の目に私が可愛く映ってくれていたことが

とても嬉しかった


大成功を収めて気分よく私達は更衣室に戻る

「あ…あれ…?」

「マナ。どうしたの?」

「私の体操服がない…。」

確かにここに置いてあったはずなのに

下に落ちてもいない

それなら考えられる可能性は一つだけ

盗られたんだ

「…。」

前世の頃の嫌な記憶が蘇る

可愛いという理由だけで

体操服も

筆箱も

水着も

他にもたくさん盗られた

嫌になる

反吐が出る

どうしてこんな目に遭わないといけないんだろう

「マナ…。」

「大丈夫だよ。ローズ様。こんなの慣れっこだし。いちいち気にしてたらキリがないもの。」

「…。」

声が震える

強がることでしか自分を守れない

白魔法があるだけで強くなれるわけない

私は体操服一つ盗まれるだけで

こんなにも弱く惨めだ

「おいで。」

ローズ様が両手を広げて待っている

「ど、どうしたんですか?急に…」

「いいから。おいで。」

私は甘い言葉に誘われてローズ様の胸に飛び込む

ローズ様は私を抱きしめてくれた

「バカね。貴方はもう佐々木華じゃない。こんなこと慣れっこって嘘をついて怯えて生きていく貴方はもう死んだの。らしくないわね。エラート・マナ。全部全部思ってること吐き出せばいいのよ。」

涙が溢れる

止まらない

「うわあああああああああああああああああああん!!!」

「どうして私がこんな目に遭わないといけないの!?」

「気持ち悪い!!」

「こんなことするなんて最低!!私また体操服買わないといけなくなるのに!!」

「変態なんてこの世から死滅してしまえばいいんだあああああああああああああああ!!!」


私はローズ様の胸で大声で泣き、鼻水で顔もぐちゃぐちゃになった

五分ぐらい経っただろうか

私は泣き疲れて落ち着いた

ローズ様が体操服を私に着せる

「これ…」

「私の体操服」

「私が着たらローズ様の体操服なくなっちゃうよ?」

「いいのよ。私は学校から借りたやつ着るから。」

「私が学校から借りた体操服着ればいいんじゃ…」

「だーめ!!」

ローズ様は体操服のフォルト・ローズの名前を指差す

「マナは私のものだって学園中に教えてあげなくちゃね。」

不敵な笑みでローズ様は笑う

本当にみんな見る目がないな

こんなにもカッコよくて可愛くて最強なのに

心の底から言えるよ

私、一番好きなのはローズ様だって






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