第100話 花祭り
今日はキッカ国で花祭りがある
大事な人へ花を贈るお祭りだ
メイン広場では色々な種類の花が飾られていて
華やかなお祭りだ
屋台もたくさん出ており
毎年大勢の人々で賑わっている
私とニックとマオで花祭りにやってきた
私は屋台でひまわりやオレンジのバラが入った色の花束と
カスミソウや白のバラが入った白い花束を購入する
オレンジの花束をニックに
白の花束をマオにプレゼントした
「私の大事な二人へ愛を込めて贈ります。」
ニコッと笑顔を添えて私は二人に花束を渡す
「ありがとう。マナ。この花束を永遠に保存出来たらいいのにな。」
「儚いから美しいんだよ。ニックは効率厨すぎ。」
「ありがとう。マナ。なんで僕は白のバラなの?」
「だってマオは白がよく似合うから。純粋で清廉じゃない。」
「僕のこと純粋で清廉なんていうのマナだけだと思うけど。」
「そんなことないよ。ミケお爺ちゃんも同じこと言うと思うよ?」
「そっか…ありがとう。マナ。白はマナの色だから。嬉しい。」
「白魔法使いだから?」
「うん。」
「あはは!安直だねー!!」
「これは俺からマナに。生花だけじゃなくて花をモチーフにした物を贈ってもいいみたいだったから。」
ニックが私にひまわりの花飾りをプレゼントしてくれた
「わぁ!!すっごい可愛い!!ありがとうー!!」
私は受け取ってすぐに髪に付ける
「どう?似合う?」
「うん。とてもよく似合ってるよ。黒髪ならもっと映えそうだ。」
「うふふ。後で黒髪に付けてる写真撮ろうよ。」
「俺の花束も撮ってよ。そしたら永遠に残るからさ。」
「儚さをニックは知るべきだと思うけど。」
「大事な物は残した方がいいだろう?」
「まぁ…そうだけどさ。いいよ。後で花束も写真撮ろうね!」
「僕からはこれを…」
そう言ってマオは私に真っ赤なバラの花束を贈る
「アハハ!凄い情熱的だね!!」
「好きな人には赤いバラを贈るって聞いたから…」
「いい香り。ありがとね。私もマオが世界で一番大好きだよ。」
私がそう言うとマオは満面の笑みで微笑んでくれた
やっぱり私の弟は世界で一番可愛い
私達は花束を抱えて花祭りを回る
周りの参加している人達も花束を抱えてみんな花祭りを回っている
地元の子供達がチューリップの花を一輪ずつ花祭りに参加する人達に配っている
「この世に愛が溢れますように。」
そう言って子供は私にチューリップを渡してくれた
「ありがとう。愛することは得意だけど、恋することは苦手なんだ。でも…この世界は美しいから。世界平和の為に頑張るね。」
「たくさんの人を愛してあげてね。」
「うん。チューリップありがとう。」
私はお礼を言って子供達とさよならする
マオとニックもチューリップを貰っていた
「あ!マオじゃん!!」
そう言って声を掛けたのは豪華客船で会ったマオの初めての友達キャンベル・チーノだった
「チーノ!こんなとこで会えるとは思わなかったよ。」
「こんなに人数が多いのに会えたのは運命だな!」
そう言ってチーノはフリージアの一輪の花をマオに渡す
「親愛なる俺の親友へ。愛を込めて。」
マオは感動している感情を抑えて涙を堪えながら震える手で受け取った
「ありがとう。」
「ついでにシエルにもあげるよ!!」
「それはそれは。光栄です。」
「素敵なピアニストになれますように。」
私が客船で将来ピアニストになりたいって言ったことを覚えていてくれたんだ
つまらなさそうなんて言ってたくせに
ツレデレかよ
こんなに嬉しいことはないよ
「ありがとう。チーノ。」
私はチーノから一輪の花を貰った瞬間に
グサッ
目の前のチーノは背後から剣で貫かれた
私は瞬時に白魔法でチーノを治療して
チーノの体はすぐに完治する
剣を持った男が走って逃げようとする
絶対に逃がさない
絶対に許さない
「マオ!!そいつの腕と足の骨を破壊して!!」
私がそう叫ぶとマオは走って逃げようとする男の腕と足の骨を破壊した
私は男に近づいて言う
「何の為にこんなことをしたの?何が目的?単独犯じゃないわよね?お前にこんなことを命令した首謀者は誰?」
「…。」
男は黙って答えない
マオが男に触れて黒魔法で心を読む
「マナが聖女であるか確かめる為に剣でチーノを貫いた。マナを誘拐することが目的。三百人規模のカルト宗教の団体。命令したのは宗教団体のトップのサイレン・グレイ。」
「そう。じゃあその宗教団体の団員全員の骨を破壊魔法で壊せる?」
「うーん…こいつの情報からだと三十人ぐらいしかわからないな。半径100kmまでぐらいしか破壊魔法は届かないから。」
「そう。じゃあ半径100km内にいるカルト宗教団員は全員骨を折って。」
「わかった。」
マオは私の指示通りに破壊魔法でカルト団員達の骨を複雑骨折にさせる
悲鳴を上げてカルト団員達は倒れる
「首謀者はどこにいる?」
「花祭りに参加してるよ。近くにいる。銀色の髪をしていて軍服みたいな格好をしているよ。そいつの骨も折ったから地面に這いつくばってるよ。」
「ラッキー。じゃあ私が直接殺しに行けるね。どこにいるか道案内してよ。マオ。」
「了解。」
私は私に危害を加える人は誰でも許してあげるけど
私の周りにいる大事な人を傷つける人は絶対に許さないよ
だってこんな子供を剣で貫くカルト団体なんて
この世には必要ないし
それを命令する腐ったゴミ人間は私が直接手を下さないとね
私に喧嘩を売るとどうなるのか
死にたくなるほど後悔させてやる
私は怒りに身を任せて首謀者を殺しに行こうとすると
目の前に懐かしい姿の人影を見た
「…命令を無視して申し訳ございません。マリア様。」
「…私も約束破ってアーネルド家に帰れなくてごめんね。レイ。」
私の前に現れたのはアーネルド家で私の護衛騎士をしていたレイだった
「このことはガードン様にお伝えして処理しますから。マナ様が直接手を下すことはしなくていいです。」
「いやよ。私が直接殺さないと気が済まない。」
「だめです。ここで引いてください。」
「私の命令が聞けないの?」
「今の雇い主はガードン様ですから。」
「ハハ!出世したねぇ。レイ。」
「お願いです。ここまでにしてください。」
「いいよ。王様にはたくさんお世話になってるし王様に任せるよ。でもこれだけは約束してね。首謀者は絶対死刑にして。」
「…マナ様の誘拐を計画していたのですから死刑判決にはなると思います。」
「そう。じゃあ後は任せるね。」