第107話 ガーネット・スリー
夏休みが嫌いだ
ガーネット家が嫌いだ
でも一番嫌いなのは
何も出来ない自分が大嫌いだ
ガーネット家の爵位は高くない
男爵家であり
貴族社会では一番地位が低い
最底辺の貴族だが
それなりに平和な過ごしていたらしい
私が生まれる前までは
私が生まれてからはガーネット家は混沌と化していく
私は優秀だった
幼い頃からずっと
5歳で因数分解を理解していたし
魔法も風と水の両方覚醒してた
私の優秀さは王様の耳にも届き
将来が期待できるとして
王宮から特別な家庭教師が送られ
教育を受けた
家庭教師の腕がよかったのだろう
私は今まで以上に優秀になっていった
私が王様に目をつけられて
よくしてもらうことで
私の父親は調子にのった
ガーネット家の爵位を上げて偉くなることに固執しだしたのだ
私が家庭教師の宿題を間違えると
父親は私を殴るようになった
ガーネット家の価値を下げるなと
優秀でなければお前に価値がない
何のためにお前を育ててやったのか
そういう暴言も増えていった
私は殴られたくなくて
必死に勉強をした
父親は爵位を上げるという野望があるようだった
爵位を上げるには国に貢献している家門だ
今までも国に貢献した騎士の爵位を上がった事例がある
私が国に貢献すれば
ガーネット家の爵位を上がてくれると
そう思っているようだ
くだらない
そんな肩書きが変わって何が変わるんだろうか
しかし殴られたくないので
私は今日も勉強をする
学校も嫌いだった
貴族としての地位は低いくせに
優秀なせいで生徒会長に任命されてしまう
地位の低い者が学園のトップに君臨しているのが気に食わないんだろう
私は連日いじめに遭うようになる
いくら優秀でも
爵位がなければ
私は無力だ
そんな日常に辟易していた時に
私の目の前に救世主が現れた
クロネコガール
私のヒーロー
颯爽と現れて
私を救い出した
止まっていた時計が
動き出したような気がした
大嫌いな学園生活が
マナに会えるだけで
ずっと通いたいほど楽しくなっていった
だが無情にも現実は夏休みがくる
私はガーネット家に帰省をした
いつもの暴言
いつもの暴力
母親も
使用人も
誰も俺の味方はいない
誰も助けてくれない
また一ヶ月程この地獄を耐えなければいけないのか
私は父親に殴られながら
マナを思う
助けて
助けて
助けて
早く私を助けて
マナなら私を救い出してくれるから
私のヒーローだから
助けてといえば
助けてくれるんだ
彼女はこの国唯一の聖女様であり
弱者の味方なのだから
全てが繋がっているのなら
殴られているこの時間は
何に繋がっているのだろうか
願わくば
今すぐマナに繋げて
私を見つけて
助けて
助けて
助けて
助けて
助けて
助けて
助けて欲しい