表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

6話

 あたしや母さんのプールに新しくヘレナがやって来て、一ヶ月が過ぎた。


 すっかり、ヘレナは馴染んでいてあたし、母さんによく話しかけてくれる。オオノさん、カワモトさん、ハタノさんの三人もよく気に掛けてくれていた。


『ねえ、フェリちゃん。あたし、聞いたんだけどね』


『どうしたの?ヘレナ』


『何かね、あたしの担当のハタノさんが教えてくれたの。また、新しい子が来るみたいよ』


 あたしはそれを聞いて、小さな目を見開いた。コポコポと頭の穴から、空気の泡が出る。


『え、また新しいシャチが来るの?!』


『うん、まあ。今から、もっと先になるみたいよ』


『ふうん、そうなんだ。ヘレナみたいにオンナノコならあたしも歓迎するわ』


 そうは言ったけど、やっぱり戸惑ってしまう。ヘレナは察したのか、ハタノさんの所に行ってしまった。あたしは一頭で黄昏れた。


 あれから、また一ヶ月が経った。季節は五月くらいでカワモトさんの言葉を借りたら、ショカって言うらしい。あたしはいきなりにタンカで運ばれてきたシャチが目に入り、驚きを隠せなかった。母さんやヘレナも同じ感じだ。三頭で水面から、確認する。ちょっとだけ、新しい子の背びれが見えた。オンナノコの背びれでなく、オトコノコの形だ。確か、大きくてチョッカクな背びれだったか。


『……あら、今度はオトコノコみたいね』


『本当だ!』


『あたし、オトコノコを見たのは久しぶりよ!』


 一番最初が母さん、二番目があたし、最後がヘレナだ。三頭で顔を見合わせたのだった。


 後で、プールに入って来たのはやはり、オトコノコだ。カレは母さんやあたし、ヘレナに近づくと丁寧に挨拶してくれる。


『……やあ、初めまして。オレはカロンと言います。よろしく』


『初めまして、私はリアよ。カロンさん、よろしくね』


『初めまして、あたしはフェリです』


『……初めまして、あたしはヘレナです。よろしくお願いします』


『えっと、リアさんにフェリさん、ヘレナさん。オレ、ちょっと隅っこに行きますね』


 何を思ったのか、カロンさんは隅っこに本当に行ってしまった。あたし達はどうしたものやらと思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ