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第104話 看板娘

エラート家には三日間程泊まる予定だ

次の日、聖女がレストランにいると噂を聞きつけてたくさんの人々が開店前から並んでいた

「ホール仕事をさせるよりも簡単なことを用意したわ。」

「なんでしょうか。」

「聖女様お手製おにぎりよ。」

「私がおにぎりを握って販売するんですか?」

「そうよ。それなら簡単だし、聖女目当ての客も大満足でしょう?」

「おにぎりを握るぐらいなら出来ます。今日はお役に立てそうでよかったです。値段はいくらなんですか?」

「一個六百円よ。」

「一個六百円!?高すぎませんか?」

「本当は八百円にしたいところを良心的な値段にしてあげたんだから。」

「全然可愛くない値段ですけど…」

「稼げる時に稼がないとだめなのよ!おにぎりは一人二個までにしてね。他の客まで回らないから。」

「わかりました。」

レストランが開店して、私はひたすらお客様の目の前でおにぎりを握る

「聖女様こんなに近くで会えるなんて…感動です!!」

「聖女様はとてもお美しいと噂されてましたが、実物は想像の何倍も美人ですね!!」

「私!!聖女パレードに参加してたんですよ!足を故障してダンサーの夢を諦めてたのに聖女様お陰で完治して!!わたしもう一度夢を諦めずにダンスを続けることができるようになったんです!!本当にありがとうございました!!」

一人一人とお話をしながらおにぎりを握ることは思いの外楽しかった

「ハァ…ハァ…マナちゃん…ぼ、ぼくの×××を×××して××××××したいよぉ…。」

「???」

突然、目の前にレイが現れて謎の呪文を唱えるおじさんに剣を向ける

「今すぐにこの店から出ていけ。このケダモノ。」

レイがドスの効いた声で脅すとおじさんは急いで店から出て行った

「あのおじさん私のこと狙ってたの?」

「え?まぁ…そうですね。」

「ふーん。屈強な戦士には見えなかったけれど。見た目じゃわからないものね。」

「え?あのおじさんはただのおじさんですよ。」

「え?じゃあ何でレイが出てきて追い出したの?」

「そ、それは…あの男が卑猥な言葉をマナ様に言うので…」

「あれ卑猥な言葉だったんだ。何言ってるか全然わかんなかったよ。」

「マナ様は純真無垢ですから知らなくてもいいんです。」

「もう隠れてないで堂々と護衛すれば?」

「マナ様と必要以上に接触するなと命令を受けているので。」

「なんで?いいじゃん。今忙しいから手伝ってよ。」

「私の雇い主はガードン王なので…」

「雇い主は王様だけど、私の護衛がしたかっただけなんでしょう?じゃあ今日から私が雇い主になるよ。」

「そ、そんなこと勝手に出来ませんよ…」

「今日はもう出てきちゃったからそのまま手伝いね。どうせ見てるだけだら暇でしょう?」

「俺はいつでもマナ様をお護りできるようにしてるんです!暇ではありません!!」

「いいから。早くお米持ってきてよ。」

「わかりましたよ!」

その後はレイも手伝ってくれておにぎりを作っていった

「お腹空いたから食べさせて。」

「え!?お、俺がですか?」

「他に誰がいるのよ。」

「自分で食べればよくないですか?」

「だっておにぎり握らないとずっとお客さんが待ってるし。」

「少しぐらい休んでもいいんじゃ…」

「お客様待たせる訳にはいかないでしょう?早く。ほら!」

私はあーんと口をあける

レイは躊躇いながらも私の口におにぎりを入れて食べさせてくれた

「おいしい。」

「…それはよかったです。」

「ねぇ。食べさせ方が悪いからいっぱいほっぺたについてる!取って!!」

「自分で取ればいいじゃないですか…」

「自分で取ったらまた手を洗ったりしないといけないし、時間のロスになるでしょう!?早く取ってよ!!」

私は目を閉じてレイが米を取ってくれるのを待つ

レイは私の顔についた米を一つずつ取ってくれた

私は目を開けて

「どう?綺麗になった?」

「…はい。とても美人になりましたよ。」

「お腹空いたらまた食べさせてね。」

「魔性性が上がったんじゃないですか?マナ様。」

「おにぎり食べただけでしょう?」

その後もおにぎりを握って大量のお客様を相手に接客をする

「マナ。会いに来たよ。」

「レックス!久しぶりだね!」

「聖女がおにぎりを作っていると話題になってたから来てみたよ。」

「えへへー。愛情込めて作りますね!!」

「嬉しい。ありがとう。そういえばバイオリンコンクール優勝したらしいね。おめでとう。」

「ありがとうー!優勝したのはニックで私は伴奏しただけだけどね。」

「十分凄いよ。おめでとう。」

「ありがとうー!!やっと終わって肩の荷が降りたよー。レックスは夏休みずっと実家にいたの?」

「そうだね。」

「家族と過ごす夏休みっていいね。楽しそう。」

「俺はマナに会いたいって毎日思っていたよ。」

「え…」

「夏休みはマナに会えなくてつまらなかった。毎日毎日マナを思い出して恋しかったよ。早く夏休みなんて終わればいいのにって思ってた。」

「そ…そうなんだ…」

「今日は会えて嬉しい。」

「は、恥ずかしいからもうやめて…」

「照れてるの?可愛い。」

「もう!!揶揄わないで!!はい!おにぎり!次の人待ってるからまた学園でね!!」

「ねぇ。今度マナに会いに魔塔に行くよ。」

「ダメ!!」

「そんなに警戒しないでよ。マナを口説いて世界平和にしたいだけなんだからさ。」

「ううう。」

「ほら。素敵な恋を俺としよう。ね?」

「告白してからめっちゃぐいぐいくるじゃん。」

「他のライバルに取られたくないからね。必死なんだよ。これでもね。」

「わかった。会いたくなったら会いに来て。」

「うん。ありがとう。マナ。」





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