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第109話 ほんの少しの勇気があれば

二学期が始まった

二学期は体育祭と文化祭とイベントが目白押しだ

学校ってこんなに忙しかったかな?と思うぐらい多忙だ

そして二学期一回目の下駄箱を開ける

手紙の量は減っており、感謝の手紙しか入ってなかった

ラブレターも

ファンレターも

いじめの告発文も

呪いの手紙もなくなっていた

ベルチェ様が国外追放になったことが効いているのかもしれない

「おはよう。マナ。」

「おはよう。クリス。」

「冬服も似合ってるね。」

「ありがとう。クリスの冬服もとても素敵ね。」

「嬉しい。惚れた?結婚してくれる?」

「フフフッ。私を夢中にさせる魅力ではなかったみたい。」

「それは残念だ。」

プールデートをしてから私達の関係は少しだけ良くなったような気がする

クリスは以前のようにべったりくっついてくることもないし

執着して独占欲丸出しにすることもなくなったので

私は普通に会話をすることが可能になった


全校集会の始業式が終わり、今日はもう帰るだけだ

「マナ。」

「あ。マリオさん。お久しぶりです。」

「これから時間あるか?時間があるなら生徒会室で話がある。」

「いいですよ。」

私はマリオに呼び出されたので放課後生徒会室へと向かった

「なんですか?マリオさん。」

「アーネルド家での出来事を一応報告しようと思って。」

「…帰っていいですか?」

「逃げるなバカ。当たり前だが、両親にマリアの入れ替わりがバレた。俺は聖杯と一緒に入れ替わりがあったこと。前のマリアはマナになったことを説明した。」

「そうですか…。お手数をお掛けして申し訳ございません。」

「泣いていたぞ。お母様もお父様もアーネルド家の使用人達もみんな。」

「…そうですか。マリアちゃんは居心地悪いよね…。」

「そうでもなかったぞ。あっけらかんとしていた。いきなり目の前の人間を親と思うことも難しいだろうし。」

「そっか…。強いね。マリアちゃんは。」

「聖杯がマナが卒業したらアーネルド家に会いにくると言っていたが本当か?」

「うん。無事に卒業出来たら会いに行くよ。」

「遠慮せずにすぐに行けばいいのに。」

「いいの。私は恋をして世界平和にしたら堂々と胸を張って会いに行けるから。その時まで会わないの。」

「あっそ。じゃあ早く恋愛しろよ。バカ。」

「これでもたくさんデートとかして頑張ってるんだから!」

「はいはい。わかったから。誰でもいいから早く恋しろよ。お前の我儘でアーネルド家の人間はみんな泣かされたんだから。」

「応援してるのか。貶しているのか…。」

「貶しているに決まってるだろう。」

「ひどい!」

「聖杯が言ってたぞ。暴走して牢屋に入れられたらしいな。ざまぁみろバーカ。」

「人のプライベートをペラペラと…あのバカ聖杯!!」

「聖杯のお喋りはアーネルド家全員にされていたよ。みんなドン引きしてた。」

「もう帰るのやめようかな。」

「俺は笑っていたけれどね。」

「フォローしてるのそれ!?」


ガチャと扉が開く

「あ…マナ様。来てたんですね。」

「スリー様。お久しぶりです。」

「久しぶり。相変わらず毎日楽しそうで羨ましいよ。」

「そうでもないですよ?波瀾万丈なんですから。」

「あはは!それはとても楽しい毎日だね!」

私は違和感を感じてスリー様の腕を掴む

「え…?な、何?」

私はスリー様の服を脱がす

お腹も背中も酷いアザだらけだ

タバコの根性焼きもあった

「…なにこれ。」

「…だ、大丈夫ですから。気にしないでください。」

「…スリー様は何でも出来るのに。何にもしないですよね。」

「…。」

「この状況でどうしたらいいのか。優秀なスリー様ならわかっているんじゃないですか?」

「いいんだ。俺はこのままでも…」

「うそつき。このままでいいだなんて思ってないくせに。」

「家庭の問題を学校に持ち込むのはよくないから。」

「じゃあ誰が家庭の問題を解決するの?」

「…。」

「あのね。ちゃんと言わないとダメだよ。しんどくて辛いことを誰かに助けを求めて何が悪いの?自分のことをちゃんと守らないと。大事にしないと。ダメだよ。スリー様は何でもできる人だよ。きっと大丈夫だから。失敗したっていいじゃない。その時は私が骨を拾ってあげるよ。」

「わ…私は…」

スリー様の声が震えている

私はスリー様の手を握り目を合わせて言う

「スリー様に足りないのは少しの勇気だけ。ほんの少しだけ勇気をだして。一歩踏み出せばいい。」

暫く無言が続くそしてスリー様が口を開いた


「助けてください…。マナ様…。」

「いいよ!!スリー様を虐待する親を地獄に堕としてあげましょう!!」



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