4話
あたしが体を悪くしてから、一週間が過ぎた。
また、朝方にカワモトさんやオオノさんがやって来た。
「おはよう、フェリ、リア」
『キュ』
あたしが鳴いて答えると、カワモトさんは嬉しそうにする。母さんにもオオノさんが声を掛けていた。
「うん、今日は元気が良さそうだね」
カワモトさんはそう言って、あたしに魚をくれた。美味しく食べたのだった。
昼になり、あたしや母さんのプールにタンカに乗せられたシャチらしき子の姿が見える。あたしと母さんはもしやと思う。
『……母さん、新しい子が来たのかな?』
『たぶん、そのようね。どんな子か気になるわあ』
『あたしも気になるわ』
二頭で話していた。すると、大勢のヒトらしき声が聞こえる。あたしと母さんは目を見合わせたのだった。
しばらくして、プールに新しい子がやって来た。あたしや母さんより、ちょっと小さめでどうやらオンナのコのようだ。
『……初めまして、えっと。確か、リアさんにフェリさんですよね?』
『そうよ、あたしがリアで。隣にいるのが娘のフェリよ』
『そうなんですか、あたしの名前はヘレナです。よろしくお願いします』
『ヘレナさんね、よろしく』
『よろしくね!』
二頭で新しいオンナのコもとい、ヘレナさんに挨拶をした。ヘレナさんは戸惑いながらも頷いてくれたのだった。
すぐに、ヘレナさんは打ち解けてくれるようになる。まあ、来た日はおどおどしていたけど。
『フェリちゃん、今日もパフォーマンスを頑張ろうね!』
『うん、ヘレナちゃんもね!』
『……フェリやヘレナちゃん、すっかり仲良しねえ』
『うん、フェリちゃん。あたしと一歳しか違わなかったからね』
『そうね、さ。トレーナーさん達が待っているわ。行きましょ!』
三頭でトレーナーさんの元に向かう。パフォーマンスを頑張ったのだった。