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第10話 秘密の話

「それは…聖杯ですか?神殿にしかないはずですが。レプリカですか?」

 アリサが言う

「これは神様から貰った聖杯だよ。これで神様とお話しできるの。」

 「お嬢様ついに妄想と現実がわからなくなってしまったのですか…」

 「失礼な!!私をなんだと思ってるの!?今神様呼ぶから!!アルテミス〜出てきて〜このままだと私頭のおかしい子どもだと思われちゃうよー」

 聖杯から光がパァと光り

 「華ちゃん〜二人で話す為だけに渡したのに二回目でもう人にバラすなんてひどいよー」

 とアルテミスの声がする。

 「!?」

 アリサが驚く。

 「これは…どういうことですか…」

 「神様だよ。アルテミスって言う神様。」

 「アルテミス。私の入れ替わりのこと説明してくれる?」

 「まぁ華ちゃんの頼みならいいよ。」

 アルテミスは前世の話から入れ替わりのことまで詳しくアリサに説明してくれた。説明が終わると

 

 「そんな…じゃあマリアお嬢様はもうすぐそのヒロインの魂と入れ替わるってことですか…?」

 「そうだね。」

 「………どうにもならないのですか」

 「どうにもならないだろうね。華ちゃんがアーネルドらしくしてる間も精霊は全く離れる気配はなかったからね。」

 やっぱり変わらなかったのか。でも本来は葉月ちゃんがここの居場所で私は違うのだ。葉月ちゃんにちゃんとこの素敵なアーネルド家のみんなを返さなければいけない。私が我儘を言ったことでたくさんの人達に迷惑をかけてしまった。

 「アリサ。貴方にだけは知っていて欲しかったの。私が入れ替わってもアリサだけは…私のこと覚えておいて欲しくて…。辛い役割をさせてごめんなさい。」

 アリサが大粒の涙を流して嗚咽が混じりながら泣き出してしまった。ボロボロと泣くアリサ

 「…マ、マリアお嬢様…が…入れ…替わって…みんな…が…気づかない…わけ…ないじゃ…ないですか……!?」

 泣きながら言う。

 「入れ替わりなんてそんな発想みんな出来ないよ。葉月ちゃんは前世ではアーネルド家のような人間だったからそのうちみんなも慣れて幸せに暮らしていけると思う。とてもいい子なの。私の我儘を聞いてくれて…こんなことになったのは私のせい。入れ替わりの後、葉月ちゃんが困っていたら助けてあげてほしい。勝手なお願いだけど…こんなこと頼めるのはアリサしかいないから…」

 「そんな私…マリアお嬢様と一緒にいたいです…どうして…こんな…入れ替えなんて…神様お願いします…どうかマリアお嬢様をアーネルド家にいさせてあげて下さい…」

 「契約だからね。ごめんね。みんな華ちゃんが好きなんだ。こんなに愛される子と離れることになって心苦しいとは思うけど…」

 アリサの涙がボロボロと溢れて止まらない。

 「……私だけの秘密にするのはとても荷が重すぎます…レイにも話していいですか……?」

 「……うーん。レイか……」

 今日のレイの様子からして話をすると暴れ出して聖杯を壊しそうだからな…ずっと一緒にいたいって言われた時、本当はずっと一緒だよって答えたかった。嘘をつくこともできなくて、さよならを言うこともできなかった。

 「レイは今回一番辛かったと思います。アーネルド家らしくするお嬢様を毎日元に戻れと言っていたのはレイです。入れ替わった後、元のお嬢様に戻れと毎日言いますよ。」

 確かにそれはそうかもしれない。そうなったら葉月ちゃんに辛い思いをさせてしまう。

 「でも…暴れるかも…」

 「お嬢様に危害を加えるようなことは絶対にしません。」

 「聖杯も必ず壊さないでね!!これめちゃくちゃ貴重でそんなにポンポン作れるようなものじゃないんだから!!」

 アルテミスは相変わらず空気を読むことをしないなこの人。

 「うーん…誰か他の人に言うならお母様かお兄様の方がいいんじゃないかな?レイはちょっと過激だから…」

 「いえ…レイがいいです。レイは私と一緒に六年間お嬢様にお仕えした仲間ですから…レイのことは正直嫌いですが、お嬢様を一番大事に考えてる所は信頼しているんです。お願いします……マリアお嬢様……。」

 「わかった…レイにも話そう。」

 外の廊下で待っているレイに声をかけて部屋に入ってもらう。部屋にはボロボロに泣いているアリサと光る聖杯。

 「…どういうことですか…何があったんですか…」

 レイが問いかけるのでアルテミスがまたレイに説明をしてくれた。

 

 

 「そう…ですか………」

 意外と落ち着いたリアクションで驚いた。今日結婚の話であんなに取り乱したのに。あと半年ぐらいで離れることになったと知ったのに。

 「その…精霊はマリアお嬢様のこと好きなんですよね?」

 「うん。そうだね。」

 アルテミスが答える。

 「じゃあ…俺にいい考えがあります。」

 レイは誰も考えつかなかった提案をする

 

 「マリアお嬢様のことが好きならお嬢様が精霊にお願いをすればいいんですよ。白魔法の覚醒ほ自分ではなくてヒロインの子にして欲しいって」

 「え?」

 とんでもない提案で驚く。

 「俺はお嬢様のこと大好きだからお嬢様にお願いされるとなんでもやっちゃいます。だから精霊もお嬢様のお願いには弱いはずです。」

 「そんな…話が通じるの…?」

 アルテミスが

 「確かに交渉は出来なくもないが…」

 というと

 「じゃあ絶対大丈夫ですって!!お嬢様は今から半年間お願いの練習をすれば精霊なんてイチコロっすよ!!」

 まさかアーネルド家らしくすればいいのではなく、おねだりの練習をこれからすることになるとは…

 「入れ替わりなんて絶対嫌です。マリアお嬢様のお願いは最強だから絶対大丈夫ですよ!!」

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