第1話:エピローグ
等身大の28歳を書きたくて書きました。
「お! ハマユウ久々! 東京で夢かなえたヤツが登場だ!」
濱田雄二……頭文字を取って「ハマユウ」が俺の高校時代のあだ名だ。
そう囃し立てたのは、「ハガレン」こと芳賀漣。俺の高校時代からの友達。
「よしてくれよ。恥ずかしい」
「そーゆーなって! 今回お前が一番遠くから来たんだから!」
「え? そうなの?」
俺は現在、東京の西葛西に住んでいる。千葉と思われることも少なくないが、れっきとした東京だ。
「まあ、座れって! 俺に東京話を聞かせてくれよ!」
10年ぶりの高校の同窓会。俺は「東京に住んでいる」というだけで、なぜかちやほやされている。俺は大学まで地元の福岡にいたので、東京に出てまだ5、6年。東京を語るには熟練度が足りないのではないだろうか。
それでもハガレンがメチャクチャ上機嫌で話しかけてくる。なんか、高校時代みたいでいいな。見た目は、あの頃の子供っぽさは姿を潜めて、おっさんになった。俺もそう見えているのだろうか。
これは、お盆休みに実家に帰ったほんの3日間の出来事。
そして、この3日間は俺の人生を振り返り、考えさせられ、その上で、大きく変えることになる3日間だった。
いつも何か足りなかった。いつも満足できなかった。それがこの歳になっても答えが分からない。
俺はいつも「すごい人」になりたかった。その「答え合わせ」みたいな3日間だった。
そして、一度は諦めてしまった「憧れ」と「初恋」を取り戻すための3日間だった。