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第14話:確認というか告白

「今日は遅くなると思てた」



 事情などをよく知らないままに俺の実家の前で降ろされたシホが言った。



「うん、まあな」



  団地内の児童公園になんとなく歩いて行き、シホに聞いた。



「お見合い……するのか?」


「……うん。お父さんが持ってきてくれた話で、年齢的にもお見合いがいいだろうって。おじさんの紹介で……」



 シホにしては言葉は多かった。それに早口だった。



「遅くなったけど……俺じゃダメかな?」


「……ユウくん東京だし」


「まだなんも決めてないけど、俺 福岡に帰ってくることを考えてみる」


「……仕事は?」


「福岡にも設計はある。東京より数は少ないけど」


「せっかく東京に行ったのに……」


「どこまで通用するかは分かんないけど、とりあえず一人で設計できるようになったし、福岡でも仕事はあると思う」



 シホが無言で立ったまま、ブランコをキコキコ前へ後ろへ動かしている。何かを考えているのかもしれない。



「俺は飽きっぽいし、興味がないことはとことん興味がないから、仕事は『ものを作る仕事』がいいと思ったんだ。昔からプラモとか作るの好きだったし」


「……うん」


「機械設計者にはなれたけど、俺は幸せとは感じてない。価値観が変わったのか、求めてるものが間違えてるのか」


「うん」


「東京にいる間、全部忘れてた。家のことも、シホのことも、ハガレンのことも全部」


「……うん」


「福岡に帰ってきて、みんなと会って、ハガレンと会って、シホと会って色々思い出した」


「うん」


「俺はお前が好きだった。ずっと好きだった。小さい時からずっと。憧れで、絶対に手に入らないものだって思ってた。でも、お前がいないと俺は幸せになれないみたいだ」


「……」


「いまさらだけど、俺と付き合って欲しい」



 シホが目の下をゴシゴシしながら小さく「うん」と答えた。


 俺はシホに近づいて、手を握った。シホはもう片方の手でしきりと前髪を気にしていた。俺でも分かる。中学生でももうちょっとマシな恋愛をしているだろう。


 キスどころか、手をつないのも初めてだ。幼稚園の頃とかは除外だけど。


 シホの横に立つとシホが俺を見上げてくる。近くで見てもやっぱりきれいだ。この美人を28年かけてやっと手に入れた……自分でも呆れるほど遅いな。



「あ、でもどうしよう! お見合い!」


「今から俺がおじさんのところ言って話してみる」


「……いいと?」


「これはお前の問題じゃなくて、俺たちの問題だ」


「うん……そうやね」



 ホントはキスくらいしたいけど、真昼間の団地の児童公園で抱き合ったりキスしたりしていたら、一番遠い棟のヤツまで噂が飛んでいくに違いない。団地とはそういうところだ。


 俺は一瞬実家に帰って、おみやげを持って、シホと共に彼女の家に向かった。


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