第111話 無敵のヒーロー
「火炙りが一番苦しいイメージがあったから準備してきたのにさ。レイの邪魔が入って牢屋行きになっちゃったよ。ごめんね。」
「いや…あの…十分です…。」
「牢屋に三年は入るらしいからさ。その方がスリー様は自由に動けていいかもね。」
「はい。クロネコガールさんのおかげです。ありがとうございます。」
「いやいや。スリー様が勇気出して話し合ったからだよ。凄いかっこよかった。」
「私はこれからどうなるのでしょうね。両親が牢屋に入れば私への虐待の噂は広まる。」
「そんなの関係ないよ。気にしないで。」
「スカーレット学園で最も惨めで哀れな存在になるよ。」
「あのさ…物事をネガティブに考えすぎ!そんなことないって!」
「でも虐待された子供なんて普通に接しにくいだろう?」
「オウラァァァ!!!」
突然マナが私の頬をビンタする
「何するんですか!」
「正義の鉄槌だ!」
「私がいつ悪になったんですか!?」
「いつまでもうじうじしてるその腐った根性が悪なんだよ!!」
「うぅ…」
「生き様が変わると人格が変わり人格が変わると運命が変わる。」
「初めて聞く言葉だね…。」
「今日、スリー様の生き様が変わったんです。スリー様を苦しめる癌はいなくなったんですよ?もう自由なんだからやりたいことをやって生きればいいんです。世間の評価なんて後からついてきますから。」
「やりたいこと…?」
「やりたいこと。ない?」
「今まで言われたことをやっていただけだからな。自分のやりたいことなんて考えたことない。」
「じゃあ今日から考えましょう。」
「…マナと友達になりたいな。」
「あれ?恋人じゃなくていいんですか?」
「えぇ!?そんな私なんておこがましいですよ…。」
「あれ?私に恋したんじゃないの?」
「いや…別に…。」
「わぁお!凄い!私に惑わされないなんて!やっぱり内面を冷静に判断出来るからなのかな?」
「いや…なんの躊躇いもなく火炙りしようとする人間に恋は無理ですよ…。」
「あはは!!!」
「でも…助けてくれたこと。本当に感謝しています。ありがとうございました。」
「私は何もしてないけどね。スリー様が頑張ったからだよ。」
「お礼に私の出来ることならなんでもしますよ。」
「いや。そういうのはいいや。」
「どうして?」
「無償の愛に美学を感じているから。」
マナは私の両手を握り白魔法を使う
キラキラと白精霊達が光り輝き
神聖な光を放つ
瞬く間に証拠の為に残しておいた全身のあざが完治した
「凄い…」
不敵にマナは笑う
「私を誰だと思っている?スカーレット学園の悪を滅ぼす!!!私が来たからにはこの学園で悪事はさせない!!姿は漆黒!!心は純白!!正義の審判は中立を!!我が名はクロネコガール!!!」
「白魔法を使うのは聖女だけだよ。クロネコガールさん。」
「クロネコガールなら暴れてもマナじゃないからセーフかなって。」
「…そんな理由で今日お面つけてたの?」
「うん。今日暴れてたのはマナじゃなくてクロネコガールだから。」
「お面つけるだけで別人扱いされるわけないだろう…」